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第5章

5 - 3 女の感は鋭くて怖い!

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毎日毎日舗装工事の日々に追われること三か月──

ようやっと各市街への街道が完璧に終わった頃にはアンナとミレーヌの腹は大きくなっていた

「二人ともかなり大きくなってきたね」
と俺は二人のお腹を交互に擦っては新たな生命の胎動を確かめる

「ええ。最近はよく動くんですよ」
「そうそう!私の方もすっごい蹴ってくるんですよ!」

二人は愛おしそうに自分のお腹を擦ってすくすくと育っているであろう我が子を愛でる

「ご主人様は夜の方は大変ではないですか?我慢は体に悪いですよ?」

「大丈夫だから!二人がすごい眼で見てるからやめなさい!」
と言い寄るクラリッサをなんとか押し返すも──

「大丈夫ですよクラリッサさん。雷斗さんならすでに愛人の一人位は囲ってるでしょうし♪」
「そうそう。メイドにお手付きするほど溜まってないよ雷斗様は♪」

「「ふふ」」

と二人は顔を見合わせて笑い合う──これアンジュの事完全にバレて~ら

「あらまぁ…メイドとして夜の伽もしたいと思っていましたのに…残念です」
と肩を落としたと思ったら今度は三人で笑い合う。仲がいいのはいい事だ

しかし何故バレたのだろうか…結構気を付けているつもりではいたのだが…

《そりゃそうでしょうよ…週に2回も外泊してツヤツヤした顔で帰ってくれば…雷斗さんは女の感を舐めすぎですよ》

(女の感コエー)
まぁ子供が生まれた辺りできちんと話をするさ──と厄介ごとを未来の俺に押し付けて

「そうだ!うちの冒険者ギルドのマスターに相談があるって言われてたんだっけ。すっかり忘れてたなー!ちょっと行ってくるよ!あらほらさっさ~」
と俺は一目散にその場を退散するため家を飛び出した

まぁ実際相談事はあるのだ
街道は舗装されたことによって交通の便はよくなったのだが、その代わり見晴らしが良すぎて山賊や盗賊果ては魔物までと出現の報告があとを絶たない

報告が上がってくる都度出張って行っては俺が何人居ても足りはしない

ということで街道の警備をデイリークエストとして依頼しようと思って、それの相談をしたかったのだ

俺は役所のビルに入り、受付の女の子に軽い挨拶をした後2Fにある冒険者ギルド支部へと顔を出し

「よう!ヨハン調子はどうだ?」

と冒険者ギルド中央市街マスターに声を掛けた

「ああ。雷斗の旦那!おはようございます!今日はどういったご用件ですかい?」

「なに…ヨハンの仕事ぶりを視察しに来たんだよ」と言うと途端に慌てるヨハン

「だだ旦那!俺…いやわたくしは常に真面目に仕事に励んでいる所存ですハイ!」
途端に緊張したセリフに足はガクブルと小刻みに震えている

このヨハン。もともとはバルナバス領のギルドに所属していて、年中飲んだくれていたわけだが…
俺がバルナバスに捕らえられていた少女達を救出した際に寄った時に俺に絡んで来たハゲを助けるべく俺に立ち向かって来たという…実は男気溢れ友情に厚い男なのだ

以来俺はその後もツェーザルやゲルルフ達に捕まっていた少女達を助けた際に冒険者ギルドに寄ってはこいつとダベったり酒を飲んだりしたりして騒いだものだ

「ははは!冗談だよヨハン!そう固くなるなよ!」

「はぁ…旦那は自分では冗談言うくせに俺の冗談は許してくれないんだもんな…それで、今日はどういった用件ですかい?」と緊張から解放されたヨハンは愚痴りつつも俺の用件を聞いてくる

「ああ。街道の警備を冒険者ギルドに依頼したいんだ。できれば毎日…」

「毎日っていうとデイリークエストってことでよろしいんですかい?」

「ああ。頼めそうか?」とお願いするだけしてみたが…ヨハンの顔色は渋い

「依頼を張り出すことはできますがね…各市街へと伸びる街道全てっていうのはちと人数的にも難しいと思いますぜ?仮にひよっこ共まで導入しても警備する側の安全が確保できないですよ」
というヨハンに一理あるなと俺は頷き、いい案がないかと思案する

「そうだ!国の騎士団みたいに兵士訓練所を作ってそこでひよっこ共を立派な戦士に教育すればいいんだ!そうすれば街道の平和も守れて、兵士の練度も上がってと一石二鳥じゃないか!」

俺の案にヨハンは「ふむ…」と顎に手を当て考え──
「確かにそれはいい案ですぜ!いっその事各街道の中間にでも駐屯所を作ってはいかがですかい?」

「おお!それがあれば街道もより安全になって物流もより一層増えそうだ!それじゃ早速俺は訓練所を作ってひよっこ共を精鋭に仕上げるとするか!」と情熱を燃やす俺に

「参加は自由…ですよね?」遠慮がちに聞いてくるヨハンに俺は一言──

「強制!」

「うわぁ…」俺の発した、たった一言の言葉にヨハンは天を仰ぐ

かくして、領主による初心者冒険者&衛兵の訓練という名のシゴキが始まるのであった──

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