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第3章

3 - 4 浮気は男の甲斐性だよ!っていう男の言い訳って見苦しいよね…

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「ご無事でしたか?」

俺は豚どもを蹴散らした後老夫婦宅へと戻り安否の確認をする。

「私達は無事じゃが……」と3人は奥の部屋から顔を出すが──

「他の村人達は無事でしょうか……」

「助けられるは方は助けましたが……殺されてしまった方もいらっしゃいます」

隠しても仕方ないので、俺は心配している老夫婦に見たままを告げる。

「なんてことだ……」「ああ……」と崩れ落ちる老夫婦

「それはそうと、旅の方はお怪我とかはなさってないですか?」とライラが俺の様子を窺う………その顔は本当に心配そうな顔をしている。

「ああ……名乗っても居なかったのか……気が付きませんでした。俺は久世雷斗といいます。あの程度の魔物では怪我をすることはないので大丈夫ですよ。心配して頂いてありがとうございます」

と俺は優しげな微笑みで安心させ─《優しげな?怪しげの間違いでは?》る…
(っておいこら!そんなことないだろ!)
《すいません。性犯罪者の間違いでしたね》(既読スルー!ガン無視放置っと)《えええ!》


「とりあえず俺は村の被害の確認と……遺体の処理をしてきます」と伝え家の外へと出ると
「私もお手伝いします」とライラも一緒に家を出た───

俺は村の中央まで歩き、大声で呼び掛ける。

「私は旅の魔導師です!怪我をしている人は魔法で治療しますので、こちらに集まって頂けますか~?」

「俺達の生活は自給自足だから金なんて持ってねーぞ?」

「大丈夫です!無料でやらせて頂きます!」

俺のその叫びに村人達が我先にと押し寄せぐちゃぐちゃに……

「すいません!順番でお願いします!」
促してもなかなか並んではくれず、困っていた所にライラが戻ってきて列を整理してくれる。

そのお陰でスムーズに治療が進み、なんとか日が落ちる前には終えることができた。



「くっ……さすがにこれだけの人数を治療すると魔力が……」

「久世さん……お疲れ様でした。」とライラは俺の額に流れる汗を布で拭いてくれる。

「済まないが魔力が回復するまで君の家で休ませて貰えないかな?夜まで横になっていれば大丈夫だからさ」

「久世さんは村の恩人です!断るわけないじゃないですか!」

「ははは。それじゃ少しだけ厄介になるよ」

そうして俺は老夫婦宅へ戻り宛がわれた部屋のベッドにダイブ。
そのまま夜まで仮眠を取りる。
次に目覚めた時には魔力もある程度回復しているのが解る。

「よく寝たな……魔力も体も問題なさそうだ」
俺は部屋を出てリビングへと向かうと
「久世さん。もう大丈夫なんですか?」
とライラが迎え入れてくれる。


「ああ、もう大丈夫。休ませてくれてありがとう。少し出て来るよ」

「どちらへ?もう辺りは暗いですけど…」

「少し魔力の具合を確かめに…ね。夜が明ける頃には戻るさ」

そうして俺は村の外れで「【ポータル】」を使用し屋敷へと帰還する。

「遅くなった。今帰ったよ」

俺が玄関を開け屋敷に入ると奥からアンナとミレーヌが顔を出し─

「お帰りなさいませ。雷斗さん」

「雷斗様!お帰りなさい!」

二人の顔を見て俺は村の襲撃を思いだし、無事な二人にホッとする。

「雷斗さん。随分と遅かったですけど、何かあったんですか?」

「雷斗様の事だから他所で新しく女を見繕ってた──ってこともないでしょうし?」

「もっ勿論だとも!」

俺のどもった返事に二人は胡散臭い物を見るような眼差しを向ける。

(なぜだ!)

《答。日頃の行い》

「そういえば雷斗様は最近アンジュと仲がいいんですよね~?」

そう言うとミレーヌはジト~ッと俺を見て続ける。
「なんでも、レストランでチューしてたらしいじゃないですか~」

「なぜそれを……はっ!しまっ!」

俺は滑った口を押さえ二人を見ると

───ゴゴゴゴゴ───

あぁ…やっぱり…

「雷斗さんは私達には何もしないですよね?やっぱり胸の大きな女性がいいんですか?」

「あたしも大きい方だけどね~アンジュのは規格外だし~アンナはまぁ…」

そこまで言うとミレーヌはアンナの胸へと視線を飛ばし「御愁傷様」と一言。

《悪い顔してますね~》(ノーコメントで)

「はぁぁ⁉ミレーヌさんは少し黙っててもらえます⁉それで!雷斗さんは結局アンジュさんとどこまでシたんですか⁉」

「きっキスだけだって!」

「え~嘘だ~。だって雷斗様ってば前にアンジュの部屋でアンジュを押し倒してたじゃな~い」

《ニヤニヤしてますね~。いや~惚れ惚れする位悪い顔です》

「だあぁぁぁ!その後結局ミレーヌが入って来たからなんにもしてないんだって!」

「もう雷斗さんなんて…雷斗さん…なん…て…うぅ~…っ…」

怒りが振り切れたアンナの瞳からはポロポロと涙が流れる

「あちゃ~…やり過ぎちゃったか。雷斗様ごめんね~。ほら!アンナも泣かないの…雷斗様は浮気性だけど私達が一番なのは変わらないんだから」

とミレーヌは泣くアンナを優しく抱き寄せ頭を撫でる。

「ホント…で…すか?」

「勿論だ。アンジュの件はまぁ…あれだが…二人とはちゃんと結婚してから、そういう事をしたいと思ってる。ミレーヌもそれでいいかな?」

「良いも悪いも…むしろからかってごめんなさい…」

俺の答えにミレーヌも理解を示し、謝罪してくれる。

「そもそもなんで遅くなったかと言うとだ…」

そして俺は今日起こったあらましを二人に説明すると、二人とも疑ってごめんなさいと素直に謝ってくる。

《まぁ…今回は身から出た錆びだと思うんですね~ふふふ♪》

(ちょいちょい口を挟まないでくれません?)

《口じゃないです~思念です~》

すっげーうぜぇ!

「それじゃ、今日のところは疲れているし俺は寝るよ」

「はい。お休みなさいませ。雷斗さん」

「おやすみ~雷斗様!」

俺は二人と別れ部屋のベッドにダイブ
あ~疲れた……明日も朝から村へ戻って移動かぁ……

《そして村娘で何も知らないライラさんをあの手この手で籠絡するんですね♪》

(いや……当分女性関係で揉めたくありません)

《えぇ!このままでは雷斗さんの各地に愛人計画が頓挫しちゃうじゃないですかっ!》

(いらんわい!そんな計画なぞとっとと頓挫してしまえ!)

《え~…本物のスケさんはそれくらいの甲斐性あったんだけどな~!チラッ》

(………………)

《所詮自称スケさんなんて本物の足元にも及ばないですよね!》

(………………)

《ちょっ!つまんないんですけどー!ねえ~雷斗さ~ん!雷斗さんってば~!》

こうして…脳内で喚くダ女神を無視し続けた俺の意識は闇へと落ちて行ったのだった──

  
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