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第二章 そして舞台の幕が開く

66話 初めてのぶつかり合い

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 「全く。大人になったと思っていたが、存外君は幼かったようだ」

 静まり返ったサロンの中、渋い声が室内に落ちる。
 口を開いたのは、学園長だった。話に夢中になるあまり、ノック音を聞き洩らしていたらしい。
 開かれた扉には、あきれ顔の学園長が立っている。その視線は父へと向けられていた。

 「ウォルターズ先生……」
 「ふむ。会うのは君が学園を卒業して以来かな? 君はあまり社交の場に出てこないからね」

 学園長の言葉に、父は気まずそうに顔を歪める。その姿に私は小首を傾げた。

 「アクランド嬢が不思議に思うのも無理はないね。
 君の父上が学生の頃、私が彼の担任をしていたのだ」
 「そうなのですか?」

 聞いたことのない話に、私は目を丸くする。そんな私に学園長は微笑むと、父のことを話してくれた。

 「彼は少々目立つ子だった。優秀な才能を持ちながらも、人付き合いにあまり興味を示さなくてね。
 君の社交性は、どうやらハットン男爵令嬢……君の母君譲りのようだ」

 学園長の言葉に、父は口をつぐむ。おろおろと視線を彷徨わせる辺り、図星のようだ。

 「さて、アクランド君。紛らわしいからオスカー君と呼ぼうか。
 君の娘を思う気持ちは素晴らしいものだ。このような不祥事があった以上、心配に思うのも無理はない。

 だが、今一度考え直してほしい」

 学園長の言葉に、父は顔を歪める。やはり不安が拭えないのだろう。簡単には頷けないようだ。

 「ウォルターズ先生が優秀であることも、この学園の素晴らしさも知っています。
 けれど、このような事態が起きた以上、娘を預けることに心配が残るのです」
 「そうだろうとも。私としてもこの問題は由々しきことだと認識している。全力で解決に当たる気持ちもある。
 だからこそ、君とアクランド嬢の意思が一致しているのなら、私が口を挟むべきではないだろうね」

 一見すると理解を示しているように思える言葉。その実、どこか含みが込められていた。
 父が眉を顰める。学園長が言わんとしていることに気づいたのだろう。
 
 「しかし、現に君とアクランド嬢の意見は割れている。
 ならば、私はこの学園の教師として、生徒の意思を尊重したい。

 これは私の個人的な願いでもあるが、彼女の成長を見届けたいとも思っている」

 その言葉は、教職者らしい愛情が込められていた。まだ入学したばかりの身だが、学園長の生徒を思う熱意は素晴らしいものがある。
 これもまた、この学園に残りたいと思う所以だ。

 「とはいえ、君の不安が拭えないのも無理はない。
 だからこそ、私はここで一つ提案をしたい」

 学園長の突然の切り出しに、私と父は目を丸める。続けて口にされたのは、驚くべき提案だった。

 「実技訓練場をお貸ししよう。
 その上で、君とアクランド嬢による魔術試合を提案する」

 学園長の提案に、父が絶句する。私も驚きのあまり、すぐに反応ができなかった。






 「どうしてこうなった……」

 実技訓練場に立ち、私は一人ぼやく。
 向かい合うように立つのは、父だ。父もどこか戸惑ったような表情を浮かべている。

 立会人として、学園長が中央に控えている。ルーファスやシアたちは、離れた場所で観戦している状態だ。

 この提案を受けた際、父は当然のごとく抗議した。私へ魔術を放つなどできないと言う父を、学園長はあっさりと切り捨てた。
 「学園に残すことが心配ならば、まずは娘の実力を見てみなさい」と、こうして実技訓練場まで連れてこられたのである。

 要するに、学園長の言い分はこうだ。娘の実力を見て、学園に残すかどうか判断しろ。そのためには試合するのが手っ取り早いだろう、と。

 たしかに手っ取り早いかもしれないが、こちらの心境は追いついていない。父へ魔術を行使するなど考えたこともなかったからだ。これが訓練ならともかく、試合となると多少の戸惑いがある。父も私同様、躊躇いを見せていた。

 私たち親子は、意見が衝突することはそうなかった。もちろん多少の違いはあったけれど、話し合いで何とかなる範囲だった。間違っても、実力行使で意見を押し通したことはない。

 父は案を取り下げさせようと、学園長の説得を試みた。私が怪我をしたら困ると告げたのだが、すげなく却下された。

 それのみでなく、「手加減ができぬほど、君は魔術師として未熟だったかね?」と問う学園長の顔は真顔だった。返答次第では再度授業を受けさせかねない勢いすら感じた。
 父もそれを感じ取ったのだろう。反射的に「問題ありません!」と返答していた。学生時代の様子が透けて見えるようだ。

 そんな経緯もあり、私たちは今向かい合っている。
 とにもかくにも、やるしかない。学園長がくれたチャンスだ。これを活かせなくてどうする。
 今の私ができる全力でもって、父に認めてもらうのだ。それを目指すために全力を尽くそう。

 「では、両者向かい合って!」

 その掛け声に、背筋をぴん、と伸ばす。父も同様に、姿勢を正しこちらを見ていた。

 「礼!」

 相手への敬意を込めて、一礼する。顔を上げた先に見えたのは、真剣な表情の父だった。

 引き下がることが出来ない以上、父も私を諦めさせるために戦うだろう。
 怪我をさせない程度の手加減はするだろうが、それだけだ。勝ちを譲ってくれる気はないはず。

 それでいい。互いの主張が違うのだ。ぶつかり合うのは当たり前。
 父には父の、私には私の、譲れない思いがあるのだから。

 「始め!」

 その声を合図に、私は一気に魔術陣を展開する。輝くのは桜色と白い光。二種類の魔術陣に、父は驚いたように目を見開いた。

 「《時は流転する――我に守護と追い風を与えたまえ》」

 二色の光が私を包む。一つは防御力を高める守護の光。敵から受けるダメージを軽減するものだ。前衛がいない以上、備えは必須。父が私を傷つけるとは思えないけれど、何があるかは分からない。できる限りの備えをするべきだろう。

 もう一つの光は、私の速度を上げるもの。使えるものは全て使っていかなければ。

 「《冷徹なる壁よ、我が守りとなれ》」

 父の足元に水色の魔術陣が顕現する。その言葉に合わせるように、氷で作られた盾が父を守るように現れた。
 盾の枚数は3枚。正面と左右を守るように配置されている。氷の盾は父の全身を覆うほどの大きさだ。
 おそらく、この盾は父の意思どおりに動くのだろう。そうなれば、盾同士の隙間を狙っても然程意味はない。間違いなく弾かれるはず。

 それならば、私がすべきはたった一つだ。

 「《秒針を早め、我が敵を撃ち抜け! アースバレット》!」

 桜色と黄色の光が足元を照らす。私が手を振り抜くと同時に、六発の弾丸が放たれる。時属性魔術で弾丸のスピードを引き上げ、氷の盾に向かわせた。

 甲高い音が鳴り響く。氷の欠片が舞う様は、キラキラと輝き美しい。これが試合中でなければ、美しさに感嘆の声を上げたかもしれない。
 私はぐっと眉を寄せ、父を見据える。氷の盾には六発分の弾痕が残されていた。周囲は削られ、罅が盾に走っている。

 「……驚いたな」

 父の声が漏れた直後、大きな亀裂音が耳に届く。バキリ、と大きな音を鳴らしたかと思うと、一枚の盾が割れながら崩れていった。
 父には傷一つないが、盾を一枚破れたのは大きな収穫だ。魔術の二重がけで何とか、という内容ではあるが。一切歯が立たないわけではないらしい。

 「入学直後、ここまで実力をつけているとは。詠唱の速さに、魔術の二重使用。一年生とは到底思えない実力だ。素晴らしいよ」
 「……では、私が学園に残ることを認めてくれますか?」
 「いや。残念だけれど、これだけで認めることはできないな」

 穏やかに微笑む姿から一転、父が鋭く私を見据える。私がまだ入学直後だったため、甘く見ていたところもあるのだろう。
 どうやらその認識は覆せたようだ。父の瞳に一層真剣さが窺える。ここからは、受け身だけではなくなるだろう。

 魔術師としての実力は、父の方が遥かに上。私にできるのは、策による勝利のみだ。純粋な力比べなど、すること自体無意味といえる。

 「さて、それじゃあ改めて仕切り直しといこうか」

 父はそう告げると、新たに一枚の盾を顕現する。詠唱はない。盾を出すことくらいは、片手間でもできるということか。

 父の足元に水色の光が湧きあがる。
 反射的に、私は黄色い魔術陣を顕現させた。父を見ると、こちらを見て笑みを浮かべている。

 「《放て、アイスニードル》」

 その詠唱と共に、父の周囲に複数の針が浮かび上がる。氷でできた針だ。この程度なら裁き切ることはできるだろうと、私は魔力を編み上げた。

 「《母なる大地よ、我を守り給え》」

 地面に手を付き、複数の盾を作り上げる。一つ一つはあまり大きくない。小ぶりなラウンドシールドを複数作り上げ、放たれた氷の針にぶつける。

 ぶつかり合う針と盾の音が響く。盾は壊れてしまっているが、針も地面に落ちている。攻撃を避けることが目的であり、この結果は想定内だ。針そのものを壊すことや、父へ攻撃することは考えていなかった。力量差がある以上、確実性を重視した。

 守りという意味では、大きな壁を作り出すことも一つの方法ではある。正直に言えば、複数の盾を作るよりそちらの方が遥かに楽だ。

 しかし、それには大きな欠陥がある。攻撃をしのいだ後、こちらが無防備になることだ。
 大きな壁を築くということは、あちらのみでなく、こちらの視界も奪われる。針による攻撃が終わったあと、次にあちらがどのような行動をとるのか見られないのだ。私の土属性の壁では、壁の向こう側を見通すことはできない。

 だからこそ、小ぶりな盾を複数作り上げた。壁を消したタイミングで攻撃されたらたまったものではない。その危険性を避けるには、多少の手間は覚悟の上だ。

 「さて、そろそろ決着つけないとね」

 私は小さく呟く。魔力も集中も十分な状態。戦うだけなら支障はない。
 けれど、長引けば長引くほど不利になるのはこちらだ。まだ私の腕は父に及ばない。長期戦になった場合、何もできずに負けてしまうだろう。万全な状態かつ、こちらの手札が知られていない内に勝負をつけなければ。

 息を吐き、詠唱を始める。足元には黄色の魔術陣が二つ浮かび上がった。
 チャンスは一度きり。何度も同じ手にはかかってくれないだろう。この一回で、決めてみせる。

 「《我らを育む大地よ、仇なす者に裁きを与えたまえ》」

 大地が脈動し、複数の槍が現れる。イグニールとの戦いでは、槍の数が制限された。周囲に巻き込まれた生徒たちがいたからだ。
 だが、今は違う。守らなければならない相手はここにはいない。魔力の9割ほどを注ぎ込み、槍を作成した。私が描いた魔術陣は土属性のみ。時間の短縮や槍の強化は捨て、数を優先した。

 私の周囲を囲むように、土で作られた槍が複数浮かび上がる。数は50。
 これだけの槍を射出しようとも、父は盾で防ぎきるだろう。盾は破れるかもしれないが、父へ攻撃は届かない可能性が高い。
 けれど、それでいいのだ。

 「《――グラウンドファランクス》!」

 私の詠唱が終わると同時に、槍が父へと射出される。次々と襲い掛かる槍に、父は氷の盾でもって防いでいた。
 顕現していた三枚の盾。それは槍によって壊されるも、即座に新たな盾を顕現している。父へ届いた攻撃は一つもない。
 あれだけの盾を即座に顕現できるのだ。生半可な攻撃では通用しないのだろう。射出するのは強化を施していない槍だ。無理もない。

 49本目の槍が父に向っていく。それを新たな盾を顕現し防ごうとする父に、私は小さな笑みを浮かべた。準備は整った。

 「《肥沃なる大地よ、我が敵を捕らえたまえ! アースチェイン》」

 氷の盾で槍を防いだ父に、私は重ねて顕現していた魔術陣を使用する。私の意思に従うように、土で出来た鎖は父の手足を絡めとった。
 土属性の魔術陣を二つ顕現していたのはこのためだ。膨大な数の攻撃に目をとられている間に、父の動きを封じたかった。

 「これで、最後です」

 その一言と共に、50本目の槍を父の眼前へ突きつける。当てることこそしないが、避けることはできぬ距離。
 父が盾を顕現するよりも、槍が振れる方が早いだろう。戦況は、一気にこちらへ傾いた。

 「――そこまで!」

 張り詰めた空気を切り裂くように、学園長の声が響く。ほう、と息を吐き、魔術を解除した。
 魔力が切れ、土が下へ落ちていく。父を捕らえていた鎖も、今はただの土に戻っていた。
 
 「さて、もう決着はついたとみているが……異論はないな?」

 ぼうっと私を見つめる父に、学園長が声をかける。それにはっとしたように目を見開くと、父は複雑そうな顔で口を開いた。

 「……えぇ、完敗です。文句を言う資格も、ないでしょうね」

 そう言う父は、肩を落とし苦笑した。
 今回私が勝てたのは、父の油断ゆえだ。純粋な魔術師としての腕では敵わない。
 私が入学直後だったという点。それにより油断してくれたから、策を弄することができたのだ。父が本気で私にかかってきたら、到底敵わなかっただろう。

 「お父様、改めてお願い致します」

 父へ真っ直ぐに向き直り、深く頭を下げる。
 勝負に勝った以上、父は私の意を汲んでくれるだろう。それくらいは理解している。

 けれど、それだけで全てを決めることはしたくない。自身の願いが、我儘であることは知っている。だからこそ、最後まで自分の口で願い出たかった。

 勝負に勝つことは必要だった。口での説明では、相当な時間がかかったことだろう。父の不安を減らすこともできなかったかもしれない。実力を示すことに意味はあった。
 とはいえ、勝ちさえすればいいわけでもない。私の力を認めてもらって、その上で私の願いを聞いて欲しい。それが嘘偽りない本音だ。

 「私は未熟な身です。これから多くのことを学ばなければなりません。それはきっと、この学園でなくてもできることでしょう。
 ですが、この学園でなければ会えない友人がいました。共に学びたいと思える仲間も、この学園にいるのです。だからこそ、私はここにいたい。

 ――お願いします、この学園に通わせてください」

 頭を下げたまま、父の返事を待つ。
 暫しの沈黙が流れたあと、そっと私の頭に大きな手が触れた。見なくとも分かる。幼い頃から何度も撫でられた、父の手だ。

 「いつの間にか、成長していたんだね」

 ゆっくりと頭を撫でる手に、私の目元が熱くなる。
 親に認められるということ、それがこんなに嬉しいことだと思わなかった。真剣にぶつかり合ったからこそ感じる喜びだ。
 涙がこぼれそうになるのを感じ、ぎゅっと目を瞑った。

 「僕はずっと、君が子どものままだと思っていたのかもしれない。身長が伸びたとか、目で分かる部分しか理解していなかったのかな。
 魔術だけじゃない。僕と意思をぶつけ合えるほど、心も成長していたのに」

 情けないね、そう言う父に、私は慌てて顔を上げる。視界が僅かに滲んでいたけれど、それを拭う余裕もなかった。
 だって、泣いているのだ。私と同じように、父も泣いている。

 「お父様は情けなくなどありません。私を大切に思ってくれていること、理解しています。
 本当は、私の意見など聞かずに連れ帰ることもできたでしょう。それでもこうして、向き合ってくれたことに感謝しているのです。

 その上で、どうか信じていただきたい。私がこの学園で成長することを、見守って欲しいのです」

 父の願いも私の願いも、どちらも間違いじゃない。
 ただ、立場が違っただけだ。子を持つ親と、子ども。それゆえに求める答えが変わってしまった。

 それでも、家族だからこそ。話し合って、時にはぶつかって、お互いが最善と思える道を探すことができる。

 「お父様、私はここで頑張りたいと思います。どうか、認めてもらえませんか」

 私の視界は、涙で滲んでいる。こんな風にぶつかり合うことは、初めてだった。親子喧嘩などしたことがなくて、どこか不安な気持ちでいた。

 けれど、それは父も同じだったのだ。自分が正しいと思うものと、娘の望みが違っていて。説得したいけれど、それも難しくて。
 結局流されるままに、ぶつかり合うことになった。初めてのこと、不安でないはずがなかった。

 「正直なところ、今でも不安な気持ちはある。けれど、シャーリーが成長していること。それは理解できたから。
 約束は守るよ。君がここに残ることを認めよう。だけど、シャーリーも約束してほしい」

 そう言うと、父は私の両手を強く握りしめた。真っすぐに私の目を見据える瞳は、涙で滲んでいる。

 「必ず、無事に屋敷へ帰ってくること。何かがあればきちんと話をすること。この二つを守ってほしい」

 その言葉は、父の真剣な思いが込められていた。父にしてみれば、当たり前の願いだろう。娘の無事を願うことも、何かがあれば話してほしいということも。
 ブリジット嬢の件を、私は話していなかった。突然聞かされた父からすれば、寝耳に水だったはず。娘を大切に思っているからこそ、そんなことがないようにと願うのは当然だった。

 「約束します。必ず、無事に帰ると。そして、ちゃんとお父様に相談をすることも」

 私の宣言に、父は安堵したような笑みを浮かべた。その目尻には、きらりと涙の粒が浮かんでいる。

 初めてお互いにぶつかり合った日。血の繋がりがあろうとも、別の人間だ。意見が異なることだってある。今まで大きなぶつかり合いがなかったのは、運が良かっただけだ。

 一度ぶつかり合った私たちは、また何度でもやり直せるだろう。すれ違いと仲直り。家族として当たり前のやり取りを、ここからはじめていくのだ。

 涙を浮かべたまま、私たちは互いに微笑み合う。
 この先どれほど時間が経とうとも、今日のことは忘れないだろう。私はそう思いながら、父の手を握った。

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