入れ替わった彼女

チャロコロ

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君は誰? 2

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 「ちょっと話しないか?時間があればだけど」
 たどたどしい誘いに、彼女は頷いた。
 「簡単でよければ料理作るよ」
 機敏に動く彼女の後ろ姿に問いかける。
 「いつも晩飯作ってくれてありがとな」
 「ううん、私も遅くまで残ってあげれなくてごめんね。色々忙しくて」 
 「そっか、忙しいんだな。俺と一緒だ。特に最近は忙しくて大変だよ」 
 「私と一緒だね」
 遥はクスッと笑った。
 「そう言えば、今どこに住んでるんだ?」
 「実家よ」
 「実家?ここから実家だと2時間くらいかかるだろ?」
 「冗談。ここから20分くらいのところに住んでるよ。今から来る?」
 「冗談かよ。明日も仕事だから今度にするよ」
 遥はすぐに料理を運んでくれた。
 「あのさっ……」
 「あー!」
 遥の大声に驚く。
 「なっ、何だよ。突然大声出して」
 「もうこんな時間、ねっ、ねっ、シャワー借りていい?明日も早いから身体洗ったら帰るね」
 遥は私の返事を待たずに浴室へ入っていった。
 「あっ、おい」
 声を掛けようとした時には浴室から服を脱ぐ物音がした。
 しょうがないな。元々帰宅しようとしていたのを、無理に引き留めたのは自分だ。
 思わず笑いが漏れた。遥の奴、中学生の時から変わってないな。
 明るくて、思いついたら即行動。遥と話すと、私は中学生に戻ってしまう。何もかもが。 
 両手を上げながら伸びをすると、あくびが出た。
 ん?
 ふとテレビ台の横に何かが置いてあることに気付いた。白地に青と黄のラインが入った布製のカバンだ。
 かわいいカバンを使ってるな。
 よく見るとカバンのファスナーが半分くらい開いて、中からポーチのような物が覗いていた。
 不用心だな。泥棒に財布を抜かれたらどうするんだよ。
 満員電車の中で財布ごと盗まれたことを思い出す。
 世の中には人様の物を盗んでのうのうと生活している奴がいる。
 遥にも一言言っておいた方が良いだろう。金を盗まれるだけならまだいい。私は元々大金を持つことはないし、また銀行からおろせばいい。それよりも大変なのは証明関係だ。忙しい平日の合間をぬって免許証や保険証の再発行をするのは骨が折れた。もう二度と行きたくない。
 そうだ!
 あることが思いついて身体をすぐに戻した。
 このカバンの中には彼女の身分を証明する物があるはずだ。免許証、保険証それがなければキャッシュカードでも何でもいい。
 それさえ見れば彼女が本当は誰かがはっきりする。
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