入れ替わった彼女

チャロコロ

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琴音の存在 1

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 毎日が多忙で、一日があっという間に過ぎて行く。社会人になってから時間が過ぎるのが早くなった。
 今日も何とか終電に乗って帰宅した。
 会社に泊ってもいいのだが、会社で寝ても休んだ気がしないので出来るだけ帰宅するようにしている。
 私が多忙でまともな時間に家にいることができないのが悪いが、木曜日になっても遥の顔を見ることは一度もなかった。
 当分忙しいので、朝食を作りに行くことができません。ごめんなさい。
 昨日、食事と共に遥からの書き置きがあった。
 ただ、家に帰ると必ず晩御飯は用意されていた。琴音に比べると遥の料理は少し慣れていない印象を受けたが、作ってくれるだけでもありがたい気持ちだった。
 遥と再会したことは、私にとって衝撃的な出来事だった。
 一方で大きな問題に直面していた。
 琴音の存在だ。
 私は遥と再会して以降、琴音の姿を一度も見ていない。
 遥と琴音の間で何かあったのだろうか?それとも遥と琴音は全く顔見知りではなく、私の家でばったり会ってしまい、失望した琴音が私の元から離れてしまったのかも知れない。
 本来なら毎日のように来ていた琴音と連絡を取るのが筋であることは分かっている。
 そんな事は分かっている。何故私は琴音と連絡を取ろうとしないのか?理由は明白だ。
 自分の気持ちが遥に傾いているからだ。
 琴音には申し訳ないが、この気持ちに嘘はない。
 一方で、この気持ちが琴音に連絡を取ることを躊躇させていた。今のままでは遥にも琴音にも失礼だ。
 宙ぶらりんな気持ちのまま、中途半端な生き方をしている自分が恥ずかしくみっともなかった。
 このままではいけない。
 時計を見た。午前零時五十分だ。この時間に琴音に電話することはできない。
 今後のことを話す必要があるだろう。中途半端は相手に対しても失礼だ。
 未だ答えは見つかっていないが、どちらにしろ一度話をした方が良い。
 携帯電話で登録しているメモリーを確認してみる。
 「あれっ?えっ?」
 思わずとぼけた声が出た。
 登録してあるはずの琴音の携帯番号がなくなっている。
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