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更に更に、その後。

パルマちゃんとの対談。

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 皆が皆パルマ公と話したがってるから、先ずはローシュが最初。

「で、何を話したいの?」
『何か。最近、何してる?』

「主に、観光地化、とか」
『あぁ、良いね、アレは?着替え専用の馬車の案とかもう出た?』

「何それ知らない」
『でしょー、意外とマイナーなんだけど……』

 交換条件も無しに良い情報をくれた、海水浴がいつからとか、それこそ着替え専用の馬車の事とか。

「普通にアリじゃない、何でそこを頑張らなかったのよ」
『だってメジャーじゃん海水浴、それこそ鉄道が走れば殆ど解禁して良いんだし、それよりレアイベントじゃん?』

「人が死んでるのに」
『促したけど強制はしてないし、僕は殺して無い』

「そうなると私の方が悪人よね、殺してるもの」
『身を守る為にでしょ、アレは僕が殺させた様なもんだし、そこはごめん』

「軽いのよねぇ、死が軽い、アレの中身見た?」
『あの血塗れのトランクの中は見て無いよ、絶対に入ってる重さじゃん、見ないよ普通』

「普通は狂気のカーニバルしないのよ」
『でも結果的に良い方向には行ったじゃない?』

「しなかったらもっと良い方向に行ってたかも、かの江戸時代は平和だからこそ文化が発展したのよ?春画とか」
『僕そう言う外国の歴史も、それこそ自国のもギリギリだし、戦争が国を発展させるとしか知らなかったんだもん』

「ナポレオン?」
『そうそう、だって缶詰だよ?凄くない?ずっと保存出来る安全な食べ物だよ?』

「缶切りが後なのがウケる」
『そこね、作ったのは良いけど開けるの無いの、マジ凄いよね』

「アレ転生者だったんじゃない?アナタみたいなバカ」
『あー、有り得るよねぇ、携帯コンロの開発とかも。アレも同じ時期らしいんだよね』

「アナタ、キャンプ好きでしょ」
『当たり!凄いね、心を読んだ?』

「陰キャのキャンプ好きのイベント企画業、結構、属性持ってるわね」
『特徴有る?』

「私としては面白いけど、近いの1人居たわね、向こうで」
『どんなヤツだった?』

「眼鏡」
『ぅう、当たり』

「けど結婚してた」
『無理だね、キャンプ以外だと親の監視が酷くて無理だったんだ』

「で、同性愛」
『女に転生してたら楽かなとは思うよね、男に抱かれるとか平気なんだし』

「ココで女だったら、どうしてた?」

『でもきっと、あのカーニバルはしてるよ、大事だと思ってたから』
「ナポレオンとクッカーニャのせいね」

『それは人のせいにし過ぎだと思う、主導したのは僕だし、人を死なせた責任は責任者が負うんだし』

「償いに何かしたい、とか有る?」

『苦しいとか痛く無いなら実験とかして良いよ、僕が外に出て何かするとかって費用対効果が悪そうだし、何か持たせるのって危ないし』

「その頭で何か編み出しなさいよ、勿体無い」
『拷問なら浮かぶんだけどね、水を汲むやつ』

「アレね、下が繋がってる無限作業シリーズね」
『そうそう、何でも知ってるね』

「何でもでは無い、アナタの償いの良い方法が浮かばないんだもん」
『僕は転生者だからなのかもだけどさ、昔は良く思い浮かんだんだよね、知らないのに知ってる事。転移者だとやっぱり無いのかな』

「と言うか向こうでも急に思い出すとか有るわよね、こうして話したり考えてる時。だから、また話しに来いとか?」
『僕のって言うか君の、その為に利用しても良いし、痛いのとか苦しいのじゃなければ何でも良いよ』

「クッカーニャしとして痛いとか苦しいのは嫌なのね」
『死ぬ時の事は良く覚えてるから、それと同じは嫌なんだ』

「あぁ、良い事を思い付いた、後で異国の文化を体験して貰うわ。じゃあね、パルマちゃん」

 そう言ってローシュが用意させたのは、アジアの本と紙と筆。
 柵越しにだけ触れる魔法が施されてて、柵の中に引き入れようとすると弾かれる、だからケガの心配も自殺の心配も無い。

『コレ書くと何が有るの?』
『さぁ?けど意味はソッチの本に載ってるって』

 させようとしてるのは、写経。
 償いとか精神統一をするのに、凄い有名な方法なんだって。

『何で優しいんだろうね、罪悪感かな』
『だけじゃないと思うよ、多分』

 本当の事は教えてあげない。
 ローシュにパルマ公への罪悪感は殆ど無い、有るのは仲間意識だけ。

『そっか』
『次を呼ぶけど良い?』

『あぁ、うん、勿論』



 悔しいけど、知ってる可能性が有るから。
 ルツさんと俺とアーリスで、パルマ公と面会する事に。

『率直に言って、女性が喜ぶ事について』

『男が好きだったんだけど?』
『けど、何か知ってる事が有れば、何でも』

『ローシュ、モテモテだ、良いなぁ』
『行いが違うので』

『性別を無視してくれるなら助言紛いの事は出来るけど、それで良いなら』
『それで』

 花を贈る、食事を作る、食事に誘う。
 ココでも一般的な事ばかり。

『あー、性癖は色々と知ってるけど、そこは?』
『そこも』

 正直、理解し難い不潔な行為から。

『寝取られ?』
『好きな相手を敢えて他の者に抱かせる』

『意味が、ちょっと分からないんですけど』
『まぁ、特殊なの並べてるから』

 他にも痛みで悦ぶだとか、それこそココで言う馬車が好きだとか。

『馬車』
『究極に性的な事を絞られるとそうなる、らしいよ』

『とんでもない』
『だよね、僕もそう思う』
《ココまでで何割ですかね》

『んー、2割』
《なら後で書き起こしておいて下さい》

『良いよ』
《後はもう、関連事項は無さそうですかね》

『特殊性癖とまでは言わないけど、強引なのが好きなのとかも居るよね、逆に強引にするのが好きとか。あ、道具ってどうなってる?詳しいよ僕、向こうでも使ってたし』

 思わずルツさんと顔を見合わせてしまい、アーリスを見ると頷き合っていた。
 コレはもう、寧ろ、知るべきだろう。

『それも、書き起こして貰えますかね』
『良いよー』



 少しだけ運命が違ってたら、僕は牢に居なかったかも知れない。
 それこそローシュがもう少し早くココに来てくれて、色々と話し合えてたら。

「パルマちゃん、パルマ公じゃなくて淫乱公にすべきよね」
『それ安直過ぎじゃない?』

「道具への情熱が凄いんだもの、寧ろ正解だと思うんだけど」
『キャンプ場で発散するしか無かったんだよね、相手探しも楽しむのも、ある意味で仕方無くだよ』

「けどコレ前立腺の、病気用に開発されたんでしょ?」
『良く知ってるね、そうそう』

「クッカーニャせずコレを世に出してれば、友達になれたかもなのに」
『ちょっとした友達じゃない?囚人と看守だけど』

「どうかしらね、友達って何?」
『何だろうね、ヤらない?』

「殺さない?」
『悪口を言わない?』

「変態」
『そう言うのじゃなくて、ふふふ、反応速度が良いよね、僕の前世の5倍は早い』

「おっとり系だったのね」
『どんくさいんだよ、いつも急かされて怒られてたし』

「出た、よく映画で観てたわ、学校カースト下位の眼鏡」
『それの勉強が出来ないヤツね、この脳味噌だったら、もう少し上手くやれてたのかなって思う』

「楽しく、じゃないのね」
『そこがもうね、カースト下位思考なんだよ。本当に、クッカーニャの事を知らなかったら良かった、多分、違う結果になってた筈』

「男でも?」
『うん、大きい事を成せば、何か許されるかなって思ってた。何をって聞かれると困るけど、何か、許されるんじゃないかって、別にココは同性愛者を殺さない世界なのに、何か、許される気がしてた』

「写経はどう?特に意味の方」
『虚無って0に近い概念だけど、多分、マイナスが無い0かな、とか思う』

「その写経の内容、全ては把握して無いのよ。分かったら教えてね」
『うん』

 それから暫くして、大罪の虚栄心だって言う何かと話す事になった。

「当ててあげるわ、先ず、コイツはどっちなんだ」
『良く言われるんだ』

「まぁ、分かってて敢えて、このままってのも有るわね」
『不便とか無いの?』

「私的にはね」
『どんな事?』

「性行為可能な生殖器が無いの、小さい頃から」
『小さい頃が有ったんだ、実際』

「全員が全員そうじゃないけどね」

『それで、僕にどんな興味が有るの?』

「大罪、知ってる?」
『名前だけ一通り、そこまで熱心じゃ無かったから、少し知ってる程度かな』

「じゃあ原罪については?どう思う?」

『ローシュは持って無さそうだよね、って言うか持ってて欲しくない、違う宗教なんだから』
「ならアンタは持ってると思う?」

『前も、今も、だからって言い訳じゃないんだけど、クッカーニャした理由の1つだと思ってる。何かを成さないと生きてたらいけない、償い続けるのが人生、クソみたいだ』

「どうしたら原罪って晴れるの?」
『それは君の事、大罪達の事だよね』

「そして魔王も」
『僕は今は、もう、本当は原罪は無かったと思ってる。結局は、どう思うか。寧ろ害したり傷付けた時点で背負う事になる、そして償いと共に再び天に返り、罪を犯せば戻って来る』

「前は有ると思ってたのね」
『この写経の前まで、理解するまで、最初が0ならどんなにマイナスでもプラスでも0に戻る。じゃあ最初は何か』

「何も無い、0」
『生きるだけならプラスにもマイナスにもならない、けど害した時点でどっちかに傾く、それと同時に原罪が降って来る』

「ならどうして、私達は大罪なの」
『過去の馬鹿のせい、居ると捕捉して確定させた者のせい。ローシュとの結論だけど、僕もそう思う、観測者が与える影響は有る。だからいつか、自分が納得する違う役割を得た時、大罪じゃなくなるかも知れない。元、大罪』

「元魔王、元大罪」
『憤怒だけが怖いって言ってたんだよね、感情の中で怒りが1番強いから、呑み込まれないで欲しいって』

「私は、悲しみ、悲嘆が1番怖いと思うけどね」
『唯一自分を死に追い込めるからね、確かに、そうかもね』

「けど、こう定義したら不味いんじゃないの」
『かも、だし、固定してないから大丈夫でしょう』

「そう固定するのね」
『世界が嫌いでクッカーニャしたんじゃないからね、ただ僕が無知だったから、前世に引っ張られてただけ』

「アンタ、何か要望は無いの」

『優しい人は皆それ聞くんだよね、こうならないと分からないのってバカだよね、こうなるだろうって想定出来てた筈なのに』

「知らなければ良かった?」
『そう思えないんだよね、だって楽しいんだもん、前世も含めて。牢の中が1番楽しい』

「泣き落としとか嫌いなんだけど」
『まぁ、前の世界って、凄いクソだから。クソのカスで可哀想だね、早く他の何かになりなよ』

「考えておくわ、じゃあね」

 それからもローシュとは偶に会って話したり、逆に全く誰も来なかったり。
 けど暇は無かった、本は読めるし書けるし、僕の成果を知る事も出来たりするし。



「パルマちゃん」
『ん?』

「出たい?」

『えー、ココが良いんだけど』
「えー、何よそれ、牢の意味を成してなくない?」

『君の言う正史なら人権が無い時代なのに、衣食住が揃って清潔で、しかも食事が不味くないとか。向こうでだって国によっては難しいんだよ?』

「だって私がされたら嫌だし」
『犯罪者だよ?』

「ね、けど色々と有って死刑じゃない。あ、同情じゃないからね、どうしたいか聞いてるだけだし」
『ココに居たいな、多分、他の情報を得るとまた悪巧みをしちゃうかもだし』

「ドМ」
『前も言われてた』

「変態」
『知ってる』

「アレ、自然が嫌い?」
『あー、それかも、キャンプばっかりしてたじゃん?今思うと、それが悪い意味で蘇ってたのかも』

「なら海は?海の上のコテージ」
『それは無いけど、優遇し過ぎじゃない?』

「そこは大丈夫、魔法で何とかする」
『それね、つい忘れるよね、魔法とか神様とか』

「いつも居るのにねぇ、ガブちゃん」
『はい』

『居るんだ、実際』
「じゃ、色々と制約は有るけど、もう出て。私が嫌」

『しょうがないなぁ』
「宜しくね、ガブちゃん」
『はい』

 そして主からも命を受け、正式に私がパルマ公を見守る事に。
 そして彼を制御するのも、推し進めるのも私。

「可愛いわねぇ」
『でしょ』

「変わらないわね、その感じ」
『前世はグズグズうだうだしてたのにね、何かそんな風にならないんだよね』

「女性体でも?」
『みたい、そう変わらないね』

「はいはい、生理を味わってからね」
『それは本当に怖いんだけど、いつ?』
『本当に知りたいですか?』

「私にだけ教える、とか」
『あ、うん、そうして』
『では』

「あー、はいはい、成程ね」
『あー、それ怖い、普通に怖い』
『ふふふ』

 そして彼は私とは少し違う、羽根有りに気に入られる事に。

「あの」
《ロキから面白い子が居ると聞いて、ふふふ、頂戴この子》
『あの、僕は男が好きで、だから女性の姿なんですけど』

《知ってるわ、大丈夫、男として相手をしてあげる》

「パルマちゃん、その場合は、どうなるの?」
『考えて無かったけど、まぁ、外見が男なら別に。多分、大丈夫』
《じゃあお試ししましょうね》

 カラスの様な黒い羽根を持った何かが、彼を。

「ガブちゃん、アレ」
『ウチの者では無いですね』

「北欧のだと、ヴァルキュリア、かしら」
『ですね』

 それから暫くして戻って来た彼は。

『何か、召し上げとか言って、外界にはそう来れないみたい』
「まぁ、パルマちゃんが良いなら良いのだけど、どうなの?」

『どの部分が女だとダメなのかとか、凄い探究させられたんだけど、楽しかった』
「それ拷問に近かったのでは?」

『ほんのちょっとだから大丈夫だったし、ヤれた、で何か、脳がバグった』
「それ本当に大丈夫なの?」

『だって凄い好みの男の姿なんだもん、何かもう、性器程度は見えないならどうでも良くなった』
「調教されてますやん」

『良い意味で』
「良いのね」

『凄い優しいし、多分、こんな愛されたの初めてだと思う』

「嫌な事は?無理してない?」
『無いんだよねぇ、意外と、って言うか意外と嫌じゃないって色々と既にしちゃってるし。多分、死ぬまで一緒に居ると思う』

「嫌になったら帰って来れるか、他に相手を選べる約束をして」

『優しいよね、ローシュ。ごめんね、クッカーニャしちゃって』
「まぁ、私は被害者じゃないし、ウチでは刑期を半ば終えてるし。監視付きなら安心だし、嫌で無理してないなら良いのよ」

『全然、逆に、満たされてて怖いかも』
「分かる」

『あぁ、コレがアレね、君の言ってた幸せ恐怖症。あ、来た来た』
「え、こんな感じで終りなの?」

『偶に来るよ、覚えてれば』
「そう、じゃあねパルマちゃん」

『じゃあね、ローシュ、ガブちゃん』
『はい、では』

 そして彼とヴァルキュリアの子なのか、子供が1人、ローシュの家の前に置かれる事に。

「えっ、えっ?」
『パルマ公の血筋かと』

「ぁあ、子孫が居ないのは勿体無いって、聞こえちゃってたのかしら」
『かも知れませんね』

「ガブちゃんでも観測不能なのね」
『万能では有りませんから』

「ですよね。さぁ、名付けから迷うわね」
『彼の様に賢いなら、スタスかハンリックか』

「定規ね、成程。けど明らかに誰とも似て無いし、姓は別が良いわよね」
過去を説明する者ズグラベスクウェーバー織工、彼は器用でしたので』

「ならベスクちゃん、あ、ハンリック。君は今日からズグラベスク・ハンリック、宜しくね、ベスクちゃん」
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