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更に更に、その後。
尻拭い。
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ウチの子(ローレンス)の尻拭いの為に、ステラを守ろうとしてくれていた地味顔さんを探したのだけど。
『残念、結婚してたね』
「そう物語の様には上手くいかないものね」
『じゃあ物語では上手くいかせる?』
「あぁ、そうね」
騒動の間にほったらかしにしていたマーロウ達に、奪い合いだとか馬車でとかの事を相談、と言うかネタ提供と言うか。
《平民の優秀な男を女貴族が取り合う、しかも取り合ってたのとは全く別の女に。そんで負けた方を敢えて書くのか、良いな》
「あの、私の事と混ざってない?」
《何だ、嫌か》
「嫌と言うか、まぁ、面白ければ何でも良いんだけど。いきなり第3の女はマズいわよ、しっかり匂わせないと」
『それこそローレンス君を題材にさせて貰いたいよね、2部か3部作で』
「そのオチになるなら2部で、3部まで引っ張られて他の女に持って行かれるのは腹立たしいもの」
『寧ろ逆だよ、ローレンス君が主人公で、次々に良い女が現れるけど靡かない』
《アレだな、1人に1つの欠点、それこそ大罪を組み込んで、最後には完璧な女が現れる》
「それ、私、完璧じゃないのだけど」
『あぁ、君がそう思われて重荷を背負う事になってしまうか』
《アンタに病まれたら困るんだが、この案は惜しい》
「こう、ちょっと変えて、実は精霊や女神の血筋でした、とか」
《ダメだ、それだと憧れられないだろう、結局は血筋だ家系だ、そこから抜け出て楽しむのが物語なんだ》
『良い案だと思ったんだけどねぇ、ローレンス君の様な色男の物語』
「完璧かどうかは別に、こう、謎めいた女として」
《レースを被った謎の女が、時には助け、時には惑わす。うん、良いな、そうしよう》
「あ、出来たら白いベールで、そうした伝承が有るそうですから」
『ほう』
「ヴァイセ・フラウ、フリウリ地方だけでは無く、ココら辺でも知られてるそうなんです」
『後は暗闇の祖母もね、逆の存在って感じみたい』
『成程、登場させたら親しみ易さを感じてくれるかも知れないね』
《なら別枠で出そう、それとベールの色が青なら良いだろ》
「まぁ、赤以外、私だと思われないなら」
まぁ、そんなワケにもいかないでしょうけど。
赤色のベールじゃないなら、ね。
『ふふふ、コレで暫くはほっといても大丈夫そうだね』
「後は寸劇の内容次第で、監修を、バルバリゴにお願いしちゃおうかしら」
『もう少し選んだら?』
「選ぶにも、やっぱりベアトリスかステラに相談したいのだけど」
ステラは本当にちょっと、ギリギリアウトな感じだそうで。
『ベアトリスのお見舞いに行く?』
「ね、ベアトリスは悪く無いと示す為にも、行きましょうか」
既にメディチ家と仲良くしているし、当主である旦那様ともご挨拶はしてるから良いんだけど、逆にそこなのよね。
乗っ取ろうとしてるとか、マジで火が無くても煙が立つのが人の世。
要らないわよ、面倒くさい。
『確かココだよね、ベアトリスのお気に入りの店』
街の可愛いお菓子屋さん。
けれどしっかりチョコ製品も有る、良い意味で中流的。
「ロレダン家のベアトリス夫人に贈りたいのだけど、選んで頂けるかしら?」
ザワザワされましても、善意で贈ろうとしてるのよコッチは。
《すみません、ただいまご用意させて頂きますね》
「じゃあ紅茶とオススメのお菓子もお願いしますね」
はい、ココまでがテンプレ。
本来ならポットも来るけど、こう頼むと紅茶1杯とお菓子少しが来る、そして支払いは銀貨とか銅貨。
最終的には国が貨幣を管理するんだけど、価格を上げ下げせず内容量が減るか増えるか、基本的には何処も外の者には多めに渡して見栄を張る様にお触れが内々に出てるのだけど。
《お待たせ致しました》
「どうも」
うん、見栄禁止なのか普通の量。
『美味しい紅茶だ』
「そうね」
質重視は偉い。
『凄い見られてるね』
「忘れてたけど、私東洋人なのよね、珍しいからじゃない?」
『あ、そっか』
「分かる、意識しない様にしてるから偶に本当に意識から消えるのよね、人種」
にしても凄い見られるのは、何故。
『もう噂が流れてるのかな』
「どう噂されてるのかしらね」
アレかしら、乗っ取る的な。
《お待たせしております、この様な詰め合わせにさせて頂きましたが》
「ありがとう、そのまま包んで下さい」
《はい》
アイスティーを発明したい気持ち、分かるわ。
早く飲み切りたい時とか、それこそ暑い時とか。
あ、アレ、フルーツポンチの果物を凍らせておくとか。
『ローシュ、お見舞いに来てくれるなんて』
「別に喧嘩別れしたワケじゃないんですし、相談するつもりで来たのだけど」
『勿論大丈夫よ、どうぞ座って』
「先ずはお土産なんだけど、お店、合ってたかしら」
『覚えていてくれたのね、ありがとう』
「泣くと疲れるわよ」
『ごめんなさい、ありがとう』
「いえいえ、早速だけど観劇の事で相談しようと思って。劇場でも何でも、貴族の監視員を据えるべきだと思わない?」
『監視員』
「そうそう、あ、食べて食べて、良い塩梅ねココのお菓子」
『そうなの、甘過ぎると嫌になっちゃうから。それで、その、監視員って』
「貴族なら本来どうするか、どうすべきか、脚本家の相談役。1番は日替わりか週替わりで、色んな方に相談出来ればと思って」
『敢えて据えると言う事?』
「後援者だと面倒だろうから、敢えて劇場に据えて。脚本を読んでココが違うだとか、そもそも正しいカーテシーだとかを教える人が居れば、少なくとも外部からココに来た人は貴族以外でも教養が高いのだと思うかも知れない」
『それで貴族の教えが少しでも広まれば』
「教養が高くなる、子供用は教会側にお願いしてあるから、それと同じ。作法を知って、知れば身に付き易い」
『後援者じゃなくて』
「敢えて監視員として据える、同じ人だと何回も同じ説明をして嫌になるだろうし、日替わりなら明日の人に聞けとか出来るじゃない?」
『そうなると、良く後援者になってる人は省くべきかしら』
「そこは別に良いんじゃない?人数が多い方が問題が少なくなりそうってだけだから、実際の稼働については任せるわ」
『それで、どうして私に相談を?』
「最初は誰を据えるかと考えて、ならステラかベアトリスに相談しようかと。で、それって私なら面倒だと思うから、日替わりなら良いかしらと思って」
『夫に相談しても良いかしら』
「どうぞどうぞ、そこで誰に提案させるかも任せるわ。私は安定した劇が広まれば良いだけだから」
最初から、今も、一貫しているのに。
権力もお金も、それこそ物も不相応には欲しない。
なのに。
『本当に、ごめんなさい』
「良いのよ、マザコンなんだし」
『ふふふ、本当にそうらしいわね、自覚出来る様に頑張るわ』
「程々にね」
転生者である母親を救いたかったけど、叶わなかった。
だから転生者に母親を重ね、過度に守ろうとしていた、らしい。
自覚が無いけど、そう言われるとそうなのかもとは思う。
今の私の周りには、母親とは違って理解者も居て、知り合いの転生者もそう弱いワケでも。
ぁあ、確かに母親が基準になってるわ、確かにそうね。
『ありがとう』
神々のお陰で家具は揃った、そして薪も。
『ルツ、良い場所だなおい。後は、何だ?』
《食料、ですかね》
『そこもかよ』
《思った以上に家が早く出来たので、後はもう、保存食を作りまくろうかと》
『まぁ、冬の間はサボってたしなぁ』
《狩りでも良いんですが、王が直ぐに毛皮を渡してしまうので》
『だって他に欲しい物が無いって言うんだぞ、仕方無いだろ?』
《そこなんですよね、直ぐに国政に繋がる事か、仕事の事か。個人の楽しみが全く無い》
『そらベッドでっ』
《それ以外、です》
『温泉はな、冬にはいけるだろ』
《人力のみですからね》
『あらココに欲しいなら良いわよ?ねぇ?』
『湯浴みは必ずするだろうからね』
『岩か木か、いや両方だな』
『ぉお、俺も欲しい』
《言うと思ってました、候補地はココですが、どうですか》
『欲しいが、ちょっと近いが良いのか?』
《目くらましにも最適かと》
『もう、しょうがないわねぇ』
『子孫繁栄にも繋がりそうだしね』
『両方に両方だな』
『ありがとうございますぅ』
《ありがとうございます。さ、もう戻りますよ王、収穫して瓶詰にし、ココに置かないといけないんですから》
『巣作りルツ、ぐぇっ』
《是非試してみたら良いですよ、意外と楽しいですから》
人も動物なのだと実感する。
住処を整え餌を用意し、後は相手が気に入るかどうかを待つ。
財力、権力。
狩りの能力、知恵、知識、技能。
喜んで貰えないかも知れないと思うと、途端に虚しくなってしまう。
けれども既に喜んで貰えた物を用意する時、その思い出と共に嬉しくなる。
また喜んで欲しい。
そう思って用意をする。
ローシュ曰く、脳の作用、成功報酬系が繰り返し行為を行わせているらしい。
飲食や性行為、それらの事を思うと脳を開かなくとも納得がいく。
ただ、もし失敗したとしたら。
『ルツ、サボるじゃんかよ』
《コレがもし失敗したら、私はどうしたら良いんでしょうか》
『そこはもう、耐えて生きるしか無いだろ、姉上を命で脅すワケにいかんのだし』
《最悪は、ダメですかね》
『はい姉上が足りてないー、行くか呼ぶかしろ、じゃないと殴るぞ』
《様子伺いには行きます》
一応、迷惑を掛けてしまったので挨拶回りをし、バルバリゴ家に戻って来て。
報告にとローシュの部屋に行くと。
『ルツさん、どうかしたんですか?』
『ローシュが足りなくなったんだって』
『あぁ、準備するのも大変ですからね』
『足りなくなる大変さなの?』
『気に入るかどうか考えて、選んで、確信が無いと不安になるんですよ』
『ドレスも家も、選ぶの大変かぁ』
『あ、ネオスはどうしてるんですかね』
『まだ、けど準備はしてるみたい、この前はキノコの瓶詰め作ってた』
『あぁ、食料もか、そっか』
『ローレンスには難しいんじゃない?』
『流石に慣れて無いんで食中毒が、もう、ココは財力と情報網ですかね』
『買い漁るにしても、荷物はどうするの?』
『そこ、それ、どうしましょうね』
『ルツが無事に終わったらルツに手伝わせよう』
『あぁ、じゃあ邪魔しない様にしないと』
『あ、寧ろ今のウチに買い漁って、渡しておけば?』
『それ少し間違うと賄賂って言うんですよ』
『うん、知ってる』
『行きましょうか』
『だね』
ローシュが喜ぶ物、喜びそうな物。
『本人も知らないで、意外と喜ぶ、とか』
『そこだよねぇ、ローシュでも知らない事も有るし、知ってるだけで味を知らないとかも有るし』
『向こうの基礎知識が有れば良いんですけどね』
『安全の為にって教えてくれなかったりもするからなぁ』
『アレに聞くのはダメなんですかね』
『パルマ公?』
『うん、はい』
『情報を持ってるか、だよねぇ』
『取り敢えず、王に相談しましょうか』
『だね、ネオスにも使える情報かもだし』
王様は優しい、と言うかローシュに優しい。
『日程は調整するが、お前、あんまり無茶するなよ?』
『はい、でも信じて下さい、本当に』
『それな、どうなんだ?具合とか』
『結構違いますね、ただ身長に比例して……』
『残念、結婚してたね』
「そう物語の様には上手くいかないものね」
『じゃあ物語では上手くいかせる?』
「あぁ、そうね」
騒動の間にほったらかしにしていたマーロウ達に、奪い合いだとか馬車でとかの事を相談、と言うかネタ提供と言うか。
《平民の優秀な男を女貴族が取り合う、しかも取り合ってたのとは全く別の女に。そんで負けた方を敢えて書くのか、良いな》
「あの、私の事と混ざってない?」
《何だ、嫌か》
「嫌と言うか、まぁ、面白ければ何でも良いんだけど。いきなり第3の女はマズいわよ、しっかり匂わせないと」
『それこそローレンス君を題材にさせて貰いたいよね、2部か3部作で』
「そのオチになるなら2部で、3部まで引っ張られて他の女に持って行かれるのは腹立たしいもの」
『寧ろ逆だよ、ローレンス君が主人公で、次々に良い女が現れるけど靡かない』
《アレだな、1人に1つの欠点、それこそ大罪を組み込んで、最後には完璧な女が現れる》
「それ、私、完璧じゃないのだけど」
『あぁ、君がそう思われて重荷を背負う事になってしまうか』
《アンタに病まれたら困るんだが、この案は惜しい》
「こう、ちょっと変えて、実は精霊や女神の血筋でした、とか」
《ダメだ、それだと憧れられないだろう、結局は血筋だ家系だ、そこから抜け出て楽しむのが物語なんだ》
『良い案だと思ったんだけどねぇ、ローレンス君の様な色男の物語』
「完璧かどうかは別に、こう、謎めいた女として」
《レースを被った謎の女が、時には助け、時には惑わす。うん、良いな、そうしよう》
「あ、出来たら白いベールで、そうした伝承が有るそうですから」
『ほう』
「ヴァイセ・フラウ、フリウリ地方だけでは無く、ココら辺でも知られてるそうなんです」
『後は暗闇の祖母もね、逆の存在って感じみたい』
『成程、登場させたら親しみ易さを感じてくれるかも知れないね』
《なら別枠で出そう、それとベールの色が青なら良いだろ》
「まぁ、赤以外、私だと思われないなら」
まぁ、そんなワケにもいかないでしょうけど。
赤色のベールじゃないなら、ね。
『ふふふ、コレで暫くはほっといても大丈夫そうだね』
「後は寸劇の内容次第で、監修を、バルバリゴにお願いしちゃおうかしら」
『もう少し選んだら?』
「選ぶにも、やっぱりベアトリスかステラに相談したいのだけど」
ステラは本当にちょっと、ギリギリアウトな感じだそうで。
『ベアトリスのお見舞いに行く?』
「ね、ベアトリスは悪く無いと示す為にも、行きましょうか」
既にメディチ家と仲良くしているし、当主である旦那様ともご挨拶はしてるから良いんだけど、逆にそこなのよね。
乗っ取ろうとしてるとか、マジで火が無くても煙が立つのが人の世。
要らないわよ、面倒くさい。
『確かココだよね、ベアトリスのお気に入りの店』
街の可愛いお菓子屋さん。
けれどしっかりチョコ製品も有る、良い意味で中流的。
「ロレダン家のベアトリス夫人に贈りたいのだけど、選んで頂けるかしら?」
ザワザワされましても、善意で贈ろうとしてるのよコッチは。
《すみません、ただいまご用意させて頂きますね》
「じゃあ紅茶とオススメのお菓子もお願いしますね」
はい、ココまでがテンプレ。
本来ならポットも来るけど、こう頼むと紅茶1杯とお菓子少しが来る、そして支払いは銀貨とか銅貨。
最終的には国が貨幣を管理するんだけど、価格を上げ下げせず内容量が減るか増えるか、基本的には何処も外の者には多めに渡して見栄を張る様にお触れが内々に出てるのだけど。
《お待たせ致しました》
「どうも」
うん、見栄禁止なのか普通の量。
『美味しい紅茶だ』
「そうね」
質重視は偉い。
『凄い見られてるね』
「忘れてたけど、私東洋人なのよね、珍しいからじゃない?」
『あ、そっか』
「分かる、意識しない様にしてるから偶に本当に意識から消えるのよね、人種」
にしても凄い見られるのは、何故。
『もう噂が流れてるのかな』
「どう噂されてるのかしらね」
アレかしら、乗っ取る的な。
《お待たせしております、この様な詰め合わせにさせて頂きましたが》
「ありがとう、そのまま包んで下さい」
《はい》
アイスティーを発明したい気持ち、分かるわ。
早く飲み切りたい時とか、それこそ暑い時とか。
あ、アレ、フルーツポンチの果物を凍らせておくとか。
『ローシュ、お見舞いに来てくれるなんて』
「別に喧嘩別れしたワケじゃないんですし、相談するつもりで来たのだけど」
『勿論大丈夫よ、どうぞ座って』
「先ずはお土産なんだけど、お店、合ってたかしら」
『覚えていてくれたのね、ありがとう』
「泣くと疲れるわよ」
『ごめんなさい、ありがとう』
「いえいえ、早速だけど観劇の事で相談しようと思って。劇場でも何でも、貴族の監視員を据えるべきだと思わない?」
『監視員』
「そうそう、あ、食べて食べて、良い塩梅ねココのお菓子」
『そうなの、甘過ぎると嫌になっちゃうから。それで、その、監視員って』
「貴族なら本来どうするか、どうすべきか、脚本家の相談役。1番は日替わりか週替わりで、色んな方に相談出来ればと思って」
『敢えて据えると言う事?』
「後援者だと面倒だろうから、敢えて劇場に据えて。脚本を読んでココが違うだとか、そもそも正しいカーテシーだとかを教える人が居れば、少なくとも外部からココに来た人は貴族以外でも教養が高いのだと思うかも知れない」
『それで貴族の教えが少しでも広まれば』
「教養が高くなる、子供用は教会側にお願いしてあるから、それと同じ。作法を知って、知れば身に付き易い」
『後援者じゃなくて』
「敢えて監視員として据える、同じ人だと何回も同じ説明をして嫌になるだろうし、日替わりなら明日の人に聞けとか出来るじゃない?」
『そうなると、良く後援者になってる人は省くべきかしら』
「そこは別に良いんじゃない?人数が多い方が問題が少なくなりそうってだけだから、実際の稼働については任せるわ」
『それで、どうして私に相談を?』
「最初は誰を据えるかと考えて、ならステラかベアトリスに相談しようかと。で、それって私なら面倒だと思うから、日替わりなら良いかしらと思って」
『夫に相談しても良いかしら』
「どうぞどうぞ、そこで誰に提案させるかも任せるわ。私は安定した劇が広まれば良いだけだから」
最初から、今も、一貫しているのに。
権力もお金も、それこそ物も不相応には欲しない。
なのに。
『本当に、ごめんなさい』
「良いのよ、マザコンなんだし」
『ふふふ、本当にそうらしいわね、自覚出来る様に頑張るわ』
「程々にね」
転生者である母親を救いたかったけど、叶わなかった。
だから転生者に母親を重ね、過度に守ろうとしていた、らしい。
自覚が無いけど、そう言われるとそうなのかもとは思う。
今の私の周りには、母親とは違って理解者も居て、知り合いの転生者もそう弱いワケでも。
ぁあ、確かに母親が基準になってるわ、確かにそうね。
『ありがとう』
神々のお陰で家具は揃った、そして薪も。
『ルツ、良い場所だなおい。後は、何だ?』
《食料、ですかね》
『そこもかよ』
《思った以上に家が早く出来たので、後はもう、保存食を作りまくろうかと》
『まぁ、冬の間はサボってたしなぁ』
《狩りでも良いんですが、王が直ぐに毛皮を渡してしまうので》
『だって他に欲しい物が無いって言うんだぞ、仕方無いだろ?』
《そこなんですよね、直ぐに国政に繋がる事か、仕事の事か。個人の楽しみが全く無い》
『そらベッドでっ』
《それ以外、です》
『温泉はな、冬にはいけるだろ』
《人力のみですからね》
『あらココに欲しいなら良いわよ?ねぇ?』
『湯浴みは必ずするだろうからね』
『岩か木か、いや両方だな』
『ぉお、俺も欲しい』
《言うと思ってました、候補地はココですが、どうですか》
『欲しいが、ちょっと近いが良いのか?』
《目くらましにも最適かと》
『もう、しょうがないわねぇ』
『子孫繁栄にも繋がりそうだしね』
『両方に両方だな』
『ありがとうございますぅ』
《ありがとうございます。さ、もう戻りますよ王、収穫して瓶詰にし、ココに置かないといけないんですから》
『巣作りルツ、ぐぇっ』
《是非試してみたら良いですよ、意外と楽しいですから》
人も動物なのだと実感する。
住処を整え餌を用意し、後は相手が気に入るかどうかを待つ。
財力、権力。
狩りの能力、知恵、知識、技能。
喜んで貰えないかも知れないと思うと、途端に虚しくなってしまう。
けれども既に喜んで貰えた物を用意する時、その思い出と共に嬉しくなる。
また喜んで欲しい。
そう思って用意をする。
ローシュ曰く、脳の作用、成功報酬系が繰り返し行為を行わせているらしい。
飲食や性行為、それらの事を思うと脳を開かなくとも納得がいく。
ただ、もし失敗したとしたら。
『ルツ、サボるじゃんかよ』
《コレがもし失敗したら、私はどうしたら良いんでしょうか》
『そこはもう、耐えて生きるしか無いだろ、姉上を命で脅すワケにいかんのだし』
《最悪は、ダメですかね》
『はい姉上が足りてないー、行くか呼ぶかしろ、じゃないと殴るぞ』
《様子伺いには行きます》
一応、迷惑を掛けてしまったので挨拶回りをし、バルバリゴ家に戻って来て。
報告にとローシュの部屋に行くと。
『ルツさん、どうかしたんですか?』
『ローシュが足りなくなったんだって』
『あぁ、準備するのも大変ですからね』
『足りなくなる大変さなの?』
『気に入るかどうか考えて、選んで、確信が無いと不安になるんですよ』
『ドレスも家も、選ぶの大変かぁ』
『あ、ネオスはどうしてるんですかね』
『まだ、けど準備はしてるみたい、この前はキノコの瓶詰め作ってた』
『あぁ、食料もか、そっか』
『ローレンスには難しいんじゃない?』
『流石に慣れて無いんで食中毒が、もう、ココは財力と情報網ですかね』
『買い漁るにしても、荷物はどうするの?』
『そこ、それ、どうしましょうね』
『ルツが無事に終わったらルツに手伝わせよう』
『あぁ、じゃあ邪魔しない様にしないと』
『あ、寧ろ今のウチに買い漁って、渡しておけば?』
『それ少し間違うと賄賂って言うんですよ』
『うん、知ってる』
『行きましょうか』
『だね』
ローシュが喜ぶ物、喜びそうな物。
『本人も知らないで、意外と喜ぶ、とか』
『そこだよねぇ、ローシュでも知らない事も有るし、知ってるだけで味を知らないとかも有るし』
『向こうの基礎知識が有れば良いんですけどね』
『安全の為にって教えてくれなかったりもするからなぁ』
『アレに聞くのはダメなんですかね』
『パルマ公?』
『うん、はい』
『情報を持ってるか、だよねぇ』
『取り敢えず、王に相談しましょうか』
『だね、ネオスにも使える情報かもだし』
王様は優しい、と言うかローシュに優しい。
『日程は調整するが、お前、あんまり無茶するなよ?』
『はい、でも信じて下さい、本当に』
『それな、どうなんだ?具合とか』
『結構違いますね、ただ身長に比例して……』
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