声劇台本集

独身貴族

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ハイドライバー

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【使用にあたって】
お好きに使ってくださいな。
作者名は「独身貴族」でお願いします。
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【台本について】
男女不問。Aは自由にやってください。

A:客。男女不問。名前、一人称変更可。
乗務員B:覆面パトカー
乗務員C:執事
乗務員D:ヤクザ
乗務員E:霊柩車
乗務員F:009Q

──────────



第一話【覆面パトカー】

A『どうも、最近都会に引っ越してきたAです。車を持ってないもんだから、もっぱらバスや電車で移動していますが、時々タクシーを利用することもあります。今日も飲み会があり、酒をしこたま飲んだ私は、タクシーを使って帰ることにしました。大通りに出て、タクシーが通るのを待って手を上げた……が、なかなかつかまらない。そこで、私は一緒にいる同僚と、酔っ払いさながら大声で言いました』

A「ヘイ、タクシー!」

A『すると、一台の乗用車が、私たちの前に止まりまして……後部座席のドアが、自動で開いたのです』

乗務員B「どうぞ、お乗りください」

A「え? これタクシー?」

乗務員B「そうですよ。どうぞ」

A『どこからどう見てもタクシーには見えないのですが、私たちは促されるまま、車に乗りました』

乗務員B「どちらまで行かれます?」

A「ええっと・・・駅前のコンビニまでお願いします。そこから家、直ぐなんで」

乗務員B「わかりました」

A「あの……なんだか、タクシーっぽくないですね。一瞬わかりませんでしたよ」

乗務員B「ああ、よく言われます。他所みたいに車体に会社名書いていませんから」

A「もしかして白タク……?」

乗務員B「違います。ちゃんと緑ナンバーつけてます」

A「そうですか……」

乗務員B「そうですよ」

A「あー、なんか道、混んでますね。花金だからかな……って、おい、大丈夫? え、何? 吐きそう?」

乗務員B「どうかしましたか」

A「あー、同僚が、酒呑みすぎで吐きそうらしくって……」

乗務員B「仕方ないですね」

A『すると、乗務員は窓を開け、運転席の上に、何かをパコっと載せました。すると、頭上でけたたましく、サイレンがウ~ウ~と鳴ったんです』

♪サイレンの音

乗務員B「はいはいはい、退いてください~緊急車両が通ります~」

A「えええええええええ!?」

乗務員B「はいはい、退いて退いて~」

A「え、なに、この車、覆面パトカーなの!?」

乗務員B「そうです」

A「おにいさん、警察官!? 警察がタクシーやってるの!?」

乗務員B「元警察官です。ほら、あっという間に着きましたよ」

A「職権乱用じゃん! こんなのアリ!???」

乗務員B「うちのタクシーはなんでもありなんです」

A『乗務員のおにいさんはそう言い残して、去って行きました。私は全く意味が解せないまま、ゲロゲロやる同僚の世話をしましたとさ……』




***


第二話【執事】

A『どうも、Aです。天気の良い清々しい朝ですが……寝坊しました。今、全速力で着替えています。時計を見ましたが、絶対電車には間に合いません。仕方がない、最終奥義を使うしかない……! タクシー呼ぶかタクシー! 前回は、道で変なタクシーを拾ってしまったので、今回はググって一番上に出てきた会社に電話をかけました。私賢い!』

♪電話の音

受「お電話ありがとうございます。タクシー一台、ご用命ですね? ありがとうございます! ちょうど近くに一台おりますので、直ぐに向かわせますね!」

A『5分ほどして、タクシーが家の前に着いたようです……が、タクシーじゃない。あれはロールスロイスではありませんかッ……!?』

乗務員C「おはようございます、お嬢様(旦那様)。タクシー一台ご用命のA様でございますね?」

A『なんか執事服の男が降りてきましたよ???』

乗務員C「さ、お乗りくださいませ」

A「あ、あの、これ、タクシーっすか??」

乗務員C「その通りです。御用命預かり、参上いたしました。お嬢様の本日のご予定は」

A「あ、あの、仕事に遅れそうなんです。職場まで送って欲しいのですが」

乗務員C「かしこまりました」

A「な、なんか落ち着かない……」

乗務員C「では、音楽を流しましょう。どのような曲がよろしいでしょうか」

A「え、えっと、〇〇で」

乗務員C「(高らかに歌い出す)」

A「(被せて)も、もっと落ち着かない……!」

乗務員C「着きました」

A「は、はあ。って、ここどこ!? 会社じゃないじゃん!?」

乗務員C「今日はとてもいいお天気ですから、久々に休暇を取っては如何かと、湖畔の公園へご案内いたしました。会社の方へは私めが連絡を入れておきますので、お嬢様はどうかごゆっくりお寛ぎくださいませ」

A「いやいやいや意味わからない。私仕事あるんだけど仕事!」

乗務員C「お嬢様は普段からとても頑張っていらっしゃいますので、私、お体の心配をしておりました。たまにはごゆっくり、休暇を過ごされては如何かと」

A「いや初対面だよね、私たち!?」

乗務員C「こちらにレジャーシートをご用意いたしました。どうぞ、お嬢様。私手製のお弁当も準備しておりますゆえ」

A「いやいやいや……」

乗務員C「私の料理では、お口に合いませんでしょうか……」

A「いや、そんなことは言ってないけど」

乗務員C「では、こちらのシェフ特製最高級フレンチフルコースランチの方がお気に召しますでしょうか……」

A「いやどっから出したんですかそのセット……」

A『結局なんだかんだ言って、私はシェフ特製最高級フレンチフルコースランチを湖畔で堪能して夕方に帰宅しました。翌朝出社すると無断欠勤になっていました。泣きたい」


***

第三話【893】

A「どうも、Aです。今日は上司と飲み会があって、帰りにまたタクシーを利用することになりました。店の人が呼んでくれたらしいので、店の外へ行くと、黒光りする車が止まってい……た!?」

乗務員D「お疲れ様っす! 姉御! お車用意しやした!」

A「あ、え……ん!?!?」

乗務員D「ささ、お乗りくだせえ」

A「あ、ええと……お、お疲れ様です……お先ですぅ……」

A『顔がひきつる上司を残して、車は発進しました」

A「ええっと……これ、タクシー、ですよね?」

乗務員D「っす! お疲れ様っす! さっきの上司っすか?」

A「あ、はい、まあ」

乗務員D「置いてきやしたがよかったっすか?」

A「代行で帰るみたいなんで……多分大丈夫です」

乗務員D「そっすか! なんかいけすかねえ顔してましたが、虐められたりしてませんか?」

A「え……そんなことされてませんよ。時々理不尽に叱ったりしてきますけど……」

乗務員D「姉御にそんなことするんすか! どうします、指詰めますか」

A「え、しなくていいですよ」

乗務員D「東京湾沈めますか」

A「しなくていいです、フツーにいい人ですから、大丈夫です」

乗務員D「っすか」

A「時々お菓子くれたり、体調優れないときに薬くれたりしてくれるんで、嫌な人じゃないんです」

乗務員D「賄賂っすか。白い粉っすか」

A「あ、違います……そんなんじゃないんで……」

乗務員D「そっすか! いい人っすね!」

A「はは……」

♪サイレン

A「な、なに? なんかサイレンが後ろから追ってくるんですけど……!?」

乗務員B「あー、あー、そこの黒光りする不審な車、止まりなさーい。あー、あー、聞こえてますかー。そこの不審な車ー、止まってくださーい」

乗務員D「ち! サツか! すんません、姉御、ちょいとスピード上げますんで!」

A「え!? まさか警察とカーチェイスすんの!? マジで!? やめてえええ安全運転でお願いしますううううう」

乗務員D「着きました姉御!」

A「あ、あ、ありがとうございます……運転酷すぎて酔った……うええ」

乗務員「っす! お疲れ様っした! またいつでも声かけてくだせえ!」

A「はあ」

A『車から降りると、どっと疲れが来ました。あした、上司と顔を合わせるのが怖いです。それ以前に東京湾に沈んでいないか心配です』



***

第四話【霊柩車】

A『どうも、Aです。最近何故か疲れることが多いので、久々に旅行しようかと、思い切って飛行機の切符を買いました。連泊の予定で荷物も多いので、空港までタクシーで行くことにしました。今回は気楽な旅行なので、多少変なタクシーが来てもいいかなと、寛大な気持ちで待っていました。すると家の前に、どこかで見たことのある、神輿みたいなのを載せた黒い車が静かに止まりました』

乗務員E「……タクシーを一台……御用命の……A様で……いらっしゃいますね……」

A「は、はい……」

乗務員E「お待たせをしました……お忘れ物はありませんか……」

A「あ、ありません……多分」

乗務員E「そうですか……では、どうぞ、心静かに……お乗りください」

A「は、はあ……こ、この神輿みたいなのにですか?」

乗務員E「そうです……多くは持ち込めませんので、本当に大切なものだけ、お持ちになってください……」

A「ええー……全部旅行に必要なんだけどな……」

乗務員E「かしこまりました。……行き先はどちらの……火葬場へ行かれますか?」

A「火葬場??? 空港に行きたいんだけど???」

乗務員E「空港ですね……かしこまりました」

A『……そうだ、この車、霊柩車だ……。いや私、死んでないんだけど……ピンピンしてるんだけど……』

乗務員E「それでは、出発します。安らかな旅立ちを……」

♪長いクラクション

A「私が行くの旅行のはずなんだけどな……墓場に行くんだっけ……」


***


第五話【009】


A『どうも、Aです。無事に(旅行に)旅立ち、予約したホテルに着きました。荷物を預かってもらい、早速観光に行くことにし、タクシーを呼んでもらいました。ほどなくして、一台のタクシーがホテルの前につきました。よかったー。普通のタクシーっぽくてよかったー』

乗務員F「お客さん、観光ですか?」

A「ええ、久々に休暇を貰いまして。二泊三日の旅行です」

乗務員F「おお、いいっすね! この辺、色々観光名所あるから、駆け足で行かないと全部回りきれませんよ!」

A「どこかオススメの場所ってあります?」

乗務員F「そっすねー。もうちょっと行った先に、めっちゃ有名なお城とかあるんですけど。旅行に来た人は、まず必ずそこに行くみたいですね! そこにしますか!」

A「めっちゃ有名なって……あー、あの城ねー。そうですね、まずそこ行こうかな」

乗務員F「了解!」

A『乗務員は右手の方にあったボタンを押した。すると、ウィ~ンと仰々しいボタンやレバーが運転席に現れた」

乗務員F「ちょっと混んでるっぽいんで、近道しますね! ポチッとな!」

A「近道? え?え? ちょっと待って、この車浮いてる!??」

乗務員F「凄いっしょ! この車、陸海空、どのコースでも走行可能に改造してあるんです! しかも、このボタンを押すと……ポチッと!」

A「ぎゃーーーーーーなになになに!?」

乗務員F「ジェット機能付き!! ばびゅーんと目的地に着いちゃいます!! 他にも、ここを押すとミサイル打てたり、ここを引っ張ると、助手席がボーンと飛び出ちゃうんです!!」

A「わかった、おにいさん、ボンドファンでしょ……」

乗務員F「あ、わかっちゃいました? えっへへ~。僕のことはQちゃんって呼んでください!」

A「あのさ……これ、道路交通違反とかにならないんですか……」

乗務員F「バリバリ引っかかっちゃいますね!」

A「だよね!?」

乗務員F「捕まらな蹴れればいいんです! うちのタクシーはなんでもありなんで!」

A「あれどっかで聞いたなその言葉……」

乗務員F「あ! 気づいたらお城過ぎちゃってました! 何処だろーここ?」

A「ええええー!?」

乗務員F「一回降りてみますね!」

A「そうしてください……」

乗務員F「あちゃー。県境三つくらい飛ばしちゃいました。えへ」

A「えへ、じゃないでしょ。どうやって戻るんですか~」

乗務員F「大丈夫、大丈夫! なんとかなるんで!」

A「本当かな……」

乗務員F「げ! パトカーだ! さっき空飛んできたのバレちゃったかな!?」

A「そりゃバレるでしょ!」

乗務員F「仕方ない……あの手を使うか……」

A「な、なにを……するんですか……?」

乗務員F「時速を141キロ以上出して……」

A「ま、まさか……」

乗務員F「1.21ジゴワットの電流を流す……!」

A「ま、待って……!! それは……バックトゥーザフューチャーしちゃうやつ……!」

乗務員F「へへ……実はドクとも呼ばれてみたかったんだ……行くよ、アインシュタイン!!」

A「待って……! これでバックトゥーできなかったらどうするんだ~!」



A『あの……もしもし? Aです。はい、また無断欠勤して申し訳ありません。しかし……今私、過去にいまして……そのうち、過去の私が出社すると思いますんで……え、言っている意味がわからない? 奇遇ですね、私もわからないんです……あ、それと……くれぐれも怪しいタクシーには乗らない方がいいですよ……これ、社標にしといてください。では」



END
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