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転生したら悪徳領主だった!

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「遅いっ! 一体いつになったら来るんだ…」

 俺は1人執務室で愚痴る…

 
 突然だが、俺は元ブラック企業に務める社畜だった!

 毎日終わらない仕事…

 給料が安いわりに休みは無く、毎日終電で帰れればいい方だった…

 ある日、いつものように残業していたら急に目眩がして…


 気がついたら昔俺が好きだったゲームの世界に転生していた!

 多分過労死したな、俺……

 
 まあ、死んでしまったものはしょうがない…
 と、前向きに考えようとしたが………

 俺っ、このゲームの序盤に主人公に倒される、名もなき雑魚悪徳領主になっていたよ(汗)
 
 ただただ、主人公の経験値になる為だけの存在…

 普通だったらここで、主人公と敵対しないよう悪徳領主にならないように努力したりするんだろうけど、俺は嫌だっ!!

 前世で正に死ぬまで働いたのに、もう頑張ったり努力したくない…
 前世では努力も頑張りも認めてもらえなかった

 俺、今度は好きに生きてやる!

 幸い、ゲームで悪徳領主は追放されるだけで、処刑される訳ではない!

 追放されたら、かつてのゲーム知識でこの世界を自由に旅してやる! 
 あっ、むしろ領主なんてシガラミから解放されるなんてラッキーじゃん!!


 じゃあ、主人公に倒されるまで、悪徳領主として遣りたい放題してやるさ!


 ~~~~~~~~~~~~

 クックックッ、俺は毎日贅沢三昧! 遣りたい放題しまくったさ!!

 気に入らない奴は消し…

 三食オヤツ付き! 贅沢にステーキを食らってやった

 そして! 税を大量に徴収し

 安い賃金で領民をこき使う…


 最低な悪徳領主様だな!

 かつての俺の上司達を思い出すぜ…

 さあ、主人公よ早く悪徳領主を倒しに来い!! 


 …………………………

 ……………

 だが、いつまでたっても主人公達がやってこない…
 
 おいっ、もうゲームが始まっている頃だろ?

 主人公やーい、悪徳領主が領民を虐げていますよ~

 早く来い~

 ………

 ……

 おかしい…

 何故主人公やって来ないんだ~

 俺は今日も執務室で簡単な仕事をやりながら主人公を待っている…



 ~~~~~~~~~~~~

「本当にここの領主様は出来た人ですよ!」

「そうそう、若いのに領主就任した直後から精力的に街の改革をしてくれたのよね~」

「税だって、他の街と比べると大分安いし!」

「何より、ちゃんと賃金を払ってくれるし」

「それと、悪どい事をしていた人達を処罰してくれたお陰で街が大分住みやすくなったの!」

「本人はとても質素な生活を送られているのよ!
 食事だって三食しか召し上がらないって、領主邸務めの娘が言っていたわ」

「領主様が新しくなって皆とても喜んでいますの!」

 聞けば聞くほどここの領主様は素晴らしい方のようだ…

「凄いわね、ここの領主様は!
 他の領主達もこうだったらいいのにね!」

 僧侶の少女や剣を携えた女性が感心している…

 僕や彼女達は、ずっと悪徳な権力者に苦しめられてきた!
 だからこそ、同じく苦しめられている人達を救おうと旅をしている

 だが、ここの領民達はとても幸せそうだ
 領主様は皆にとても慕われているのだろう…

「いつか会ってみたいな…」

 そう言い残し、主人公達は去っていった…
 悪徳な権力者を倒す為に……


 ~~~~~~~~~~

 悪徳領主は知らなかったのだ…

 かつての世界とこの世界の価値観がかなり違うという事に…

 この世界の悪徳な権力者達の本当の悪どさを…

 税は搾り取れるだけ取る…

 安く人々を雇っていながら、その賃金すら払わなかったり

 領民など家畜と同じくだ!などという権力者もいる位、領民達の扱いは酷い…

 もちろん悪徳領主の領地にもそんな考えの権力者はいたけれど、かつての上司を見ているようでムカつく!と彼は消していったわ

 かくして、悪徳領主の思惑とは別の方向に物語は進んでいく…

     ~~完~~
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