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愛妻家の上司は傘を持たない〜Another side

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ーーーーーside  Fujisawa



俺たちのあの関係は、予定通りというか、
あれ、一度きりだ。

キスの先を知ってしまった俺たちは、
もう、きっとキスだけじゃ終われない。
その先は簡単に踏み込める領域でもないのは分かってるから、キスもしない。
ある意味、体を重ねることで、ひたすらにキスをする関係を止めることができたので、正解だったのかとも思う。


相変わらず水川さんはテキパキと仕事をこなし、凛として俺のフォローをしてくれる。
何も変わらない。
あれは夢だったんじゃないかと思うほどに。

時折、お互いの視線が絡まる時、なんとも言えないもどかしい気持ちになる時もあるが、
仕事モードの仮面が、その欲求にストップをかける。

これでいいんだ。
キスを知る前の俺たちに戻っただけだ。
俺も、『愛妻家 藤沢崇司』のままだ。
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