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番外編
そのときの彼ら②〜ユリウスとマクシミリアン〜
しおりを挟む※69話、二人が謹慎を言い渡されたあとの話です。
♢♦︎♢
「……はぁ」
「まさか、こんなことになるとは……」
ここは騎士団員が暮らす宿舎。その中の一室、マクシミリアンの部屋だった。
ベッドと、室内に置かれた椅子とにわかれて座った二人の表情は暗い。
俯いたままユリウスがポツリとこぼした。
「カナメ様、全然動かなかった」
「……あぁ」
「顔も、真っ白で……」
「ユリウス」
「俺たちがあの時離れなければ……」
「ユリウス!」
マクシミリアンの大声を最後に、室内には静寂が落ちた。
沈痛な面持ちの二人。考えているのは同じことだった。
『なぜ、何がなんでも傍を離れず護衛をしなかったのか』
『なぜ、最初から枢の周りに結界を張らせておかなかったのか』
『なぜ、もっと周りに目を配り不審な人間がいないか確認しなかったのか』
後悔ばかりが後から後からわいてくる。
己の進退などどうでもよかった。
ただ、オドオドと怯え俯いてばかりだった彼が、次第に自分たちに見せるようになっていた笑顔を、自らの手で奪ってしまうかもしれないことだけが恐ろしかったのだ。
「カナメ様は、大丈夫だよな……?」
「当たり前だ! 縁起でもないことを言うな」
「そう、だよな……。解毒薬も投与していたし、よくなるよな」
「…………信じよう。彼には精霊の加護がついている。きっと、良くなる」
「ッ、ああ……!!」
ーーここで項垂れていても始まらない。
枢が目を覚ました時、いつでも傍に駆けつけられるように、すぐにお護りできるように。
まずはできることをその日までやろうと、気持ちを新たにする。
「何もしてないんじゃ心も体も腐ってしまう」
「そうだな! 鍛錬でもするか‼︎」
立ち上がった二人は頷き合うと、今できることを精一杯やろうと動き出した。
ーー枢の目が覚めるまで、あと少し。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ということで幕間の二人その②です。
枢に宣言した通り、護衛を離れた事を咎められ減俸されようが、降格処分されようが、本人たち的には覚悟していたので良かったのですが、一番の想定外の『枢が襲われる』という事態に陥ってしまって沈んでいるユリウスとマクシミリアンでした。
とくにユリウスは、精霊魔法関係でよく喋ってたし、倒れた枢に施した魔法が効かったのも相まって、かなりショックを受けているのでした。
このあとは自室で筋トレしたり素振りしたりしながら、時折他の騎士団員やリオンが状況報告に来てくれたりします。
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