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不必要な詩

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何を書いても、どう描いても。
想像して、創造しても、一向に上手くいかない。
私が伝えたいことは、そんなもんじゃない。そういう事じゃなくて、もっと心に刺さる言葉を紡ぎたい。
なのにペンは倒れ、手は止まってしまう。
書き出したかと思えば、すぐにそんなもの書いてどうすると自分で自分を叱ってしまう。
心にあるこの思いを必死に出そうとするけど、どうやったって上手くいかない。
文字は、言葉とは違う。だから、上手くいきそうな思いも、文章にするととても弱い。
考えてもしょうがないものを考え、邪念と偏見とちょっとの嫉妬を抱えながら。
意味もない。誰に届く訳でもない。心に揺らぐことなどない。
そんな文章をただ紡ぐ。理由なんてない。目的なんてない。でも、このままではどうにかなってしまいそうで。
私はまたペンを取る。手を動かす。ペンが走る。
心の爆破を必死に抑えるために、ただただ手を動かすだけ。
これが、必要のない詩だ。
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