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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…
第448話 警護任務 (6)
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「いや~、やっぱりいい車は乗り心地が違いますね~。このシートなんて本革仕様ですよ。サスペンション性能の差ですかね、揺れなんて全然ないですし。
それに防弾ですよ防弾、戦車の攻撃でも生き残れるんじゃないんですか?」
いやいや流石にそれはないでしょうよ。戦車の砲弾ヤバいからね、鉄の塊があの速度で飛んで来たらひとたまりもないっての。
「いえいえ、そこはほら魔法技術って奴ですよ。この車何気に神の加護受けまくってますから。おそらくこの国で信仰されてる神なんでしょうね、力貸しまくってますし。周りに飾られたトリのマーク。確かこの国の国旗にも書いてありましたけど、これって神の紋章ですね。それを上手い事組み合わせてその効果を引き上げてます。それが無くても地雷原を走り抜けるくらいの性能はありそうですけどね。」
何それ正に無敵の高級車じゃん。もしかしてしゃべったりするの?AI積んでるの?OKマイケ〇とか言わないの?AIの名前アスラー〇だったりする?
「何言ってるんですかご主人、AI機能付きの車なんてまだ開発されてませんから。高級車ですよ?使用人に運転させるに決まってるじゃないですか。何でもかんでも機械化したら人の仕事が無くなっちゃうじゃないですか。でもこのカーナビは便利ですけどね。」
そうか~、金持ちにAI機能は必要なかったか~。魔法と科学で何とかなるとは思うんだけどね。それはロマンを追い求める同志にお任せしておこうかね。
で、そろそろじゃない。ちゃんと案内をお願いしますね、セリーヌ第二公女殿下?
俺は後部座席で青い顔をしながらガタガタ震える女性に声を掛ける。
彼女は”ヒッ”っと声を上げるも何度も首を縦に振ってくれた。
「あ、ご主人見えました。あれがタスマニア公国公爵本邸です。」
うわでけ~、流石国の象徴、滅茶苦茶立派じゃん。そう言えばベッキンガム宮殿も立派だったな~、大国の中枢って皆立派なのね。
でもここって軍事施設くっ付いてない?クーデターとか起こされたら一発アウトじゃん。
「その辺は公爵様が上手い事やってるんじゃないんですか?ある意味女性の憧れの国ですから。」
あぁ、優性遺伝子法でしょ。あれって女性の不細工さんはどうするのよ。男性だけ隔離してもダメじゃないの?
「それなんですけどね、やはりある一定の割合で違う系統の遺伝子も残しておかないと全体が弱くなっちゃうんですよ。それに無細工の女性とイケメンの間から系統の違うイケメンが生まれる事もありますんで、多様性の為に女性への差別は一切ないそうです。それに国民のほとんどが人工授精ですから。男性と付き合ったり結婚出来るのは一部の特権階級だけですね。一夜の恋でも女性は涙を流して喜ぶそうですよ。」
あれ~?女性の憧れの国じゃなかったの?イケメンどこ行ったって本末転倒な状態になってない?
「その為の教育ですよ。女性は一生に一度の一夜の為に日夜努力するんです。」
あ、うん。やっぱり私この国合わない。今後近付きたくないわ~。お家に帰ってお味噌汁飲みたい。
「あ~、お味噌汁いいですよね~ってまだ来て一日も経ってませんから。ちゃんと仕事してくださいね。」
うい~っす。
どんどんテンションの下がる私をしり目に、公爵本邸の門は目の前まで迫るのでした。
『お疲れ様です。セリーヌ第二公女殿下をお連れいたしました。入邸許可を願います。』
ブリジットは後部座席の窓を開け中を確認してもらう。
『公女殿下は酷く怯えられております。その事について公爵閣下にご報告したい旨がございますので、合わせて面会の許可申請をお願いいたします。』
『了解した。本邸より入邸及び公爵閣下への面会許可が下りた。このまま本邸へ向かってくれ。後の指示は執事長殿に伺う様に。』
『ありがとうございます。それでは失礼いたします。』
車はそのまま正門を通過、公爵本邸へと向かった。
本邸前にはメイドがズラリと待ち構えていた。中央に佇んでいる初老の男性、彼が執事長で間違いないだろう。
車が停止する。私は助手席を降り後部座席の扉を開ける。
ふむ、スナイパーが十名か、中々いい準備だ。
執事長は慎重かつ冷静にこちらに気取られぬ様、平静を装いセリーヌ第二公女へと近付く。
『殿下、お待たせいたしました。ジャン爺でございます。もう怖い事はございません、ご安心ください。』
彼はセリーヌ第二公女殿下に優しく微笑みその手を取る。そしてゆっくりと車外へと連れ出した。
”ガチャガチャッ”
それは合図であったのだろう、メイド隊が隠し持った小銃を一斉にこちらへと向ける。頭部に当てられる無数のレーザーポインターの光。これかなり眩しい。
『どこの誰かは存じませんが大人しくしていただけますでしょうか?』
”ブウン、キーーーーッ、バタンバタンッ、ガチャガチャガチャッ”
瞬時に現れる複数の軍用車両、そして向けられる大型銃器の数々。
うん、大体出そろったかな。
”パチンッ”
周囲に鳴り響くフィンガースナップの音。
『では執事長、参りましょうか。』
俺は執事長を促し公爵本邸の玄関へと歩を進める。
『何をやってるんです?早く来ないと置いて行きますよ?』
事態が理解できず固まる執事長に再度移動を促す。
『面倒ですね、ブリジット、二人を抱えて来てください。ブリジットに抱えられるのが嫌なら自分の足で歩く。』
『わ、分りました。歩きます歩かせて頂きます。』
執事長はそう言うとセリーヌ第二公女を連れこちらへとやって来た。
『では公爵閣下の所まで案内をお願いしますね。』
私はそう告げ、館の中へ足を踏み入れた。
残されたのは、銃を構えいつまでも標的を狙う戦士たちだけであった。
それに防弾ですよ防弾、戦車の攻撃でも生き残れるんじゃないんですか?」
いやいや流石にそれはないでしょうよ。戦車の砲弾ヤバいからね、鉄の塊があの速度で飛んで来たらひとたまりもないっての。
「いえいえ、そこはほら魔法技術って奴ですよ。この車何気に神の加護受けまくってますから。おそらくこの国で信仰されてる神なんでしょうね、力貸しまくってますし。周りに飾られたトリのマーク。確かこの国の国旗にも書いてありましたけど、これって神の紋章ですね。それを上手い事組み合わせてその効果を引き上げてます。それが無くても地雷原を走り抜けるくらいの性能はありそうですけどね。」
何それ正に無敵の高級車じゃん。もしかしてしゃべったりするの?AI積んでるの?OKマイケ〇とか言わないの?AIの名前アスラー〇だったりする?
「何言ってるんですかご主人、AI機能付きの車なんてまだ開発されてませんから。高級車ですよ?使用人に運転させるに決まってるじゃないですか。何でもかんでも機械化したら人の仕事が無くなっちゃうじゃないですか。でもこのカーナビは便利ですけどね。」
そうか~、金持ちにAI機能は必要なかったか~。魔法と科学で何とかなるとは思うんだけどね。それはロマンを追い求める同志にお任せしておこうかね。
で、そろそろじゃない。ちゃんと案内をお願いしますね、セリーヌ第二公女殿下?
俺は後部座席で青い顔をしながらガタガタ震える女性に声を掛ける。
彼女は”ヒッ”っと声を上げるも何度も首を縦に振ってくれた。
「あ、ご主人見えました。あれがタスマニア公国公爵本邸です。」
うわでけ~、流石国の象徴、滅茶苦茶立派じゃん。そう言えばベッキンガム宮殿も立派だったな~、大国の中枢って皆立派なのね。
でもここって軍事施設くっ付いてない?クーデターとか起こされたら一発アウトじゃん。
「その辺は公爵様が上手い事やってるんじゃないんですか?ある意味女性の憧れの国ですから。」
あぁ、優性遺伝子法でしょ。あれって女性の不細工さんはどうするのよ。男性だけ隔離してもダメじゃないの?
「それなんですけどね、やはりある一定の割合で違う系統の遺伝子も残しておかないと全体が弱くなっちゃうんですよ。それに無細工の女性とイケメンの間から系統の違うイケメンが生まれる事もありますんで、多様性の為に女性への差別は一切ないそうです。それに国民のほとんどが人工授精ですから。男性と付き合ったり結婚出来るのは一部の特権階級だけですね。一夜の恋でも女性は涙を流して喜ぶそうですよ。」
あれ~?女性の憧れの国じゃなかったの?イケメンどこ行ったって本末転倒な状態になってない?
「その為の教育ですよ。女性は一生に一度の一夜の為に日夜努力するんです。」
あ、うん。やっぱり私この国合わない。今後近付きたくないわ~。お家に帰ってお味噌汁飲みたい。
「あ~、お味噌汁いいですよね~ってまだ来て一日も経ってませんから。ちゃんと仕事してくださいね。」
うい~っす。
どんどんテンションの下がる私をしり目に、公爵本邸の門は目の前まで迫るのでした。
『お疲れ様です。セリーヌ第二公女殿下をお連れいたしました。入邸許可を願います。』
ブリジットは後部座席の窓を開け中を確認してもらう。
『公女殿下は酷く怯えられております。その事について公爵閣下にご報告したい旨がございますので、合わせて面会の許可申請をお願いいたします。』
『了解した。本邸より入邸及び公爵閣下への面会許可が下りた。このまま本邸へ向かってくれ。後の指示は執事長殿に伺う様に。』
『ありがとうございます。それでは失礼いたします。』
車はそのまま正門を通過、公爵本邸へと向かった。
本邸前にはメイドがズラリと待ち構えていた。中央に佇んでいる初老の男性、彼が執事長で間違いないだろう。
車が停止する。私は助手席を降り後部座席の扉を開ける。
ふむ、スナイパーが十名か、中々いい準備だ。
執事長は慎重かつ冷静にこちらに気取られぬ様、平静を装いセリーヌ第二公女へと近付く。
『殿下、お待たせいたしました。ジャン爺でございます。もう怖い事はございません、ご安心ください。』
彼はセリーヌ第二公女殿下に優しく微笑みその手を取る。そしてゆっくりと車外へと連れ出した。
”ガチャガチャッ”
それは合図であったのだろう、メイド隊が隠し持った小銃を一斉にこちらへと向ける。頭部に当てられる無数のレーザーポインターの光。これかなり眩しい。
『どこの誰かは存じませんが大人しくしていただけますでしょうか?』
”ブウン、キーーーーッ、バタンバタンッ、ガチャガチャガチャッ”
瞬時に現れる複数の軍用車両、そして向けられる大型銃器の数々。
うん、大体出そろったかな。
”パチンッ”
周囲に鳴り響くフィンガースナップの音。
『では執事長、参りましょうか。』
俺は執事長を促し公爵本邸の玄関へと歩を進める。
『何をやってるんです?早く来ないと置いて行きますよ?』
事態が理解できず固まる執事長に再度移動を促す。
『面倒ですね、ブリジット、二人を抱えて来てください。ブリジットに抱えられるのが嫌なら自分の足で歩く。』
『わ、分りました。歩きます歩かせて頂きます。』
執事長はそう言うとセリーヌ第二公女を連れこちらへとやって来た。
『では公爵閣下の所まで案内をお願いしますね。』
私はそう告げ、館の中へ足を踏み入れた。
残されたのは、銃を構えいつまでも標的を狙う戦士たちだけであった。
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