451 / 525
第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…
第440話 木村君のお仕事 (3) (side:木村英雄)
しおりを挟む
「トナルド~、離してよ木村君、トナルドはね、トナルドなんだよ。」
瞳を潤ませ上目使いで俺に訴えかける高宮。
”ドサドサドサ”
周囲から聞こえるスタッフや見物人の倒れる音。
「あ~ん、私の”hiroshi”君、今すぐこの胸で慰めてあげる。」
「トナルドよ、トナルドのぬいぐるみを買ってくるのよ!」
「ブフォ、美少年同士の絡み合い、尊い。」
周りから聞こえる会話が大変危険だ、色んな意味で。
「ねぇ木村君、ニッキーさんもトナルドさんもみんないい子なんだよ?」
執拗に上目使いで瞳を潤ませる高宮、鬱陶しいわ!
普段の理想の王子様然としたお前は何処へ行った、シャキッとせんかシャキッと!
「え~ん、木村君が怒った~。」(涙目)
え~い、分かったから。キャラメル味のポップコーンを買ってやるから、大人しく仕事しろ!
「えっ、本当!?僕ね、デスティニーランドでポップコーンを食べるのが夢だったの。あのねあのね、ちゃんとキャラクターの容器に入れてね。この容器は次にポップコーンを買う時も使えるんだからね。今は四十周年の特別仕様なんだよ♪」
花の様な笑顔でスキップをしだす高宮、こいつがこんなお花畑になるなんて誰が予想した。
「吉野さん、今高宮が言った事は本当なんですか?ポップコーンの容器が特別仕様って奴ですが?」
俺は急いで話題を吉野さんへ振る。ちゃんと仕事をしなければ、このグダグダを続ける訳には行かない。
「はい、ひろし君はよくご存じでしたね。今パーク内の各店舗で四十周年特別ポップコーンを販売しています。それぞれの店舗で違ったキャラクターの容器をご用意していますからぜひ集めてみてください。」
水を得た魚の様な流れる解説、広報部吉野さん、流石だ。
「松村先輩も御一ついかがですか?ここのポップコーンは定番の塩味だけでなくキャラメル味や抹茶味チョコレート味やイチゴチョコ味など様々な味が楽しめると評判なんですよ?」
(小声で)
”それに松村先輩がポップコーンを食べる姿を全国の視聴者が見たら、それこそメロメロです。ファンだけでなく放送局のお偉方や事務所のお偉方もご満悦、CMの仕事にも弾みになるのではないかと愚考いたします。”(ニヤリ)
「そうか?仕方がねえな、後輩にそこまで頼まれたんじゃ断れねえじゃねえか。どれ一つ、うん、このキャラメル味、甘さの中に仄かなほろ苦さがあって旨いんじゃないか?飽きの来ない癖になる味だぞ。木村、お前も食べてみろ、なかなかイケるぞこれ。」
「ありがとうございます。本当だ、松村先輩の言う通りだ。これならいくらでも食べられますね。松村紫音お墨付きの味って奴です、本当に美味しい。」
「そうだろうそうだろう、俺が言ってるんだ間違いないっての。」
パークキャスト広報部吉野さんも安堵のコメント。こういう仕事をしてください、松村先輩《馬鹿二号》。
「え~、みんなこれ貰っちゃっていいの?本当に?ありがとう~♪」(花の笑顔満開)
「「「きゃ~、hiroshi君~❤」」」
「見て見て木村君、みんなからこんなに貰っちゃった~。」
嬉しそうに高宮が掲げるモノ。それはパーク内で販売されている各種容器に入ったポップコーンであった。
なに、あの短時間で各販売店舗から買って来ただと?吉野さん、これ全部そろってるって本当に?凄いな”hiroshi”君ファン。陸上選手もびっくりだ。と言うか後ろの方で満面の笑みでぶっ倒れてるのって、購入して来てくれたファンの子たちですか?
スタッフさん、急いで彼女たちを医務室へお願いします。
先程からニヘラニヘラ笑う高宮。そのお花畑の雰囲気に誘われるようにどんどんと増える見物人。これ既にパニック寸前だぞ。遠野ディレクター、如何しますか?これ一度避難した方がいいんじゃないでしょうか?
俺は急ぎパーク広報部吉野さんへと目配せをする。
「それでは皆さんを本日特別にプリンセス城の貴賓室へとご案内いたします。」
吉野さんはそう言うとパークキャストたちに指示を出し、俺たちをプリンセス城へと案内するのであった。
「うわ~、凄いよ木村君、ここからだとディスティニーランドを一望出来るよ。」
窓に張り付き感嘆の声を上げる高宮。
俺たちは今このアミューズメントパークの中央に聳え立つプリンセス城の貴賓室に来ていた。
この場所はそれこそ世界トップクラスのVIP専用の場所であり、テレビカメラが入るのは今回が初との事。吉野さん、実はかなり上層部の人間のようだ。
「おぉ、いいねいいね、やっぱり俺様クラスになればこれくらいの待遇は当然だよな、今度プライベートで利用してやるからありがたく思えよ。」
松村紫音、絶好調の様である。でも松村先輩、それって絶対無理だから。せめて石油王とお友達になってから来てくれ。
端の方では遠野ディレクターと吉野さんが何やら話し合っている。パーク内の食べ物の紹介?食事のシーンが欲しい?いや、無謀だろう。なんだったら俺や石川先輩たちで買い物シーンを別取りした方が安全ではないのか。それこそ食事自体はここで行って編集とナレーションで上手い事紹介した方がいいのではないか?
俺は窓から見えるプリンセス城の周りの様子を指さす。
そこにはどこから情報を聞きつけたのか、黒山の人だかりの光景が広がっているのであった。
瞳を潤ませ上目使いで俺に訴えかける高宮。
”ドサドサドサ”
周囲から聞こえるスタッフや見物人の倒れる音。
「あ~ん、私の”hiroshi”君、今すぐこの胸で慰めてあげる。」
「トナルドよ、トナルドのぬいぐるみを買ってくるのよ!」
「ブフォ、美少年同士の絡み合い、尊い。」
周りから聞こえる会話が大変危険だ、色んな意味で。
「ねぇ木村君、ニッキーさんもトナルドさんもみんないい子なんだよ?」
執拗に上目使いで瞳を潤ませる高宮、鬱陶しいわ!
普段の理想の王子様然としたお前は何処へ行った、シャキッとせんかシャキッと!
「え~ん、木村君が怒った~。」(涙目)
え~い、分かったから。キャラメル味のポップコーンを買ってやるから、大人しく仕事しろ!
「えっ、本当!?僕ね、デスティニーランドでポップコーンを食べるのが夢だったの。あのねあのね、ちゃんとキャラクターの容器に入れてね。この容器は次にポップコーンを買う時も使えるんだからね。今は四十周年の特別仕様なんだよ♪」
花の様な笑顔でスキップをしだす高宮、こいつがこんなお花畑になるなんて誰が予想した。
「吉野さん、今高宮が言った事は本当なんですか?ポップコーンの容器が特別仕様って奴ですが?」
俺は急いで話題を吉野さんへ振る。ちゃんと仕事をしなければ、このグダグダを続ける訳には行かない。
「はい、ひろし君はよくご存じでしたね。今パーク内の各店舗で四十周年特別ポップコーンを販売しています。それぞれの店舗で違ったキャラクターの容器をご用意していますからぜひ集めてみてください。」
水を得た魚の様な流れる解説、広報部吉野さん、流石だ。
「松村先輩も御一ついかがですか?ここのポップコーンは定番の塩味だけでなくキャラメル味や抹茶味チョコレート味やイチゴチョコ味など様々な味が楽しめると評判なんですよ?」
(小声で)
”それに松村先輩がポップコーンを食べる姿を全国の視聴者が見たら、それこそメロメロです。ファンだけでなく放送局のお偉方や事務所のお偉方もご満悦、CMの仕事にも弾みになるのではないかと愚考いたします。”(ニヤリ)
「そうか?仕方がねえな、後輩にそこまで頼まれたんじゃ断れねえじゃねえか。どれ一つ、うん、このキャラメル味、甘さの中に仄かなほろ苦さがあって旨いんじゃないか?飽きの来ない癖になる味だぞ。木村、お前も食べてみろ、なかなかイケるぞこれ。」
「ありがとうございます。本当だ、松村先輩の言う通りだ。これならいくらでも食べられますね。松村紫音お墨付きの味って奴です、本当に美味しい。」
「そうだろうそうだろう、俺が言ってるんだ間違いないっての。」
パークキャスト広報部吉野さんも安堵のコメント。こういう仕事をしてください、松村先輩《馬鹿二号》。
「え~、みんなこれ貰っちゃっていいの?本当に?ありがとう~♪」(花の笑顔満開)
「「「きゃ~、hiroshi君~❤」」」
「見て見て木村君、みんなからこんなに貰っちゃった~。」
嬉しそうに高宮が掲げるモノ。それはパーク内で販売されている各種容器に入ったポップコーンであった。
なに、あの短時間で各販売店舗から買って来ただと?吉野さん、これ全部そろってるって本当に?凄いな”hiroshi”君ファン。陸上選手もびっくりだ。と言うか後ろの方で満面の笑みでぶっ倒れてるのって、購入して来てくれたファンの子たちですか?
スタッフさん、急いで彼女たちを医務室へお願いします。
先程からニヘラニヘラ笑う高宮。そのお花畑の雰囲気に誘われるようにどんどんと増える見物人。これ既にパニック寸前だぞ。遠野ディレクター、如何しますか?これ一度避難した方がいいんじゃないでしょうか?
俺は急ぎパーク広報部吉野さんへと目配せをする。
「それでは皆さんを本日特別にプリンセス城の貴賓室へとご案内いたします。」
吉野さんはそう言うとパークキャストたちに指示を出し、俺たちをプリンセス城へと案内するのであった。
「うわ~、凄いよ木村君、ここからだとディスティニーランドを一望出来るよ。」
窓に張り付き感嘆の声を上げる高宮。
俺たちは今このアミューズメントパークの中央に聳え立つプリンセス城の貴賓室に来ていた。
この場所はそれこそ世界トップクラスのVIP専用の場所であり、テレビカメラが入るのは今回が初との事。吉野さん、実はかなり上層部の人間のようだ。
「おぉ、いいねいいね、やっぱり俺様クラスになればこれくらいの待遇は当然だよな、今度プライベートで利用してやるからありがたく思えよ。」
松村紫音、絶好調の様である。でも松村先輩、それって絶対無理だから。せめて石油王とお友達になってから来てくれ。
端の方では遠野ディレクターと吉野さんが何やら話し合っている。パーク内の食べ物の紹介?食事のシーンが欲しい?いや、無謀だろう。なんだったら俺や石川先輩たちで買い物シーンを別取りした方が安全ではないのか。それこそ食事自体はここで行って編集とナレーションで上手い事紹介した方がいいのではないか?
俺は窓から見えるプリンセス城の周りの様子を指さす。
そこにはどこから情報を聞きつけたのか、黒山の人だかりの光景が広がっているのであった。
0
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
元おっさんの幼馴染育成計画
みずがめ
恋愛
独身貴族のおっさんが逆行転生してしまった。結婚願望がなかったわけじゃない、むしろ強く思っていた。今度こそ人並みのささやかな夢を叶えるために彼女を作るのだ。
だけど結婚どころか彼女すらできたことのないような日陰ものの自分にそんなことができるのだろうか? 軟派なことをできる自信がない。ならば幼馴染の女の子を作ってそのままゴールインすればいい。という考えのもと始まる元おっさんの幼馴染育成計画。
※この作品は小説家になろうにも掲載しています。
※【挿絵あり】の話にはいただいたイラストを載せています。表紙はチャーコさんが依頼して、まるぶち銀河さんに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる