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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第430話 契約更新 (3)

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「我が名において宣言しよう。お前たちの楔は今ここに解き放たれた。お前たちは自由だ。」

自らの身体を触り何が起きたのか確かめる用務員の二人。そして自分たちが土地の制約から解放されている事を知り、驚き慌てる。

「改めて問う。この地を守り育てて来た者よ、契約を結びこの地の守護者となるか、それとも新たなる道へと進むか。」

俺は二人の顔を見やる。朱音さんのお姉さんは、決心した顔をし返答を返した。

「大いなる力の主よ。妾を解放せし事、心より感謝申し上げる。妾の想いは一つ、ソナタの言う様に、己が力にてひろし君を振り向かせて見せようぞ。」

俺は大きく頷きを返した。

「大いなる力の主よ。」

朱音さんはこちらを向き決意を込めて宣言した。

「我はこの地を守り育てる守護者なり。ならば答えは自ずと知れよう。これからも土地を守り人々を見守る事を誓おう。」

俺は再び大きく頷いた。

「今ここに新たなる契約は成された。この地に幸多からん事を。」

"ピキーーーーーーーーン"

朱音さんと土地の繋がりがより強くなったのを感じる。朱音さん自身もその事を感じ取ったのだろう、顔を赤らめ気分を高揚させているようであった。

俺は自らの気配を消しステルスモードに入る。後の面倒事は大人たちに丸投げ。校舎の影でNoirの格好から元の作務衣に戻ると小太刀をブレスレットに戻しそそくさとその場を後にするのであった。

(side : マザー佐々木)

「姐さん、今のは一体何だったんですかね。」

「ごめん、増山、あたしゃもう限界。家に帰って寝ていいかい?」

「ハッハッハッハ、それはいいですね、俺も順子を連れて帰ってもいいですか?あ、でも後片付けがありましたね。
ぐだぐだですが儀式の方はお開きでいいですよね。」

「そうさね、後は鬼龍院家に丸投げでいいんじゃないかい?ここまでお膳立てはしたんだ、それくらいやってもらってもバチは当たらないさね。」

「それじゃ俺は撤収の指揮を取りますんで、鬼龍院家への挨拶をお願いします。」

「いや、増山も疲れているだろう、撤収は私がやるから挨拶を頼む。」

「ハッハッハッ、ご冗談を。よろしくお願いしますね、佐々木代表。」

「うぐっ、増山め。上手い事逃げやがって。こんなのどうしたらいいってんだい。息子の阿呆んだら~!」

(side : 用務員朱音)

始まりは我が邸宅でのっぺりとお茶をしている時であった。話しの流れで鬼龍院家の当主が交代していた事を知った。そう言えば鬼龍院一華が来たのはいつの事であったか。このところは体調不良を理由に代理の者が供物を運んでおった様であったが。
しかし急に当主交代が起きるほど体調を悪くしているとは気が付かなんだ。
順子の奴は当主交代の儀式を知っていた様で、それを忘れていたと慌てふためいていた。
我らと違って人の生は短い。その中で我らが忘れ去られていく事も、儚く寂しいものであるが致し方がないことであろうか。

今宵は満月。当主交代の儀式を行うのには絶好の条件であろう。
彼方から届くは神楽鈴の音色。ほう、儀式を取り仕切る巫女は順子であるか。これは見守らねばなるまいて。
光が収束する、身体が儀式の場に呼び寄せられる。整えられた祭壇、焚かれる篝火。儀式は粛々と行われるようであった。

"ひろし君を伴侶とせよ"

姉者の無茶振りが始まった。前回の一華の時は多数のイケメン男子に杓をさせていたか。その後は女子生徒の制服が新しくなる度に届けさせてたりもしたな~。
だが今回の無茶振りは今の世の中では無理がなかろうか。遥か昔ならばそうした仕えを求めたこともあったと聞くが、昨今はとんと聞かなくなった風習であろうに。

"スパーン"

あ、姉者がのっぺりに引っ叩かれた。
何度も何度も、話しを聞く態勢になるまで。アヤツ容赦ないな~。
ん?我に姉者をどうにかしろと?無理じゃ、姉者と我とでは存在の格が違うからの。
お、姉者が本気で怒りよった。これは不味いの、少し押し留めねば。
えっ?力が霧散した?土地の力を遮断って何言ってるの?
私たちこの土地の土地神よ?土地そのものなのよ?なんで、遮断出来ちゃうのよ、意味分からないんだけど!?
姉さんが土地に縛られてる的なことを言ってるけど違うからね?私たちが土地の意思の一つの形って関係だから。土地と私たちは一つだから。

なっ、のっぺりが変身してイケメンになった!?どう言う事?それに何、このあり得ない程の力、まるで世界そのものじゃない。今吹き荒れてる力もそのさざ波に過ぎないって言うの?

あはは、嘘、私土地から解放されてるんですけど。えっと、野良神状態?少し強いだけのただの人?何でこんな事が出来ちゃうのよ!!
私何の不満も無かったんですけど!!
改めて問う?いやいや、私土地神辞めないから、私のアイデンティティーだから。えっ、姉さん辞めちゃうの?生活どうするのよ、愛に生きるって馬鹿じゃないの?
契約はなされたって決定しちゃったし。
マジこれどうするのよ。のっぺりの奴いつの間にか逃げてるし、後で説明しなさいよね~!
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