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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第429話 契約更新 (2)

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"スパーン"

振り抜かれた我が張り扇、精霊剣エクスカリバー(自称)。気配を消しての後頭部への一撃、角度・スピード・タイミング、今日一番のベストショット。やっぱりあの踏み込みが良かったんだよね、いい感じに振り抜けたし。
目の前で唸るネオンライトみたいなお嬢ちゃんを尻目に、張り扇の振り具合を確認する俺。

"な、何者であるか!我をこの地の守護者と知っての狼藉か~!"

"スパーン"

今度は縦の一撃。打ち付け溜めてから上に逃がす高等技術、打ち付ける強さと離すタイミングが重要。失敗すると気の抜けた突っ込みに成るため一分の油断も出来ません。

再び悶え苦しむネオンお嬢ちゃん。眩しいからそのピカピカどうにかしてくれないかな~。

"何故じゃ、何故こんなに痛いんじゃ!我が痛みを感じる!?どう言う事じゃ!"

うっさい。
"スパーン"

今度は下方からの打ち上げ。アッパーカットの様に決まった一撃はネオンを後方へと吹き飛ばす。
えっ?張り扇が人を吹き飛ばすのはおかしい?
そこは技術とタイミングって言いたい所ですが、種も仕掛けもございます。張り扇を打ち込む瞬間に気配をぶちこんでぶっ飛ばしてるんでした、まる。さっきからネオンお嬢ちゃんが身悶えてるのもそれが原因。以前マネジメント部の吉川にやったのと同じ手口ですね。
しかも今回使用しておりますのは精霊剣エクスカリバー(自称)。力の伝わり方が段違い、なんとこいつ、ロスなく伝えるどころか増幅までやっちゃいます。ま、その機能は今は必要ないんですが。

あ、キラキラネオンが収まった。
神秘的な光が収まる、その消えた輝きの先には、やや怯えながらも気丈にこちらを睨み付ける白い袴姿の美少女の姿があった。

えっ、あれって用務員の朱音さんのお姉さんだよね?どう見ても女子高生じゃん、美魔女怖い。
現役学園生徒に紛れ日々青春を謳歌していると噂の美魔女お姉さんは、それを可能とするに十分なスペックを持ち合わせておりました。

"してソナタは何者で何故このような仕打ちをする。返答次第ではただではおかぬぞ!"

あ、もうそう言うのはいいんで。ほら、身体のキラキラも消えてますし。あと朱音さん、お姉さんの暴走ちゃんと止めなよ。何私は関係ございませんって顔してるのさ。

「いや、昔から儀式の際の仕切りは姉者が行う取り決めでな。姉者の方が格上故致し方があるまい?古きモノ故こうした取り決めは覆す事は出来んでな。」

家長制度、家の仕来たりみたいなものなのかな?
でもさっきのは放置したらダメな奴でしょうが。
何ひろし君を我が伴侶とせよとか抜かしてるのよ、そう言うのは自力で何とかしなさい。裏から手を回すなど言語道断です。

ハッハッハッハッと、乾いた笑いをあげる朱音さん。あと朱音さん、貴女もそのネオンどうにかしてください。チカチカしていて眩しいです。
"これは失礼"と光を消す朱音さん。
ハニワと言い朱音さんと言い、光る演出好きだよね~。
"神威がただ眩しいってアヤツやはりおかしい"とかぶつぶつ言ってますが、光の演出をしたいなら最後まで威厳を保って欲しいですよ全く。(ぷんすか)
因みにハニワの奴光らないでも変形出来ました。ハニワ曰く、光の演出はロマンとの事。やっぱりあいつ無駄に光ってやがった。

で、どうするんです?契約更新するのしないの?

"な、なんたる不敬、この地を守りし妾をなんと心得るか!"

再び頭に響く怒りの籠った声、そして吹き荒れる神聖なる力の本流。
人々は思った、神の怒りに触れたのだと。

あ、別にそう言うのはいいんで。
"トン"
俺は軽く地面を踏み鳴らす。
すると先程までの荒れ狂う程の力が一瞬にして霧散してしまった。

「な、妾の力が、何故、どうして。」

いやいやいや、違うから、土地の力だから。さっきから見てたら回りから吸い上げてたのバレバレだから。
なんで、遮断してみました。(どや顔)

「な、何故その事を。」

えっ、だってこの地に集まる澱みとやらの解決要員なんでしょ?だったら回りの気配を操作して解決してるのかなって想像つくじゃん。さっきまでの演出もその応用?詳しい事は分からないけど力を集めてたのは明らかだし?

で、もう一度聞くけど契約更新どうするの?ひろし君寄越せは無しだからね。

「何故じゃ、妾はこの土地からは離れられん、なのにおのこを求めて何が悪いのじゃ!」

えっと、それは制約とか家の仕来たり的な?よく分からないけどやっちゃいます?

ハニワ、モードチェンジ。
モード"Noir"

右腕から掲げられた張り扇が光輝く。それは形を変え薄い布のようにはためきながら佐々木大地の全身を大きく包み込む。

"カツンッ、カツンッ、カツンッ"

校庭に鳴り響く靴の音

"バサッ"

彼の者は黒いコートを靡かせこの地に舞い降りた

「嘆く者よ 古き因習に縛られし者よ
今こそ解き放とう
その思いを その魂を」

彼の者はその左手を空高く掲げる

「小太刀よ」

彼の者の左手が輝き、光が収まった時、その手には清廉な気配を漂わせた一振の小太刀が握られていた。

「我が名は"Noir"、全てを解き放つ解放者なり。」

"ブンッ"

振り下ろされた小太刀は大地に深く突き立てられた。

"ブワッ"

Noirを中心として溢れ出る力、その優しくも心地の良い流れが桜泉学園の全てを覆ってゆく。

天空に浮かぶ六枚の翼、上空からは無数の黒き羽根フェザーが全てを祝福するかのように舞い降りていた。
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