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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…
第427話 用務員さんと駄弁る (4)
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俺は現れた白いハニワを持ち上げ椅子に座らせ・・・テーブルに届かなそうだな。仕方がないのでテーブルに載せる。
ハニワは紅茶飲むだろ?お茶菓子はクッキーでいいか?
「あぁ旦那さん、あんじょうよろしゅう頼んます。」
俺は勝手知ったる他人の家とばかりに紅茶とお茶菓子の準備をし、ハニワの前に差し出す。
「旦那さん、すんまへん。うん、うま。旦那さん紅茶入れるのお上手でんな、これはお嫁はんに喜ばれまっせ。」
紅茶を飲み嬉しそうにするハニワ。ハニワの呼び名はいつの間にか”ハニワ”になっていた。だって他に言葉が出ないんだもん、ハニワは”ハニワ”でしょう。
んでこいつからは”旦那さん”と呼ばれるようになっていた。
お~い、そろそろ起きろ~。
俺は固まる二人に声を掛ける。
「な、何で精霊がしゃべってるんじゃ!!しかも紅茶を飲んでお茶菓子を摘まむって、聞いた事も無いんじゃが!?」
目を見開いてハニワを見詰める朱音さん。
「精霊、精霊ってあの精霊ですよね?一般に自然現象と言われているあの。」
もう何が何だか分からないって顔の順子ちゃん。
「あぁ、聖なる気の澱み。ただそこにある自然現象。神とは似て非なるモノ、それが精霊じゃ。似て非なるモノと言っても聖なる気と神気が似ているというだけで全くの別モノなんじゃがな。」
「では昔から言われている精霊は神の成りそこないとか神の雛型とかいう話しは。」
「まったくのでたらめじゃな。人とは同じ神聖と言う括りですべてを見ようとする傾向があるからの。ミジンコも人も同じ生物じゃ、それくらい違うの。」
再びハニワを見詰める二人。彼女たちにとって、ハニワは理解の範疇を大きく超えた存在らしい。
さっきからぶつぶつ言ってるし。
「あ~、嬢ちゃん方が不思議に思うのも仕方ないねん。ワイは人工精霊やからな。教会の神秘と魔術師の技術の結晶やねん。彼らにとっては失敗作やったけどな。」
ズルズル紅茶を飲むハニワ。失敗作って事は余りと言うかまったく気にしていない様なので、その件はスルーしておこう。本人も何で動けるようになったのか全く分かっていないみたいだしね。
そうそう話しは変わるんだけど、前に朱音さんのお姉さんが学園生徒に紛れ込んでるって話ししてたじゃない?あれって今はどうなってるの?
朱音さんたちは今だハニワの事で何か議論を交わしているが、この際なんで気になる事を聞いてみた。
「あぁ、姉者か。こないだ見た時はAクラスに紛れ込んでいたぞ。なんかひろしとやらの取り巻きの一人をしておった。このひろし君、なかなかの強敵の様でな、姉者が執拗にアプローチを掛けるのだが笑顔でかわしよる。逆にひろし君の魅力に姉者の方が夢中になっておったわい。」
「えっ、師匠のお姉さんって奥の院の御方ですよね、それって本当なんですか?そのようなお方が人の男性に心奪われる事などあるのでしょうか?」
「あぁ、たまにある事じゃぞ。特に姉者はイケメン好き故によく摘まみ食いをしていた様じゃが、姉者ほどでなくともそうしたモノはたまにおる。怪異などにもそうした話は残っておるじゃろ?
今回は姉者史上最高の恋と言っても過言ではないの~、ガチ惚れじゃ。」
ズルズルと紅茶を啜る朱音さん。驚異の美魔女、ひろし君にガチ惚れ。
年齢差ってどうするんだろうか。香織さんと婚約している俺が言う事じゃないけど。
でも女子生徒に紛れられる美魔女、凄まじいな~。
あともう一つ、用務員さんの所属管轄ってどうなってんの?こないだ学園の組織図を見る機会があったんだけど、用務員さんの事が載ってなかったんだよね。上の人間も知ってる人がいないみたいだし。
「ん?わしらか?わしらは元々この土地を守って来た者だからな。しいて上げれば鬼龍院家がわしらを祀っておったかの。今代の当主鬼龍院一華が若くして当主になった際、この学園を起こしその守りを願い出たのが現在の形の始まりじゃ。
以来当主自らがわしらに供物を与えておる。」
ん?またよく分からない言い回しを。要は鬼龍院家に直接雇われてたって感じ?
「まぁそうなるな。そう言えば最近あ奴が来ぬようじゃが、どうかしたのかの。病気でもしたのか?」
あぁ、前理事長の鬼龍院のばあさんなら引退したよ。ってどうした順子ちゃん、焦った顔をして。
”当主変更の儀式を忘れていた”って何?あ、慌てて帰って行っちゃった。
ねぇ朱音さん、あれなんだと思う?
「あぁ、鬼龍院家の者が当主を代わる際はわしらに報告する習わしになっておるからその事じゃろうて。今の時代どこでも忘れ去られる者はおるからの。寂しい話だが致し方が無いのかもしれんの。」
朱音さんはそう言い、何処か寂しそうな顔をしながら紅茶を啜るのでした。
ハニワは紅茶飲むだろ?お茶菓子はクッキーでいいか?
「あぁ旦那さん、あんじょうよろしゅう頼んます。」
俺は勝手知ったる他人の家とばかりに紅茶とお茶菓子の準備をし、ハニワの前に差し出す。
「旦那さん、すんまへん。うん、うま。旦那さん紅茶入れるのお上手でんな、これはお嫁はんに喜ばれまっせ。」
紅茶を飲み嬉しそうにするハニワ。ハニワの呼び名はいつの間にか”ハニワ”になっていた。だって他に言葉が出ないんだもん、ハニワは”ハニワ”でしょう。
んでこいつからは”旦那さん”と呼ばれるようになっていた。
お~い、そろそろ起きろ~。
俺は固まる二人に声を掛ける。
「な、何で精霊がしゃべってるんじゃ!!しかも紅茶を飲んでお茶菓子を摘まむって、聞いた事も無いんじゃが!?」
目を見開いてハニワを見詰める朱音さん。
「精霊、精霊ってあの精霊ですよね?一般に自然現象と言われているあの。」
もう何が何だか分からないって顔の順子ちゃん。
「あぁ、聖なる気の澱み。ただそこにある自然現象。神とは似て非なるモノ、それが精霊じゃ。似て非なるモノと言っても聖なる気と神気が似ているというだけで全くの別モノなんじゃがな。」
「では昔から言われている精霊は神の成りそこないとか神の雛型とかいう話しは。」
「まったくのでたらめじゃな。人とは同じ神聖と言う括りですべてを見ようとする傾向があるからの。ミジンコも人も同じ生物じゃ、それくらい違うの。」
再びハニワを見詰める二人。彼女たちにとって、ハニワは理解の範疇を大きく超えた存在らしい。
さっきからぶつぶつ言ってるし。
「あ~、嬢ちゃん方が不思議に思うのも仕方ないねん。ワイは人工精霊やからな。教会の神秘と魔術師の技術の結晶やねん。彼らにとっては失敗作やったけどな。」
ズルズル紅茶を飲むハニワ。失敗作って事は余りと言うかまったく気にしていない様なので、その件はスルーしておこう。本人も何で動けるようになったのか全く分かっていないみたいだしね。
そうそう話しは変わるんだけど、前に朱音さんのお姉さんが学園生徒に紛れ込んでるって話ししてたじゃない?あれって今はどうなってるの?
朱音さんたちは今だハニワの事で何か議論を交わしているが、この際なんで気になる事を聞いてみた。
「あぁ、姉者か。こないだ見た時はAクラスに紛れ込んでいたぞ。なんかひろしとやらの取り巻きの一人をしておった。このひろし君、なかなかの強敵の様でな、姉者が執拗にアプローチを掛けるのだが笑顔でかわしよる。逆にひろし君の魅力に姉者の方が夢中になっておったわい。」
「えっ、師匠のお姉さんって奥の院の御方ですよね、それって本当なんですか?そのようなお方が人の男性に心奪われる事などあるのでしょうか?」
「あぁ、たまにある事じゃぞ。特に姉者はイケメン好き故によく摘まみ食いをしていた様じゃが、姉者ほどでなくともそうしたモノはたまにおる。怪異などにもそうした話は残っておるじゃろ?
今回は姉者史上最高の恋と言っても過言ではないの~、ガチ惚れじゃ。」
ズルズルと紅茶を啜る朱音さん。驚異の美魔女、ひろし君にガチ惚れ。
年齢差ってどうするんだろうか。香織さんと婚約している俺が言う事じゃないけど。
でも女子生徒に紛れられる美魔女、凄まじいな~。
あともう一つ、用務員さんの所属管轄ってどうなってんの?こないだ学園の組織図を見る機会があったんだけど、用務員さんの事が載ってなかったんだよね。上の人間も知ってる人がいないみたいだし。
「ん?わしらか?わしらは元々この土地を守って来た者だからな。しいて上げれば鬼龍院家がわしらを祀っておったかの。今代の当主鬼龍院一華が若くして当主になった際、この学園を起こしその守りを願い出たのが現在の形の始まりじゃ。
以来当主自らがわしらに供物を与えておる。」
ん?またよく分からない言い回しを。要は鬼龍院家に直接雇われてたって感じ?
「まぁそうなるな。そう言えば最近あ奴が来ぬようじゃが、どうかしたのかの。病気でもしたのか?」
あぁ、前理事長の鬼龍院のばあさんなら引退したよ。ってどうした順子ちゃん、焦った顔をして。
”当主変更の儀式を忘れていた”って何?あ、慌てて帰って行っちゃった。
ねぇ朱音さん、あれなんだと思う?
「あぁ、鬼龍院家の者が当主を代わる際はわしらに報告する習わしになっておるからその事じゃろうて。今の時代どこでも忘れ去られる者はおるからの。寂しい話だが致し方が無いのかもしれんの。」
朱音さんはそう言い、何処か寂しそうな顔をしながら紅茶を啜るのでした。
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