上 下
427 / 525
第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第418話 ナニコレ?

しおりを挟む
”ムギューーーーーッ”

「アハハハ、くすぐったいくすぐったい、やめやめ。アッハッハッハッハ。」

なんかえらく伸びるなこの物体。ムニュムニュしていて揉み心地は良いんだけどな、これ。
何か付いて来た良く分からないナニカ。現在リビングにて観察中であります。黒丸~、これ何か分かる?

"ワフゥ?"
何か良く分からないって顔ですね、あれは。
ノエルはこんなの見た事ある?

「さぁ?わたくしも初めて見る物体です。これは果たして生物なのでしょうか?」

"むにゅ~ん、ぐにぐに"

「アッハッハッハ、やめやめ、無理無理無理、そこ引っ張らんといて。お、そこのところは気持ちいいな、うん、そうそう、掻いて掻いて。」

これ生き物か?古代謎科学の結晶って言われた方がまだ納得出来るぞこれ。

どうも形状は自在らしい。体積は変わらないので大きさ自体はさほど変わらない様だが。というか体積ってのもかなり曖昧?重さも割りと自由みたいだし、まさに謎の物体。今はぬいぐるみ位の重さになっています。

「ご主人~、お腹が空きました。何か食べさせて下さい~。」

二階の引き籠り、ブリジットが腹が減ったとノコノコ降りてきた。こいつ最近仮想通貨取引を始めてかなり稼いでいるらしい。資金はどうしたのか?
犯罪組織の隠し資金がかなりあったそうですよ。
"大丈夫です、全てクリーニング済みのお金ですから"って全然安心出来ないんですけど!?
うん、この件には触れないでおこう、心の安寧の為に。

「おや?おやおやおや?ご主人、何で精霊なんかで遊んでるんです?」

精霊?何が?

「いえ、だからそれ。」
"むにゅ~ん"

「これ、精霊。」
はぁ~!?神聖さの欠片もないこの物体が精霊!?

「ワッハッハッハ、嬢ちゃんよく知ってるな~。確かにワイは精霊やで。」

うっそだ~、こんなしゃべり方する精霊がいる訳ないじゃん。

「あ、ご主人、こいつ人工精霊です。うちの組織が研究していた奴ですね。教会と組んでやってたハズですよ。
本来精霊は自然現象、意思などありませんから。」

えっ?アニメや絵本に出て来るような羽の生えた神秘的な存在は!?
精霊様っていないの?

「あ~、それこそファンタジーですね。この人工精霊計画もそんなファンタジー的存在を作ろうとしていた様ですよ。頓挫したって聞いてますが。」

俺は精霊?を持ち上げてブリジットに問いかけた。

じゃあこれは何?

「失敗作?馬鹿の夢の成れの果て?」

俺は何か不憫なモノを見るような目でこのナニカを見詰めるのであった。


「でな、そういう訳でワイはこの国にいたねん。」

この精霊?もうハニワでいいや。ハニワの話しによると、彼は完全な失敗作、精霊計画の副産物だったらしい。彼の正式名称は精霊石、文字通り物言わぬ石。多くの霊力を含む秘物として各国の教会重要施設に送られていたらしい。使われ方は様々、要は自動回復機能付きバッテリーとして重宝されていたようだ。

「ワイは初期のまだ精霊を作ろうとしていた頃の作品やねん。だから色々と機能を盛ったんはいいんやけど作動せんかったやろ?でも色々盛ったせいで精霊石としても低品質やってん。で、研究所の倉庫に投げられてたんやけどな、教会がかなりゴタゴタして研究所が解散になるときにこの国に送られたっちゅう訳や。この国の教会を引き留める為のダシの一つやったんやろな。
さっき色々盛ったゆうたやろ?周りの声や考えがガンガン入ってくんねん。で、言葉や思考が育まれたっちゅう訳や、凄いやろ。
でもあんさん不思議やな?なんも考えが入って来いへんねん。こっちは楽でエエけどな。あとあんさんの傍におるとまったく周りの思考がやって来いへんねん。だもんで付いて来たっちゅう訳や。読まんよう止めることもでけるけど逆に神経疲れるしな~。ワイ神経あらへんけど、ワッハッハッハ。」

うっさ、目茶苦茶しゃべるじゃん。何が沈黙の精霊石だよ、関西のおばちゃん並みじゃん。
要は俺の傍は静かで居心地がいいから付いて来たでOK?

「概ねそんなところやな。」

ふーん、ま、俺は気にしないからいいかな?ところで姿形って自由自在なの?

「大きさに限界はあるけど"その物"を取り込めばほぼそっくりもしくは改良版になれるで。」

マントとか帽子とか?

「剣や盾でも行けるで、元々そう言う用途の機能やしな。メンテナンスフリーの剣や盾は戦いには必須やろ。」

おぉ、異世界ファンタジーには必ず欲しい機能。製作陣マニアだわ~、分かっていらっしゃる。
じゃあさ、これになれる?
俺は自室から朱音さん特製張り扇を持ってきて彼に差し出した。

「ん?これくらいなら余裕やで、取り込んでエエか?」

あぁ、まだ何本かあるからいいぞ。

「じゃあ早速。」

ハニワは薄く延び広がると、張り扇を包み込む様に張り付いた。これじゃ、ハニワじゃなくて風呂敷だな。

「なんやこれ!?これって神器やないかい!うぉ~、力が滾る~!」

"パァーッ"
突然光出したハニワ風呂敷。次の瞬間彼は張り扇その物になっていた。
どれどれ、振り心地は。
"ブンッ、ブンッ"

おぉ、なかなか快適。力の通りも前以上、ミリ単位の調整も余裕で出来そう。

"ワッハッハッハ、我こそは精霊剣エクスカリバーなり~”

いやいや違うから、お前ただの張り扇だから。
ほれ、元に戻った戻った。
"ええやん、こないなもんはゆうたもん勝ちやで。"などと言いながら、張り扇から元の白いハニワに戻るナニカ。
んで、お前俺について来ちゃったけどこれからどうするのよ?

「せやねんけどな、ワイ静かに暮らしたいねん。良かったらあんさんの傍に置いてもらえへんやろか。幸いさっきの神器を取り込んだお陰でいろんな機能が解放されよったからに、今なら姿も消せるし腕輪にも成れるで。」

神器は良く分からないけどそれって凄くない?
まぁ俺は気にしないから、好きなだけここにいたらいいんじゃないかな。

「ホンマか、それじゃあ末永く頼んます。」

そう言うと再び光出す白いハニワ。
まぁ演出なんだろうけど、いちいち眩しいな、おい。

”キーーーーーーーーン”

久々の耳鳴り。
光が収まった時、俺の左腕には銀色のブレスレットが装着されていたのでした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

腐女子転生 ~異世界で美少年になりました~

木兎ゆう
ファンタジー
 こんにちは、腐女子です。異世界転生して美少年になりました。  そう、自分で言うのもナンだが、かなりの美少年だ。銀の髪に青い瞳で、お肌も白くてつるつるだ。  ……と言いながら、実はもうすぐ十一歳になる今もまだちょっと半信半疑ではある。何故なら神様らしきものにも会ってないし、チート能力も授かっていない。ちなみに死因は病死だ……。 ★転生前の腐女子の様子は、公開中のBL小説『猫の王様の、なんでもない話』にある「腐女子とリアルでファンタジーな話」でチェック! こちらは腐女子視点によるライトなBLです。完全独立の短編なので、これだけ読んでも楽しめます! *今後も公開日程が決まり次第お知らせするので、どうぞよろしくお願いします。

ふざけんな!と最後まで読まずに投げ捨てた小説の世界に転生してしまった〜旦那様、あなたは私の夫ではありません

詩海猫
ファンタジー
こちらはリハビリ兼ねた思いつき短編の予定&完結まで書いてから投稿予定でしたがコ⚪︎ナで書ききれませんでした。 苦手なのですが出来るだけ端折って(?)早々に決着というか完結の予定です。 ヒロ回だけだと煮詰まってしまう事もあるので、気軽に突っ込みつつ楽しんでいただけたら嬉しいですm(_ _)m *・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・* 顔をあげると、目の前にラピスラズリの髪の色と瞳をした白人男性がいた。 周囲を見まわせばここは教会のようで、大勢の人間がこちらに注目している。 見たくなかったけど自分の手にはブーケがあるし、着ているものはウエディングドレスっぽい。 脳内??が多過ぎて固まって動かない私に美形が語りかける。 「マリーローズ?」 そう呼ばれた途端、一気に脳内に情報が拡散した。 目の前の男は王女の護衛騎士、基本既婚者でまとめられている護衛騎士に、なぜ彼が入っていたかと言うと以前王女が誘拐された時、救出したのが彼だったから。 だが、外国の王族との縁談の話が上がった時に独身のしかも若い騎士がついているのはまずいと言う話になり、王命で婚約者となったのが伯爵家のマリーローズである___思い出した。 日本で私は社畜だった。 暗黒な日々の中、私の唯一の楽しみだったのは、ロマンス小説。 あらかた読み尽くしたところで、友達から勧められたのがこの『ロゼの幸福』。 「ふざけんな___!!!」 と最後まで読むことなく投げ出した、私が前世の人生最後に読んだ小説の中に、私は転生してしまった。

ようこそ、ここは君が主人公の世界です

かかし
BL
―――俺はよくある異世界転移者だ。 とはいえ別にトラックに轢かれたとかじゃないし、すっごいチートを持ってる訳じゃない。 誰かの転移に巻き込まれた訳じゃないし、異世界転移した先にあったのは煌びやかな王宮でもなかった。 じゃあ真っ暗な森の中で、魔獣に襲われそうになったのかと言われるとそうでもない。 (本編抜粋) ※差別的な表現があります。ご注意ください。 どこにでもあるような、異世界転移の物語に巻き込まれた主人公(モブ)の話。 主人公は自分じゃないということだけを明確に感じながら、 それによって拗れたり卑屈になったりしながらも本人なりに懸命に生きていく話。 はたして【主人公】は誰なのか。 ………に、なれば良いなぁと思いながら書きました。 ん?これどっかで見たことあるかもしれないをテーマに書きました。 既視感が多数あるやもしれませんが、これだけは言えます。 パクリとかは、絶対にしてないです。 エールやブクマ、本当にありがとうございます! 毎日のモチベーションにしております!! 完結保証、毎日8:00に更新されます!

私とお母さんとお好み焼き

white love it
経済・企業
義理の母と二人暮らしの垣谷操。貧しいと思っていたが、義母、京子の経営手腕はなかなかのものだった。 シングルマザーの織りなす経営方法とは?

婚約も結婚も計画的に。

cyaru
恋愛
長年の婚約者だったルカシュとの関係が学園に入学してからおかしくなった。 忙しい、時間がないと学園に入って5年間はゆっくりと時間を取ることも出来なくなっていた。 原因はスピカという一人の女学生。 少し早めに貰った誕生日のプレゼントの髪留めのお礼を言おうと思ったのだが…。 「あ、もういい。無理だわ」 ベルルカ伯爵家のエステル17歳は空から落ちてきた鳩の糞に気持ちが切り替わった。 ついでに運命も切り替わった‥‥はずなのだが…。 ルカシュは婚約破棄になると知るや「アレは言葉のあやだ」「心を入れ替える」「愛しているのはエステルだけだ」と言い出し、「会ってくれるまで通い続ける」と屋敷にやって来る。 「こんなに足繁く来られるのにこの5年はなんだったの?!」エステルはルカシュの行動に更にキレる。 もうルカシュには気持ちもなく、どちらかと居言えば気持ち悪いとすら思うようになったエステルは父親に新しい婚約者を選んでくれと急かすがなかなか話が進まない。 そんな中「うちの息子、どうでしょう?」と声がかかった。 ルカシュと早く離れたいエステルはその話に飛びついた。 しかし…学園を退学してまで婚約した男性は隣国でも問題視されている自己肯定感が地を這う引き籠り侯爵子息だった。 ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★8月22日投稿開始、完結は8月25日です。初日2話、2日目以降2時間おき公開(10:10~) ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

悪役令息の従者に転職しました

  *  
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました! スパダリ(本人の希望)な従者と、ちっちゃくて可愛い悪役令息の、溺愛無双なお話です。 ハードな境遇も利用して元気にほのぼのコメディです! たぶん!(笑)

「自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-」

mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
 ネットでみつけた『異世界に行ったかもしれないスレ』に書いてあった『異世界に転生する方法』をやってみたら本当に異世界に転生された。  チート能力で豊富な魔力を持っていた俺だったが、目立つのが嫌だったので周囲となんら変わらないよう生活していたが「目立ち過ぎだ!」とか「加減という言葉の意味をもっと勉強して!」と周囲からはなぜか自重を求められた。  なんだよ? それじゃあまるで、俺が自重をどっかに捨ててきたみたいじゃないか!  こうして俺の理不尽で前途多難?な異世界生活が始まりました。  ※注:すべてわかった上で自重してません。

愛されていないはずの婚約者に「貴方に愛されることなど望んでいませんわ」と申し上げたら溺愛されました

海咲雪
恋愛
「セレア、もう一度言う。私はセレアを愛している」 「どうやら、私の愛は伝わっていなかったらしい。これからは思う存分セレアを愛でることにしよう」 「他の男を愛することは婚約者の私が一切認めない。君が愛を注いでいいのも愛を注がれていいのも私だけだ」 貴方が愛しているのはあの男爵令嬢でしょう・・・? 何故、私を愛するふりをするのですか? [登場人物] セレア・シャルロット・・・伯爵令嬢。ノア・ヴィアーズの婚約者。ノアのことを建前ではなく本当に愛している。  × ノア・ヴィアーズ・・・王族。セレア・シャルロットの婚約者。 リア・セルナード・・・男爵令嬢。ノア・ヴィアーズと恋仲であると噂が立っている。 アレン・シールベルト・・・伯爵家の一人息子。セレアとは幼い頃から仲が良い友達。実はセレアのことを・・・?

処理中です...