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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第412話 体育祭の後始末 (side:鬼龍院広美)

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「ご報告いたします。
今回の体育祭で負傷され桜崎中央病院へ搬送されたのは十五名、そのうち入院が必要となったものは五名になります。入院こそしていませんが、単純骨折・亀裂骨折等の患者も見られますので決して楽観視は出来ないでしょう。
また軽症者に関しては校医による診察治療を受けていますがその数は数百名規模になるとの報告が入っています。
そう考えると五名入院で済んだことは奇跡的と言ってもいいでしょう。」

そうか、ありがとう。で、この件に関して周囲の反応はどうだ?あの場にはマスコミの人間も入っていたのだろう?

「はい。本来であれば全国紙の一面を飾ってもおかしくはない状況なのですが、なぜか一様に好意的な反応を示しています。
”あのような歴史的瞬間に立ち会えたこと、光栄に思います。”と言うのが彼女らから聞ける一番多い意見でした。
中にはVTRからタイムを計測してオリンピック委員会に報告してはと言った話も出ていましたが、あくまでエキシビジョンレースであることを説明し、あまり口外しないようにお願いしてあります。」

タイムか~。あれって間違いなく世界レコード出てるよね、って言うか男子二百メートルの伊達一馬選手、Sakiに負けちゃってるんだけど、これって大丈夫なの?
後から陸連辺りに文句言われない?

「はい、その心配はないかと。非公式ですが伊達一馬選手がSakiに負けるのは二度目ですので。その時は湯の華神社で行われた百メートルの奉納レースですが、今回四位の木村君も伊達選手に勝っております。VTR分析では百メートルの時点では今回も木村君が勝っておりましたが、流石二百メートル最速王と謳われた伊達選手、面目躍如ですね。」

ハハハ、我が校の生徒は凄いんだね~。(遠い目)
で、そんな彼らはその後どうなりましたか?

「はい。全身の筋肉を酷使した結果幾つかの筋を痛めたことにより入院しています。幸い二人とも普段から鍛えていたためしばらく安静にしていれば問題はないとの事ですが、ワールドレコードクラスのレースをすればこの結果は致し方が無いかと。
また伊達一馬選手、本条まなみ選手に付きましては負傷等はないとの事です。
お二方とも大変満足され、出来れば来年の体育祭も呼んで欲しいとの言葉を頂いております。」

えっ、来年も呼ぶの?またこの惨劇を繰り返せと、勘弁してよ~。

「では引き続き被害状況についてご報告いたします。
大会本部を含め、生徒来賓等の為に設営されていたテントは全て倒壊しており、廃棄処分が決定しております。また長机、放送機材等も破損が激しく同じく廃棄処分の見込みです。」

うわ~、余計な予算がまた。これ絶対理事会で叩かれるよね?

「それはどうかと。多くの理事が一緒になって暴れていましたから。と言うか理事長自ら一棟テントを破壊していましたね、これに関しては後程請求させて頂きますんで御了承下さい。」

えっ、待って静ちゃん、あれは仕方がなかったの、内なる激情を止められなかったのよ~。

「問答無用です。後学園では静ちゃんと呼ばないでください。よろしいですね、鬼龍院広美理事長?」

わ、分りました。
う~、姪っ子が厳しいです。

「以上の状況から理事会に特別予算の計上を申請願います。詳細は後程行いますのでよろしくお願いいたします。」

わ、分りました。緊急理事会を開いて理事会の承認を得る事にします。
それと外部協力生の反応はどうだったのかしら?あなたの事だから当然チェックしているとは思うんだけど。

”あぁ~、あれですか~。”
鬼龍院静香校長はなぜか死んだ魚の様な目をして遠くを見ながら答えた。

「実際見ていただければわかると思いますが、体育祭に関する掲示板のスレッドの進み方が異常でして。大まかには一年男子生徒の木村英雄君、高木康太君、高宮ひろし君の内容がほとんどですかね。学年対抗レースはやはり大いに盛り上がったようです。
ただ後半は・・・。あのエキシビジョンレースの後は”あぁ~~~”とか”ウォ~~~”とかのコメントがほとんどでして。中には”桜泉最強”をただ連呼するモノや”バンザイ”をただひたすら書き殴るものなど、正直意味が分かりません。
本来でしたら男子生徒の投票と集計を速やかに行う所ですが、状況が状況ですので投票は来週末に持ち越しと言う事になりました。」

分かりました。その件につきましては理事会にもその旨伝えておきましょう。
鬼龍院静香校長、お疲れの所ご苦労様でした。今日はもう下がっていただいて結構です。

「はい、失礼します。」

鬼龍院広美は一礼をし退室していく姪を見ながら思った。
”なんて仕事を受けちまったんだ~、こんなん私にどうにか出来る訳無いじゃん!”
後悔先に立たず。
頑張れ鬼龍院広美、負けるな鬼龍院広美、桜泉学園の復興は君の双肩に掛かっているのだから。(合掌)
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