上 下
406 / 525
第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第398話 Gクラスへようこそ

しおりを挟む
中間考査も終わり、翌週にはスポーツ専科の連中は各々の教室へと旅立っていった。
皆口々に次はいつ奢ってくれるのって聞いてきたが、そこまで俺は御大尽じゃないから。毎回奢ってたら破産しちゃうから、お前らマジいい加減にしろ?高校生相手に札束ってどっかのテレビ企画じゃないんだからね?
またまた~って煽ててもこないだのレシートしか出んわ。こんなに長いレシート初めて見たし。
あ、小山君は気にしないで良いからね。君はもう少し食べた方がいい位だから、お財布出さないでいいから。
お前らも彼くらいの慎ましさを身に付けなさい。
去り際の"は~い、またね~。"と言う気の抜けた返事が、やけに印象に残ったのは言うまでもない。
あいつらあんなんで意中のイケメンをゲット出来るんだろうか。おじさんは凄く心配です。

この学園は元々クラス替えが前提の教育システムなため各教室にたいした荷物もない。各々の荷物は更衣室のロッカーにしまう形のため、教室の扱いは大学などのそれに近いのだろう。
別れがあれば出会いもあるの言葉の通り、Gクラスの教室には新しいクラスメートが各々の思いを抱え集っていた。

「おはよう、皆このGクラスへようこそ。俺の事は気軽に小山って呼んでくれると嬉しいかな。君たちは今回運悪くこのクラスに配属になってしまったみたいだけど、俺は知っているよ。君たちがどれ程努力しているのか。そしてどれ程才能を持っているのかって事をね。
大丈夫、君たちは凄い力を持ってるんだ。だから私なんてとか言って腐らないで欲しいな。
今回は偶々力が出し切れなかっただけなんだから。今は充電期間なんだよ。次の期末考査では必ず上位クラスに返り咲くはずさ。
だから今は一時の羽休めのつもりで過ごして欲しいかな。
愚痴くらいなら俺で良ければ聞くよ?流石に勉強は無理だけどね。」
小山君は新しいクラスメートたちにそう語り掛け、はにかんだ笑みを見せた。

あ、何人か机に突っ伏した。立ち上がって小山君に突貫かましてる女子も数名。他は皆ぽーっとした顔で彼の事を眺めてるし。

俺この教室入りたくねぇ~。って小山君、ひろし君を目指すのは良いけどやり過ぎだから!今の演説でクラス丸々落としちゃったから。
この後俺も自己紹介するの?無理だから。のっぺり最大のピンチ、自業自得だから文句も言えない。

「ねぇ、佐々木君ってもしかしたら桜町小学校出身の佐々木君?」

教室の扉の前でこの先どうするか思案していると、不意に背後から掛けられる問いかけ。振り返るとそこには小柄なウェーブヘアの可愛らしい女子生徒が立っていた。

「あ、やっぱりだ。佐々木君って全然変わらないわね。そののっぺり顔、懐かしいな~。
ん?分からない?六年生の時のクラスメートの梶原よ、梶原香住。忘れちゃった?ま、あまり親しくしていた訳じゃないんだけどね。」

六年生の時のクラスメート?梶原香住・・・なんだったっけな~、何か凄い引っ掛かるんだけど、梶原、梶原、梶原。
あ~、思い出した、ワンパン木村事件の加害者、黄金の右アッパー、瞬殺の梶原だ~。
そうそう、確か一般で受かって桜泉学園中等部に入ったんだったよね。久しぶり、元気だった~。
相変わらずひろし君の推し活頑張ってるんでしょ?どうよ憧れのスクールライフは。

「ハハハハハ、憧れのスクールライフね。桜町小の他の学校へ行った子たちにもよく言われるわ。
私も始めはそう思ってたしね。でもあれから三年。奨学生の三好さんや他の準奨学生で入った子たちはまだ頑張っているみたいだけど、私はもう一杯一杯かな。
正直疲れちゃった。少しでもひろし君に近づきたくて勉強も頑張ってるけど中等部の頃からずっと下位クラスを行ったり来たりだしね。
ここのシステムって頑張れば結果がついて来るって謳っているけど結果が伴わない人間にとっては結構キツイのよ。お前の努力が足りないって常に責められているみたいでね。」

"何か愚痴言っちゃってごめんね。"
梶原さんはそう言うと一人教室へ入っていった。
俺はその後ろ姿をただ眺める事しか出来なかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

腐女子転生 ~異世界で美少年になりました~

木兎ゆう
ファンタジー
 こんにちは、腐女子です。異世界転生して美少年になりました。  そう、自分で言うのもナンだが、かなりの美少年だ。銀の髪に青い瞳で、お肌も白くてつるつるだ。  ……と言いながら、実はもうすぐ十一歳になる今もまだちょっと半信半疑ではある。何故なら神様らしきものにも会ってないし、チート能力も授かっていない。ちなみに死因は病死だ……。 ★転生前の腐女子の様子は、公開中のBL小説『猫の王様の、なんでもない話』にある「腐女子とリアルでファンタジーな話」でチェック! こちらは腐女子視点によるライトなBLです。完全独立の短編なので、これだけ読んでも楽しめます! *今後も公開日程が決まり次第お知らせするので、どうぞよろしくお願いします。

ふざけんな!と最後まで読まずに投げ捨てた小説の世界に転生してしまった〜旦那様、あなたは私の夫ではありません

詩海猫
ファンタジー
こちらはリハビリ兼ねた思いつき短編の予定&完結まで書いてから投稿予定でしたがコ⚪︎ナで書ききれませんでした。 苦手なのですが出来るだけ端折って(?)早々に決着というか完結の予定です。 ヒロ回だけだと煮詰まってしまう事もあるので、気軽に突っ込みつつ楽しんでいただけたら嬉しいですm(_ _)m *・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・* 顔をあげると、目の前にラピスラズリの髪の色と瞳をした白人男性がいた。 周囲を見まわせばここは教会のようで、大勢の人間がこちらに注目している。 見たくなかったけど自分の手にはブーケがあるし、着ているものはウエディングドレスっぽい。 脳内??が多過ぎて固まって動かない私に美形が語りかける。 「マリーローズ?」 そう呼ばれた途端、一気に脳内に情報が拡散した。 目の前の男は王女の護衛騎士、基本既婚者でまとめられている護衛騎士に、なぜ彼が入っていたかと言うと以前王女が誘拐された時、救出したのが彼だったから。 だが、外国の王族との縁談の話が上がった時に独身のしかも若い騎士がついているのはまずいと言う話になり、王命で婚約者となったのが伯爵家のマリーローズである___思い出した。 日本で私は社畜だった。 暗黒な日々の中、私の唯一の楽しみだったのは、ロマンス小説。 あらかた読み尽くしたところで、友達から勧められたのがこの『ロゼの幸福』。 「ふざけんな___!!!」 と最後まで読むことなく投げ出した、私が前世の人生最後に読んだ小説の中に、私は転生してしまった。

ようこそ、ここは君が主人公の世界です

かかし
BL
―――俺はよくある異世界転移者だ。 とはいえ別にトラックに轢かれたとかじゃないし、すっごいチートを持ってる訳じゃない。 誰かの転移に巻き込まれた訳じゃないし、異世界転移した先にあったのは煌びやかな王宮でもなかった。 じゃあ真っ暗な森の中で、魔獣に襲われそうになったのかと言われるとそうでもない。 (本編抜粋) ※差別的な表現があります。ご注意ください。 どこにでもあるような、異世界転移の物語に巻き込まれた主人公(モブ)の話。 主人公は自分じゃないということだけを明確に感じながら、 それによって拗れたり卑屈になったりしながらも本人なりに懸命に生きていく話。 はたして【主人公】は誰なのか。 ………に、なれば良いなぁと思いながら書きました。 ん?これどっかで見たことあるかもしれないをテーマに書きました。 既視感が多数あるやもしれませんが、これだけは言えます。 パクリとかは、絶対にしてないです。 エールやブクマ、本当にありがとうございます! 毎日のモチベーションにしております!! 完結保証、毎日8:00に更新されます!

私とお母さんとお好み焼き

white love it
経済・企業
義理の母と二人暮らしの垣谷操。貧しいと思っていたが、義母、京子の経営手腕はなかなかのものだった。 シングルマザーの織りなす経営方法とは?

婚約も結婚も計画的に。

cyaru
恋愛
長年の婚約者だったルカシュとの関係が学園に入学してからおかしくなった。 忙しい、時間がないと学園に入って5年間はゆっくりと時間を取ることも出来なくなっていた。 原因はスピカという一人の女学生。 少し早めに貰った誕生日のプレゼントの髪留めのお礼を言おうと思ったのだが…。 「あ、もういい。無理だわ」 ベルルカ伯爵家のエステル17歳は空から落ちてきた鳩の糞に気持ちが切り替わった。 ついでに運命も切り替わった‥‥はずなのだが…。 ルカシュは婚約破棄になると知るや「アレは言葉のあやだ」「心を入れ替える」「愛しているのはエステルだけだ」と言い出し、「会ってくれるまで通い続ける」と屋敷にやって来る。 「こんなに足繁く来られるのにこの5年はなんだったの?!」エステルはルカシュの行動に更にキレる。 もうルカシュには気持ちもなく、どちらかと居言えば気持ち悪いとすら思うようになったエステルは父親に新しい婚約者を選んでくれと急かすがなかなか話が進まない。 そんな中「うちの息子、どうでしょう?」と声がかかった。 ルカシュと早く離れたいエステルはその話に飛びついた。 しかし…学園を退学してまで婚約した男性は隣国でも問題視されている自己肯定感が地を這う引き籠り侯爵子息だった。 ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★8月22日投稿開始、完結は8月25日です。初日2話、2日目以降2時間おき公開(10:10~) ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

悪役令息の従者に転職しました

  *  
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました! スパダリ(本人の希望)な従者と、ちっちゃくて可愛い悪役令息の、溺愛無双なお話です。 ハードな境遇も利用して元気にほのぼのコメディです! たぶん!(笑)

「自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-」

mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
 ネットでみつけた『異世界に行ったかもしれないスレ』に書いてあった『異世界に転生する方法』をやってみたら本当に異世界に転生された。  チート能力で豊富な魔力を持っていた俺だったが、目立つのが嫌だったので周囲となんら変わらないよう生活していたが「目立ち過ぎだ!」とか「加減という言葉の意味をもっと勉強して!」と周囲からはなぜか自重を求められた。  なんだよ? それじゃあまるで、俺が自重をどっかに捨ててきたみたいじゃないか!  こうして俺の理不尽で前途多難?な異世界生活が始まりました。  ※注:すべてわかった上で自重してません。

愛されていないはずの婚約者に「貴方に愛されることなど望んでいませんわ」と申し上げたら溺愛されました

海咲雪
恋愛
「セレア、もう一度言う。私はセレアを愛している」 「どうやら、私の愛は伝わっていなかったらしい。これからは思う存分セレアを愛でることにしよう」 「他の男を愛することは婚約者の私が一切認めない。君が愛を注いでいいのも愛を注がれていいのも私だけだ」 貴方が愛しているのはあの男爵令嬢でしょう・・・? 何故、私を愛するふりをするのですか? [登場人物] セレア・シャルロット・・・伯爵令嬢。ノア・ヴィアーズの婚約者。ノアのことを建前ではなく本当に愛している。  × ノア・ヴィアーズ・・・王族。セレア・シャルロットの婚約者。 リア・セルナード・・・男爵令嬢。ノア・ヴィアーズと恋仲であると噂が立っている。 アレン・シールベルト・・・伯爵家の一人息子。セレアとは幼い頃から仲が良い友達。実はセレアのことを・・・?

処理中です...