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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第390話 駄菓子屋で駄弁る (21)

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康太君ちっす。あ、これユーロッパのお土産、ショコラの詰め合わせ。あの国の食文化って凄いわ、なんか何食べても高級に感じちゃう。これって俺がド庶民だからかな?考えてみれば高級外車って言うけどあっちじゃ普通のファミリーカーだもん、ユーロッパの外車ってだけで高級って思っちゃうのって国民性だよね。
何でユーロッパ土産かって?例のごとくマザーがね。行き先教えないで現地に着いてのお楽しみっていい加減やめてくれないかな。
慣れてはきたけどね、慣れたくない習慣ですよ本当に。で、今回はその弊害が出まして、現地で騙されて拉致監禁されちゃいました。
参った参ったって康太君どうした。大丈夫だったのかって、大丈夫だからここにいるんだっての。
そんで何とか逃げ出して本来の目的地に向かって大崎先生と合流したんだけどさ、今ニュースでやってるじゃん、ベッキンガム宮殿崩壊の奴。今回のファッションショー、ベッキンガム宮殿が会場だったんだよね~。しかも戒厳令が出ちゃってショー自体が中止になっちゃいました。
そんで観光も出来ずで三日間大崎先生の特別レッスンを受けておりました。
目茶苦茶きつかったわ。要求シビアすぎ、すべての観客と目を合わせろってどうやるのさ、もはや要求が人間技じゃないんだもん。空間を支配して時を止めろって言われても、俺神様じゃないからね?言わんとする事は分からなくもないよ、実際大崎先生のランウェイは時間が止まってるんじゃないかって思えるシーンがあるからね。
マジあの人おかしい、人間じゃない。
クラシックバレーの世界でも一流の演者は重力から解放されるって言うけどあれマジだわ、芸術の世界ってすさまじいのね。

で俺の話しは良いのよ、康太君よ康太君。何で康太君がAクラスなのよ。中学の頃はわざとCクラスやBクラスに紛れ込んでたじゃないの、康太君に何があったし。

「あぁ、親友には言ってなかったかな?スタジオGreenから僕の写真集が発売されちゃってね。それが結構人気で、三田先生渾身の一枚がおよそ三年分も溜まってたでしょ?それをシリーズ化して出版したんだよね。
僕は嫌だったんだけど、三田先生とウチの両親が凄く乗り気になっちゃって止められなかったんだよ。結果クラス分け投票で一位を取っちゃいました。」

えっ、それって凄くない?あのひろし君を抑えての堂々の一位でしょ、半端ない快挙よ、それって。

「いやいやいや、ひろし君はすでに永久Aクラスが確定してるから。彼が投票に加わると他の人間の順位が分からなくなっちゃうから。中等部の頃なんか酷かったよ、彼全得票数持っていくもんだから男子のクラス分けがくじ引きって回もあったからね。
流石に生徒会選挙は投票をするだろうけど、普段の投票は彼のところに永久Aクラスって表示が出ているはずだよ。」

うん、やっぱりひろし君はひろし君だったんだね。
あ、おばちゃんこないだはありがとう。お陰で学園の女子連中不平不満を言わなくなってめちゃくちゃ平和になったよ。本当に桜木春子講師のお陰です、ありがとうございます。

「何、気にしなくていいさね、けつの青い小娘どもをちょっと煽っただけだからね。それよりアンタの方が大変だっただろうに、よく頑張ったじゃないかい褒めてやるよ。はい豚玉もんじゃ三人前お待ち。」

ありがとうねおばちゃん。それじゃ早速焼きますかってどうした康太君、そんなハトが豆鉄砲食らった様な顔して。

「いや、親友があそこまでおばちゃんにべた褒めされてるの初めて見た気がして、しかも何あの慈愛が籠った眼差し、親友何やったの?」

あ~、うん。簡単に言えば私立桜泉学園高等部の上層部をガラッとひっくり返した?あそこ相当に腐ってたから一新してみました。連休明けたら分かるけど、校長先生代わったから。中等部の鬼龍院静香校長が持ち上がりね。後教師陣も相当数代わってるはずだよ、マネジメント部なんかは四分の一も残ってないんじゃないかな。
中等部は激務で倒れるまで頑張ってるってのにこの落差は何なんだろうね。
同じ学園とは思えないわ。

口をポカンと開けて固まる康太君と如月さん。
「あのすみません佐々木様、つかぬ事をお伺いいたしますが、そのような事が本当に可能なのでしょうか?それこそ理事長の鬼龍院一華様が黙っていないのではないでしょうか。」

鬼龍院一華、言わずと知れた桜泉学園のドン。彼女が右と言えばすべてが右を向く誰も逆らえない絶対権力者、だったっけ?
あの婆さんなら引退したよ。今じゃ田舎で家庭菜園でもやってるんじゃないかな。
何か憑き物が落ちたかのように穏やかになったって聞いたけど。

”これ絶対親友が何かやったよね、って言うかやってる事が怖すぎるんですけど。”
”私も一応調べてみますが全容を知りたかったら直接聞いた方が早いかと。おそらく箝口令が敷かれている可能性がありますので。”
”う~ん、おばちゃんのあの様子からすると相当ヤバそうだよね。これはもう少し時期を見てから聞いた方がいいんじゃないかな。”
”畏まりました、ではその様に。”

二人で何やら密談してるけど別に康太君になら教えてもいいんだよ?ただ政府からあまり広めるなって言われてるからな~。そのうち気が向いたら聞いて下さい。

「所で親友、さっきから隣の席で駄菓子と格闘している外国の方、もしかしなくても親友の関係者だよね。どちら様?」

あ、彼女?誘拐犯。組織抜けたから匿ってくれってついて来ちゃった。仕方が無いから付き人兼メイド見習いをさせてる所。
これ、駄菓子をそんなに散らかすんじゃない、おばちゃんに怒られるでしょうが。

「ご主人様、ごめんです。」

こいつ大和言葉しゃべれるのは良いんだけど、言葉足らずなんだよな~。ダメな大人三号って感じ。名前はブリジット・ベルッチって言うんだけど気軽にブリジットとかブリって呼んでやって。

「はい、私ブリです。ブリちゃんって呼んでね。」

はいはいそっちで駄菓子食べてなさいってどうした康太君に如月さん、頭抱えちゃって。

無自覚に色んな人や動物を拾ってくる親友、ついに犯罪者を拾ってくるとは。
この先親友がどうなってしまうのか、一抹の不安に晒される康太君なのでありました。
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