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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第378話 何をしに来たの? (6) (side : クリスティーヌ・カサンドラ)

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閑静な住宅街、辺りには学校帰りの児童が連れだって笑顔で走り去っていく。
そんな何気ない日常の中に、突然場違いにも現れた高級車の一団。

”バタン、バタン、バタン”
そして車内から現れたこれまた場違いな高級な服装に身を包んだいかにも”偉い人”と言った様な雰囲気の人達。

『クリスティーヌ卿、本当にこの場所であっているのか?ここはどう見てもただの一般住宅にしか見えないんだが。』
疑問の声を上げたのはジェームス卿、彼の言わんとする事は尤もである。我々は大使館を崩壊させ神性に山の管理を任せるというとんでもない存在に会う為にここまで来たのだ。それが蓋を開ければただの一般住宅街、目の前の目的地はそれこそ普通の市民が暮らす一軒家ではないか。

『ジェームス卿、気持ちはよく分かります。しかし我々には後が無いのです、ここはどんな小さな糸口でも縋るしかないのです。』
私は己の気持ちを鼓舞し、目の前の住宅を訪問するのでした。

『なんか大勢さんがいらしたんでどこのだれかと思ったらユーロッパ王国の有名人じゃないかい。こんな東方の島国に一体どんな用があって来たって言うんだい?』

そこで待っていたのは意外な人物でした。
それは東方の凄腕術師としてユーロッパ王国でも名の知れた者、”見鬼”と呼ばれる女性でした。

『突然の訪問、申し訳ありません。見鬼殿はすでに我が国大使館崩壊のニュースはご存じかと思います。我々はその事件を引き起こした超常の存在と交渉を行うためにこの国へ派遣された友好使節団です。こちらの場所については御劔山の神性山姫様よりお伺いしてまいりました。”見鬼”殿にはぜひ彼の存在とのお取次ぎをお願いしたいのです。』

『あ~、あれね~。話しは聞いてるよ。なんか対応をミスったらしいじゃないかい。それで今度は賢者と呼ばれるアンタとユーロッパ王国の二番手、ジェームス卿がお出ましって所かい。』

『お恥ずかしながら我が国の現状は大変危険であると言わざるを得ません。なにとぞご協力をお願いしたい。』

”ガチャ”
それは玄関が開き誰かが家へ入ってくる音でした。

「ただいま~、お母様玄関前に高級車がずらりと停まっていますがどなたかお客様でもお見えでしょうか?」
入ってきた人物はあまり特徴がなく、緊張感の欠片もない青年でした。

「おぉ息子、いい所に帰って来た。こちらアンタのお客だよ。」
見鬼殿はご子息へ私たちを紹介するのでした。しかし我々には時間が無いのです、こんな所でのんびりほのぼのとしている訳にもいかないのです。

「いや、”見鬼”殿。我々は今回話し合いに来たのです、ご子息を紹介していただけるのは光栄ですが、我々が会いたいのは彼の超常な存在。すぐに会わせられないと言うのは分かりますがそこを曲げてお願いしたい。」
私はあえて大和国言語を使い、見鬼殿とそのご子息にこちらの心情を訴えかけるのでした。

『だからさっきから言っている、我々は山の神性に揶揄われているんだと。このようななにも力を感じない様な場所にそんな強大な力を持った存在がいるはずがないだろうが。ベンジャミン氏の仰ることが真であるならばそのような存在のおわす場所は神域か異界にでもなっているはずだ。ここはただの住宅街の一軒家ではないか。力なぞ微塵も感じないんだぞ、ありえないだろうが。』
それは使節団の一員でもある国内でも有数の力を持った術師の男性でした。彼はこの家に訪問する際も疑問の声を上げていた者の一人でもありました。

『だから私がさっきから言ってるではないですか、この場所もしくは人物と言った特殊条件が彼の超常の存在に繋がるのではないかと。
その条件を目の前にして今更言い争うなど言語道断、我々はすでに追い詰められていると言う事をいい加減自覚していただきたい。』
本当に我々には後が無いのです、私はこの使節団代表として皆に訴えかけました。

『だからそもそもその考えがおかしいと言うのです、幾らベンジャミン氏の言葉とは言え我々はユーロッパ王国が誇る術師の最高峰ですよ、それがどうしてこんな島国にまで来てコケにされなくてはいけないんです。
あの神性についてだって確かに力は感じましたがそれほどのものかと聞かれれば疑問しか残りません。この国の政府はあの場所を非常に危険視していましたがそれはこんな辺境の国の術師の言う事、我々とは土台レベルが違うのです。比べる事自体がおこがましいのです。』 

今度は他の女性術師が反対の声を上げます。
この場にいる術師はそれぞれがユーロッパ王国における頂点、そのプライドがこれまでの一連のやり取りに我慢の限界を迎えたのでしょう。
話し合いは平行線のまま私と使節団員たちの間に開いた溝は埋まる事がありませんでした。結果私は使節団長を解任され、後の交渉はジェームス卿が引き継ぐ事となりました。

「失礼した。ここから先はこのジェームスが取り仕切らせて頂くとしよう。
ま、こんな東方の島国の者に言っても分からんとは思うがこれでもユーロッパ王国最強との自負がある。言葉にはよく気を付けて発言して貰いたい。
それで我々が知りたいのは先だって我が国の大使館を襲った怪異についての情報だ。奴は不遜にも我が国に脅しを掛けて来た。我々はその事を重く受け止めている、決してないがしろには出来ないとね。
その者は我が国に喧嘩を売ったのだ、放置など出来るはずがないだろう?
この報いは必ず受けさせなければならない、その為には我々はあらゆる手段を用いるだろう。
無論我々は知的文化を愛するユーロッパ王国国民だ、いきなり暴力的な行為など行う訳ではないさ。ただ君たちには協力して欲しいだけなんだ。
素直に力を貸してくれると我々としても大変助かる。無用な血は見たくもないのでね。」

ジェームス卿の物言いに私は空いた口が塞がりませんでした。彼は丁寧な口調で力いっぱい相手を馬鹿にしたどころか脅し迄かけたのです。これでは協力どころかこの家を叩き出されても文句は言えません。

しかしここで私には一つの疑問が生じました。不敵に笑うジェームス卿に対しどうしたものかと思案するご子息、そしてそんな二人の様子をニヤニヤと楽しそうに眺める見鬼殿。何かがおかしい、何でこの二人はそんなに平気なんだ?見鬼殿なら我々の実力には気付いているだろうし、ご子息もこれだけの術師からプレッシャーを掛けられているのにも拘らずなぜそんなに平然としていられるんだ?

私の中の感が警鐘を鳴らします、”ここにいてはいけない、今すぐ逃げろ”。しかし私は使節団の一員、すべてを見届ける義務があるのです。

「ねぇマイマザー、こちらのジェームスさんは結局のところ何が言いたいの?」
ご子息が見鬼殿に問い掛けます。

「うーん、要約すれば"痛い目に合いたくなければ言う事を聞け"かな?」
見鬼殿の回答はとてもシンプルで分かり易いものでした。

「え~っと、ジェームスさん?ジェームス卿とお呼びした方がよろしいでしょうか、先ほど母の言った解釈で間違いはございませんでしょうか?」
ジェームス卿は肩をすくめる様な仕草をし、了承の意を示しました。

"ピンポ~ン"

それは玄関チャイムの鳴る音でした。
ご子息はインターホンに手を掛け、訪問者と何やらお話をされているようでした。

「なぁそこの君、さっきから自由気ままにしているが良いのかな?私も決して気長と言う訳ではないのだよ。それに舐められると言う事にも慣れていなくてね。」

"ボフゥッ"
声を荒げ不機嫌を隠そうとしないジェームス卿、彼の身体から溢れる濃密な力の奔流が辺りを覆いつくそうとしていました。これはすでに攻撃、彼は本気で力を行使しようとしているのです。

「突然膨らむ気配、その存在が屋敷全体を覆って行く。素人目にもハッキリと分かる上位存在の証、彼こそがユーロッパ王国の最強、誰もが逆らえない絶対正義ジェームス卿その人であった~。」

「ぶははは、止めて助けて、そのタイミングでナレーションぶちこむって、流石息子。あははは、腹が腹が、痛い痛い痛い、ジェームスさんに痛い目にあわされちまったじゃないか、ぶははは。」
しかし見鬼殿たちは全くその事を気にしていないどころか、そんな恐るべきユーロッパ最強を相手に彼を揶揄い始めたのです。

”あぶない”、私は咄嗟にジェームス卿を止めに入りました。ここで彼が暴れてしまえばこれまでのすべてが無駄になる、私にはほかに選択肢がありませんでした。

「Saki様、ただいま戻りました。何やらお客様がお戯れのご様子ですが、宜しければお帰り願いましょうか?」
”殺される”
私たちに向けられた気配、それは濃厚な”死”そのモノでした。
今まで激高していた者が、東方の島国と馬鹿にしせせら笑っていた者が。
今は等しく”死”に迎え入れられようとしている。
我々は自らの死を公平に幻視していたのでした。

『第一級怪異”ユーロッパの悪夢”、なぜ奴がココに・・・。』
絞り出される様に紡がれたジェームス卿の呟き、それは我々の絶望を意味していました。

「そうでした、ご紹介致します。友人のエリザベスです。」

玄関からゆっくりと入室してきた黒い影、黒いドレスに黒い帽子、ベールに覆われた顔は美しい赤い唇がやけに目を引く、そんな喪に伏したような女性。
『あ、あぁ、”嘆きの貴婦人”、大聖堂に封印されていたはずじゃ!?』

すべてを見取り黄泉路へと案内する、かつて一国を滅ぼしたとされる第一級怪異”嘆きの貴婦人”。

「お~い、ご主人今帰ったぞ!黒丸もご機嫌だぞ、何かおやつくれ~。
あ、なんだノエル帰ってたのか?悪いんだけど、あたしと黒丸に何かおやつくれないかい。」
その声に背後の庭を振り向けば、これもまた強大な力を秘めた第一級怪異クラスの二体の化け物。

先程迄の怒りの形相から一転、真っ青な顔をしたジェームス卿がガタガタ震える身体を必死に抑えている。残りの使節団員も意識を保つのでやっとの状態、すでに下半身は大変な事になっている。かく言う私も同様の状態なのでした。

”チリ~ン“
耳に響く鈴の音、そしてまた一体、第一級怪異が。
ここは何だ、我々はいつの間に魔界に入り込んでしまったのか。

「何かお客さんがたくさん来たので面倒な"お客様"はお帰り頂きましょうか。」
ご子息がそう呟きこちらに向き直る。

"ゴウッ"

彼の御方から溢れ出す力の奔流、それは海、遥か彼方水平線よりやって来る大津波。
ハハハハハ、これが王宮筆頭執事ベンジャミン氏の仰っていた怒らせてはいけない存在、超常の神。
国王陛下、申し訳ありません。我々はその責務を全う出来ませんでした。
皆様よりの叱責はヴァルハラにてお伺いいたします。

"ユーロッパ王国はこの俺に喧嘩を売った。
お前たちの答え、確かに受け取ったぞ。"

言語を越え直接魂に届くその言葉、それがこの場での私の最後の記憶でした。
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