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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第357話 キャンプに行こう

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いや~、週末は参った参った。康太君の家に御呼ばれして久々に美味しいお菓子と紅茶を頂きながらまったり近況報告しようと思ってたのに、”一週間の出来事全部吐け”って言ってた康太君が初日の話を聞いただけでダウンしちゃうんだもん。
他にも色々あったのよ?二日目のチェイサーの話しとか三日目の部活見学の話しとか。
あと風紀委員に追い掛けられたし先生方に刺す股で捕縛されそうになったこともあったな~。皆懐かしい思い出です。

おはようございます。今朝は雲一つない晴れ渡った大変気持ちのいい朝ですね。
クラスの皆さんは朝練の後ですか?毎日ご苦労様です。
皆さん本当によく頑張られていますもんね、これからの大会期待して応援させていただきます。

「おはよう佐々木、今朝はやけに機嫌がいいじゃない。何かいい事でもあったの?」

おはようございます篠原さん。いい事、あったんですよ。ついに自分正門で職質されなくなったんです。警備員さんに”おはよう佐々木君学校頑張って”と言われるのがこんなに嬉しい事だとは。自分では気にしていないつもりでも心のどこかで傷付いていたんですね。思わず泣きそうになりましたもん。
自分漸くこの学園に認めていただいたようです。

「お、おう。思ってた以上に重い話だったよ。何、佐々木ってば毎回正門で職質受けてたの?本当は何それ超ウケる~って言いたいけど、そんな顔見ちゃったら言えないじゃん。佐々木、強く生きなよ。」

うん、俺頑張るよ。
因みに陸上部での体力測定ラン&お茶会は来月の連休明けに決まりました。今月は新人戦とかで忙しいんだと。参加申し込みは直接陸上部でお願いします。

「なんだよ、サービス悪いぞ中の人。私たちにもっとSaki様成分を寄越せ。何だったら木村君と一緒に女バスでSaki様イベントしてくれてもいいのよ?」

甘えるでないわ馬鹿もんが、こないだ言ったではないか、体力測定ランフルバースト二時間を完走したらやってやると。金曜日にリベンジだって言ってクラスの女子と挑んできたからやってみれば、お前開始一時間半で周回遅れになったじゃないか、もっと陸上部の先輩方を見習いたまえ。

「見習えって陸上部だって最後の生き残り五人しかいなかったじゃない、しかも全員ヘロヘロで。あんなのおかしいから、人の所業じゃないから。」

何を言うか、人の限界なんぞ超えてみろ、目指す頂は遥か彼方だぞ。インターハイ優勝したくはないのか。

「ぐっ、それを言われると弱い。でもお願い、一度でいいからうちでもSaki様イベントやって。先輩方からせっつかれてるの。」

両手を合わせ拝み倒しに掛かる篠原。どうやら陸上部でのSaki様イベントは他の運動部にも知られて来てしまったらしい。
仕方が無い、だが条件がある。参加資格は体力測定ランフルバースト一時間完走。これ以上は妥協せんからな。
選考会は明日の放課後、陸上部には俺から話を通しておく。

「本当、助かるわ~。じゃあお願いね中の人♪」

コロッと態度の変わる篠原、こいつ本当に調子が良いわ。

「はい静かにして~、朝のHRをはじめま~す。」
教室に入って来たのは担任の橋本先生、こうしていつもの授業が始まるのである。

「・・・と言う訳ですので皆さん気を付けてください。最後に連絡です。来週の校外学習は御劔山キャンプ場でのキャンプになります。これはクラスの交流を目的としたものとなっていますが、はっきり言えば男女の交流会です。男子の二人は女子と同じ班になっても嫌がらずに協力してください。
これもこの学園の男子生徒の義務ですからね。」

ほ~、これは佐久間中学時代の校外学習と同じって事ですか。政府の意向には逆らえませんものね。
で、先生、班決めはどう言った形で行うんですか?

「そうですね。これまでは男子生徒に群がる女子生徒をどう捌くのかが問題だったんですけど、ここ数年下位クラスでの男子生徒の評判がね・・・。」

あ、まぁ、うん。そうですよね、事情は粗方聞いてますんで。
おい小山君、なにか自信ありげな顔してるけど君も一緒だからね。

「ふざけたことを抜かすなのっぺり、どう考えても俺とお前の立場が同じ訳無いだろうが。」

えっ、そんな事言っちゃう?それじゃ早速現実を直視してみる?
女子生徒の皆さんに質問です。今度のキャンプでこちらの小山君と班を組んでも良いという方、挙手をお願いします。では小山君と同じ班に成りたい人、挙手!

「「「・・・・・・」」」

「おいちょっと待て佐々木ふざけるなよ、お前何かしたんだろう、じゃなければこんな結果おかしいだろう!」

おいおいおい、嫌だな~小山君。こちらスポーツ特待生揃いのGクラスよ?私ごときが言う事を聞かせられるとでも?あり得ないでしょう。すべては今までの小山君の言動と態度が齎した結果ですっての。それに彼女たちこれから新人戦ですよ?
ガンガン結果出して次の中間テストの後には半分近く入れ替わっちゃうんじゃないかな?そんな短い期間にしか関わらない相手に媚を売るとでも?
お互い最低ランクの烙印を押されたことを自覚しようよ~。

「うるさいうるさいうるさい、俺は桜泉学院のスカウトを受けた男だぞ、選ばれた男なんだぞ、それをお前ごときのよく分からん奴と一緒にするな!
これは何かの間違いだ、学園上層部に抗議してやる!」

ま~だ現実が分からないかな~。よし、一度本当のイケメンたちがどう言ったものか見学してくるといい。
俺はポケットからスマホを取り出すと一本の電話を掛けた。
「もしもし吉川?そう俺。パターンB発生。Aクラスの見学ツアーよろしくね。事前許可は取ってあるんだよね?そう、じゃうちのクラスの小山君をよろしくお願いします。」
橋本先生、事前に聞いていると思いますが、外部進学生徒対策パターンB発生を確認しましたんで、小山君のAクラス見学をお願いできますでしょうか?

「えぇ、分りました。新学期前に話しに出ていた例の対策ってこう言う事だったんですね。では小山君、君は今日一日Aクラスに行ってもらいます。今案内の者が来ますのでその指示に従ってください。」

こうして現実を知らないなんちゃってイケメンの為の”真のイケメンツアー”が行われたのでありました、まる。
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