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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第347話 初めまして、佐々木大地です。

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「おはようございます。はい、席について下さい。今日は皆さんに昨日紹介できなかったもう一人の男子生徒を紹介します。」

教室で騒いでいた女子生徒は一瞬の静寂の後、訓練された兵士の様に素早く自席に戻り姿勢を正した。流石は全国から選び抜かれた精鋭、一つ一つの動きに切れがある。

俺は教壇脇へと移動すると、努めて笑顔で挨拶を行った。

「始めまして、外部進学生徒の佐々木大地と言います。皆さんよろしくお願いします。」

腰を四十度曲げ礼をする。この際深く曲げ過ぎないことがポイント、変に謙《へりくだ》り過ぎると場合によっては慇懃無礼になるからね。
ゆっくりと顔を上げ再び教室を見渡す。見渡す限りの落胆の顔。うん分かってた。
そりゃそうだよね、これまでさんざん努力してようやく手に入れたイケメンパラダイスの切符、蓋を開ければのっぺり佐々木、落胆もするわな。立場が逆なら控訴も辞さない所存です。
以前の俺ならここでSaki様登場ですとかやったんだけど、ごめんね~おじさんもう疲れちゃったから頑張らない事にしたの。気が向いたらやってあげるね?

「はい静かにしてください。では佐々木君はあの一番後ろの席に着いて下さい、窓際のあそこです。」

俺は橋本先生に促されるまま、教室後方窓際の席に向かった。

「はじめまして、俺佐々木大地。しばらくの我慢だと思うけど隣の席よろしくね。」

早速隣の席の子に挨拶をする。
ん?こいつどこかで見た事あるぞ、どこだったっけ?

「ブフォ、のっぺりがまともに挨拶してる、超ウケるんですけど。大体アンタが何でこの学園にいるのよ?あんたの場合イケメンの上に”肉体が”って枕詞が付くじゃないの。」

あ、こいつSaki様イベントの常連じゃん、確かバスケ部の篠原。お前こそ何でこの学園にいるんだよ。

「あんた何言ってんの?佐久間中学バスケット部って言ったら中学総体準優勝の名門よ。他に同じ女バスのみゆきと陸上部の雪もそこにいるわよ?」

はぁ~?この桜泉学園の狭き門に同じ中学から三人もスポーツ推薦で入ったって言うのかよ!?あり得ね~だろ。佐久間中学ただの公立校だぞ?スポーツに力入れてる他所の私立とは訳が違うのよ!?

「バカね~、それだけアンタら鬼ごっこ同好会が異常だったって言う事なんでしょうが。あの体力測定ランに着いて行けるくらいの実力があったら、大抵の部活で好成績残せるから。そのうち全国紙に知ってる名前が載る日がやって来るわよ。」

事も無げにそう答える榊原。マジかよ、俺は近い未来に起こりうる事態に眉間を抑えるのでした。


「ちょっといいかしら?」

時は過ぎて帰りのHR終了後、俺はクラスメートの女子に囲まれるという事態に陥っているのでありました。

「あなた昨日のお披露目にいなかったわよね?本当にウチの学校の外部進学生徒なの?
入学案内パンフレットにもあなたの写真なんて見当たらなかったんだけど?」

Oh~、何と言う事でしょう。あまりに気合を入れた写真撮影を行った為、本人と認識して貰えない問題がココでも勃発です。
だから真弓ちゃんやり過ぎなんだって。(涙)

「さっき小山君にも確認したんだけど、貴方みたいな生徒に見覚えはないって。
あなた後から裏口入学とかした口じゃないでしょうね?」

小山君?あ~、さっきからこちらをニヤニヤした顔で見てる性格の悪そうな野郎か。
まぁ、その辺は何とでも言えるし俺も彼の事知らないし、嘘は言ってないわな~。

う~ん、面倒だな~。
俺はポケットからスマホを取り出し一本の電話を掛けた。

「もしもし吉川?今ちょっといいか?」
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