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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第305話 初詣は合格祈願

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絵実おはよう。あ、ごめんごめん、今日はそうじゃなかったね。絵実、明けましておめでとう。
香織さん、明けましておめでとうございます。
俺は香織さんに新年の挨拶をすると、膝を折り、彼女の右手の甲にそっと唇を"スパーン"・・・鋭い突っ込み、流石でございます、絵実様。

「あんたは新年早々何をしてるの。西山君たちと待ち合わせしてるんだから、さっさと行くわよ。」
何って香織さんに全力で愛情表現をって分かったから、もう張り扇聖剣はいいから。
それでは絵実さんをお預かりします。

「だからそう言うのはいいから、早く行くわよ、お母さん行って来ます。」

「行ってらっしゃい、絵実。佐々木君、絵実の事をお願いね。」

おまかせ下さい香織さん。この僕が全力でエスコートしますので。(ニッコリ)

「佐~々~木~、いい加減にしろや、あ~?」
ごめんなさいごめんなさい、もうしません、反省してます、だから耳を引っ張らないで~。

絵実ちゃんママに笑顔で見送られ、待ち合わせの駅前に向かう佐々木一行なのでした。

西山君、みっちゃんくみちゃん明けましておめでとう。
どう?受験勉強順調に進んでる?

「あ、佐々木君明けましておめでとう。それに野口さんも明けましておめでとう。
勉強の方はやれるだけやってるって感じ。正直どれだけ頑張っても不安しかないからね。
野口さんも公立高校受験があるんでしょ?お互い頑張ろうね。」

くみちゃんどうした?元気無いけど。心配なのは分かるけど今日はその為の合格祈願なんだから、顔を上げてお詣りに行こうよ。
「うん、佐々木君の言う通りだね、こんな顔してちゃ駄目だよね。
最近緊張であまり食欲がなくって、お腹周りが痩せてきちゃってたんだ。そのくせ胸ばかり大きくなるんだもん嫌になっちゃう。勉強してると肩ばっかり凝るんだもん。」

そ、それは大変だね。くみちゃんの場合、肩周りのストレッチや筋トレは絶対やった方がいいよ。胸の土台は大胸筋や広背筋と言った各筋肉群だからね、肩凝りの解消にも繋がるよ。

「うん、分かった。身体が固いと気持ちも暗くなるもんね、頑張ってみるよ。」
そう言って胸を張り堂々と歩き出すくみちゃん。でもくみちゃん、そのお胸様は攻撃力が高過ぎます。みっちゃんがフレンドリーファイアで瀕死状態です、程々でお願いします。

電車に揺られる事一時間ちょっと、俺たちは中央都にある受験生の聖地、湯島天神にやって来た。
ここの神様菅原道子は何でも朝廷時代の有名人だとか。全国で崇められているってんだから何か凄い人だったんだろう。よく知らないけど。
家を出る前に葛の葉に聞いたんだけど、"あぁ、道子ちゃんとは昔よく殴り合った仲だよ?遊びに行くならよろしく言っといて~"と訳の分からない事を言っていた。朝まで飲んでた酔っ払いの戯言は訳分からん。多分レディース時代の喧嘩仲間の事なんだろうな~。(遠い目)
痴女(町田さん)、総長(仲居さん)、特攻隊長(葛の葉)。俺の周りヤバい人多いわ。ま、マミーも俺も国際指名手配犯だし、ハハハハハハ。(乾いた笑い)

「どうしたの佐々木君、さっきから目が死んでるよ?何か悩みごと?」
あ、絵実ごめん、自分の置かれた立場にゲンナリしてただけだから。
それよりもうすぐ着きそうだね、それっぽい人たち増えてきたし。

流石受験生の聖地、神社は多くの参拝者で溢れていた。

"こちらA班、マルタイは発見出来たか。"
"こちらB班、奴は完全に気配を消している。注意深く痕跡を探れ。"
"こちら本部、各班引き続き捜索に当たられたし。まだ遠く迄は行っていない筈だ、決して逃がすな!"
"「「「了解!」」」"

何か巫女服を着たサングラスにインカムを着けた集団が走り抜けて行ったんですけど・・・。何あれ?
しかも誰も注目してないし。
えっ、都会の神社ってあれが普通なの?何そのパンクロックな世界、地元の神社は普通だったよ?都会ってスゲー。
そんでもってもう一つ。さっきから俺の腰にしがみついて身を隠そうとしている巫女服を着た隈の深いこの女性は何?新手の痴女?

ジーっと目をやる。キョロキョロ周りを見回してから自分の顔を指差す女性。
"コクコク"
急に汗を流し始める女性。
そう、お前だよお前。何しがみついてるのさ?警察突き出すよ?

「すみませんでした~。何とぞお上だけはご勘弁を、伏してお願い申し上げます。」
おぉ~、見事なまでのフライング土下座。その潔さあっぱれである。
しかもその風貌、訳ありとみた。飯でも奢ってやるからおじちゃんに話し聞かせてみ?
お~いみんな、一人連れが増えた。構わないかい?

「ん?佐々木君、さっきから一人で何言ってるの?早くお詣り済ませるよ、お守り買わないといけないんだから。」

お、おう、悪い。じゃあ、列に並ぼうか。

俺たちプラス謎の女性は、こうして一緒に神社でのお詣りをするのであった。
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