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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第285話 学校見学へ行こう (5)

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「俺が生徒会長の尾崎秀悟だ。お前たちがこれまでどう言う立場でどう言う扱いを受けて来たかなど、俺は知らんし興味もない。この学園は完全実力主義だ、それに男女は関係ない。文句があるなら実力を示せ。
俺からの話は以上だ。
貴様らの入学を歓迎しよう。」

おぉ~、あれが”唯我独尊”尾崎秀悟生徒会長、存在感が半端ない。
俺様もあそこ迄突き抜ければ立派な一分野、逆に好きだぞああいう一本筋の通った俺様。あ、目が合った。二度見してきた?俺ののっぺり顔ってそこまでインパクトあったの?何か一人で頷いてるんですけど、変に期待しないでよ、ただののっぺりよ俺は。

”続きまして、石川副生徒会長から挨拶を頂きます。”

今度は洋一君か~。ここの生徒会選挙って人気投票だったよね?やっぱりドラマ?テレビの影響力って依然強いよね。

「副生徒会長の石川洋一です。俺はみんなと同じ外部進学生だ。よくこの学園は内部進学組を本命、外部進学組を生贄だなんて揶揄する事があるけど、決してそれだけじゃないから。現に俺みたいに副生徒会長に上り詰める人間だっている。要はこれまでの自分がどうかでなく、これからの自分をどう評価してもらうかって問題だ。
ここ数年、桜泉学園中等部の男子生徒の質が数段向上したと言われている。俺たち外部進学組はその内部進学組と比較されるんだ、嫌な事や我慢ならない事もあるだろう。その時は迷わず生徒会の俺の所へ相談しに来て欲しい。出来るだけ話は聞こう、アドバイスもしよう。変に抱えこむ事だけは止めろ、共に頑張ろう。」

洋一君スゲー、ちゃんと生徒会副会長してるわ。いよ、外部進学生の星!
あ、こっち見た。凄い目を見開いてびっくりしてやんの。何か口パクしてるし。
なになに、お・ま・え・は・く・る・な?
そんなつれない事言わないでよ~、遊びに行くからさ~、お茶くらい出してよね~♪
入学したらお世話になります、押忍!
あぁ~、頭抱えて出て行っちゃったよ~。後で風子さんに洋一君を慰めてくれるようにお願いしておこうかな~。


「よう、佐々木。お前もこの学園にしたんだな。」
声を掛けられ振り向くと、そこには木村君が。
木村君合宿振り、最後の夏休み楽しんでる?

「まぁ、それなりにな。月子姉さんがまた滝に連れて行けって騒いでたぞ。
ピクニックが楽しかったって言ってたけど、お前の所の滝って、あの修行場の事だよな?月子姉さんがどうやってあそこまで行けたんだ?聞いても”私は黒丸ライダー、あの森最速の女”とか言ってて要領が掴めないんだが。」
アハハハ、まぁ、うん、木村君にはそのうちね。今はまだ早いかも、世の中知らない方が幸せな事って多いと思うよ、うん。

「お、おう。どんどん目が死んでいってるぞ、戻って来い。この後は写真撮影があるんだからな。
で、お前はのっぺりのまま行くって事でいいんだよな?よく許可が下りたな。」
まぁね、後から発覚したら炎上どころの騒ぎじゃないから。女性と違って男性はスッピンが基本みたいな風潮があるからね。眉ぞりや髪染めくらいは大丈夫だけど、それを常態にしないと怒られるって言うか、俺の場合別人になっちゃうから詐欺師扱いになっちゃうんだよね。一生Saki様のままってのも何か違うしね。

「そうか、何か困った事があったら俺にも言えよ。それに幸い石川先輩が外部進学生の相談窓口になってくれるらしいからな。」
アハハハ、木村君も言うね~。ま、その時は頼むよ。
それじゃあ、一緒にパンフレット撮影と参りますか。

「おう、確か中庭集合だったな。変な寄り道して遅れるなよ。」
止めてよフラグ立てるの、経験上そう言うのって結構当たるんだから。


「おいふざけるなよ、なんで俺たちがこんな化け物に写真を撮られないといけないんだ。もっとまともなカメラマンがいるだろうが!」

「俺だってごめんだぞ、いくら男性カメラマンだからってこれじゃ性別詐欺だろう。せめて人間にしてくれ。」

うわ~、早速フラグ回収だよ。木村君が変な事言うから~。
俺関係ないって顔してるけど、こういうのは言霊って言ってね、「じゃあ分かったわ、ちょっと貴女達、私はこちらの撮影をクビになっちゃったからあとお願いね。私は他の手伝いに回るから。」
「「はい、高見屋チーフ。」」

高見屋チーフ?って真弓ちゃん?
お~い、真弓ちゃ~ん、こんな所で何やってるの~?
「えっ、のっぺりちゃん?キャー、本当にのっぺりちゃんじゃない。あなたこそ何でこんな所にいるのよ?あら、いつぞやのイケメン君も一緒じゃない。
えっ、もしかしてあなたここのスカウト合格したの?ここのスカウト何時から肉体基準になっちゃったのよ、この身体イケメン。」

うゎ~、真弓ちゃん真実って時に人を傷つけるんだよ、こののっぺり佐々木、肉体だけならどんなイケメンにも負ける気しないけどね。(大威張り)

「アハハハ、やっぱりのっぺりちゃんっていいわ~、一緒にいるだけでハッピーになれる気がするんだもの。よ、この無自覚女誑し。
所でここにいるって事は撮影なんでしょ?私がカメラ構えてあげる、二人とも任せて頂戴!」
えっ、いいの?凄い嬉しいんですけど。真弓ちゃんって言ったらファッション業界じゃ引っ張りだこのカメラマンじゃん、木村君、この幸運を無駄には出来ないね。

「そうだな、俺も一モデルとして尊敬する高見屋カメラマンのファインダーに写れるなんて、幸運以外の何物でもない。本気で撮影に挑むとしよう。」

よ~し、俺も本気出しちゃうぞ~。のっぺり佐々木モデルモードだ!


(side:高見屋真弓)

「おいふざけるなよ、なんで俺たちがこんな化け物に写真を撮られないといけないんだ。もっとまともなカメラマンがいるだろうが!」

こんな風に言われるのにも慣れちゃったな~。まぁ、私の事を理解しろって言う方が土台無理なんでしょうけどね。
この業界に入ってずいぶん経つけど、始めから私の事をまともに扱ってくれた人って数えるくらいしかいないのよね。今お世話になっている三田先生はその数少ない人物の一人。”あなたの撮った写真を見れば、あなたがどんな人間かなんてすぐに分かるわ。あなたは素的な感性を持った人、ようこそスタジオGreenへ”
あの一言は生涯忘れられないわ、あそこが私の出発点なんだもの。

今日の撮影も三田先生に代わって全体を指揮しないといけないし、こんなくだらないことに係わり合ってる場合じゃないわね。後はスタッフの女の子に任せて他を見て回らないと。

「お~い、真弓ちゃ~ん、こんな所で何やってるの~?」

えっ、のっぺりちゃん?何でのっぺりちゃんがこんな所にいるの?今日って桜泉学園高等部の外部進学生の写真撮影よ、言っちゃ悪いけどイケメンの集いなのよ、あなたは”じゃない側”の人間でしょうに。筋肉?肉体美も審査基準に加わったの?だったら納得なんだけど、のっぺりちゃんの魅惑のボディーはすでに芸術の域だから。
”いい旅、湯め気分♨”が決め手でスカウトされたの?やっぱり肉体美じゃない、分かってるわ~桜泉学園の理事会。

じゃあ、二人とも外部進学が決まったのね。
一緒にいたイケメン君は以前メイド服で撮影させてくれた男の子。こんなにいい男になっちゃって、お漢オネエさん嬉しいわ♪
この子もモデルをやっているだけあっていい雰囲気を持ってるのよね。すでに超一流の風格、国内じゃトップクラス、海外でも十分通用するんじゃないかしら。
じゃあ次はのっぺりちゃんね、張り切って行ってみましょう~♪

”コツンッ、コツンッ”

ファインダーに写る彼は、超一流のアーティスト。
指の動き、足の運び、その全てが芸術。
憂いのある表情、喜び溢れる表情、その全てを身体全体で見事に表現し切って見せた。これが世界のランウェイを席巻した男の実力、その透明感のある素顔が更に表現に幅を持たせている。

これは生涯最高の作品写真になる。
高見屋真弓は興奮する自分を必死に抑え、夢中でシャッターを切るのであった。

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