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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第253話 新入生歓迎会

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「おいっす林、一年生たちあれからどうなった?」
朝の登校時間、二年生になりやたら体格の良くなった林と吉田が駄弁って歩いていたので、こないだの件について聞いてみた。

「あ、部長、おはようございます。
あいつら鬼ごっこ同好会に入るつもりらしいんで、早速あれやらそうと思いまして。聞いたら今年も元気な俺様が息巻いていたらしいんで、丁度良いかなと。」

ほうほう、それは興味深い。
勝手にやるとまた俺が怒られるから佐藤先生には事前に報告しておかないと、それと他の部活にも声を掛けておくかな?
そんじゃそれ、今日の放課後で。三年生にはこっちから伝えておくから、二年生と一年生にはお前らから連絡してくれる?

「「了解しました。今日の放課後ですね、楽しみです。」」

さ~て、新入生の皆さん、たっぷり歓迎してあげるから楽しみにしていてね~♪


(Side : 新入生)

「なぁ、聞いたか?例の鬼ごっこ同好会、今日の放課後入部テストするらしいぞ。」
「あぁ、聞いた聞いた。何か持久力のチェックとか何とか。去年もやってたらしいから恒例行事か何からしい。」
「ねぇ、東山くんたち鬼ごっこ同好会に入るの?私たちも見学に行って良いかな?」
「あん?まぁ構わないけど、俺たちの邪魔はするなよな、俺はいずれ逃走王になる男なんだからよ♪」
「「うん、東山くん頑張ってね♪」」

うゎ~、東山の奴全く懲りてね~。
入学式の後のホームルームで力いっぱいイキってやがったから、背後からサクッと締めてやったんだけど、多分気付いてないぞアイツ。あとで聞いたらこれって毎年の恒例行事って言うし、桜町小学校出身者から見ると異常な光景なんだよな、俺様系わがまま男子って。
俺たちの代はひろし先輩が卒業してからだいぶ経つからそこまででもないけど、佐々木先輩の代は女子生徒狂ってたもんな~。俺様系わがまま男子ムーブをかまそうとした転校生がワンパンで締められた話はいまだに語り草だもんな。
ここ何年かで桜町を含む地域全体が俺様を育む環境じゃなくなって来ているし、あそこの俺様以降はグンと数が減るんじゃないかな~。そういう意味では貴重?まぁどうでもいいか、この後鬼ごっこ同好会の洗礼を受けるんだし。
俺も参加するし隣で声掛けでもしてやろう、俺って優しい~。(ニヤリ)

「本日は鬼ごっこ同好会恒例の体力測定ランニングに参加してくれてありがとう。一年生の諸君は知らないと思うが、俺が部長の佐々木だ。
内容は至ってシンプル、俺たち鬼ごっこ同好会の先輩が前を走るからその後を頑張ってついて来てほしい。言っておくがこれは普段の練習の一環で、なにも特別な事じゃないからな?その証拠に今回は女子バスケットボール部、陸上部、演劇部、アニメ研究部、映像研究会からも参加の申し込みがあったため一緒に走って貰う事になっている。余裕のある一年生は映像研究会からヘッドカメラの装着をお願いしたいとの申し出があったので協力してあげて欲しい。
ではスタート位置についてくれ。」

うゎ~、佐々木先輩性格悪~、これってイキり系俺様の東山だったら絶対断れないじゃん。無様な自分が記録に残るどころか晒される危険有り?
そんなん引き籠りになっちゃうじゃん。

「位置について、用意。」”パンッ”

”ザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッ”

(三十分後)

”ハッハッ、フッフッ、ハッハッ、フッフッ”
「なんだ田中、お前も結構やるじゃないか。どこまでこの俺に付いて来れるのか見物だな、精々頑張れよ。」
「あぁ、東山君もいい走りっぷりだね。頑張って。東山君ヘッドカメラの協力してるんだ、やっぱり自信のある人は違うや、凄いね。」
「ハハハ、俺様くらいになればそれくらい余裕よ、その走りを記録に残してもらわないとな。まぁ、お前には無理だろうけど。」
「アハハハ、俺も無理しない程度に頑張るよ。」

(一時間後)

”ゼッゼッ、ゼッゼッ、ゼッゼッ、ゼッゼッ”
「こいつら、ゼッゼッ、いつまで走る気なんだ、ゼッゼッ、しかも全くペースが落ちてないじゃないか、ゼッゼッ。」
「あ~、東山君、あんまり無理しない方がいいよ?これって試験とかじゃないから、入部できないって事じゃないから。周回遅れとか、女子文化部部員の事とか、まぁあまり気にしないで、自分のペースで走った方がいいんじゃないかな?
その方が今の実力ってモノが分かるだろうし。」
「う、五月蠅い、田中のくせに生意気言ってんじゃねえぞ。俺を誰だと思ってやがる、東山光一様だぞ、お前の指図なんか受けねえんだよ!」
「そっか、そうだよね、あの東山光一君がアニメ研究会女子部員に負ける訳無いもんね♪
一緒に頑張ろう!」
「あ、当たり前だ、黙って走れ!」

(一時間半後)

”ゼッヒュ~、ゼッヒュ~、ゼッヒュ~”
「お~い、東山光一く~ん。大丈夫~?ほら無理するから~、向こうで休んでた方がいいよ~。女子バスケット部の先輩どころか演劇部やアニメ研究会、映像研究会の先輩方もまだまだ元気だけど、僕達とは違うんだから、あんまり自分を卑下しちゃだめだよ~。そこの見学している女の子たち~、東山君の介抱を頼める~?
じゃあ東山君、よく見ておいてね、これからが本番らしいから。」

「じゃあここからペース上げるぞ~、終わったらSaki様とのティータイムだ、気合入れて走れよ~!」
「「「はい!」」」
”ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ”

「・・・・・・」
「あ、東山の奴白目向いちゃった。酸素缶の方よろしくね、しばらく当てておいてもらえればいいから。あとは鬼ごっこ同好会のマネージャーの先輩方が教えてくれるから、そっちの指示に従って。」
「「分かった任せておいて♪」」

あ、あれって完全にロックオンされてる。もしかして彼女たちDVDで予習済み?女子の方が成長が早いって言うけど、情報収集も欠かさないのね。東山、強く生きろ。

「こら田中!遊んでないでお前は走らんかー!」
「げ、林先輩。すみません、今行きま~す!」

”ダダダダダダダダダダダダダダダッ”
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