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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第244話 卒業生を送る会

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"これより第八十六回卒業生を送る会を開催致します。"
"生徒会長挨拶"

"カツッ、カツッ、カツッ"
何かが床を叩く音が体育館に響く。
暫くすると、松葉杖を突いた青年が壇上に現れた。

「卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんが無事卒業出来る事を心よりお喜び申し上げます。
本日は在校生有志による壮行会となります。皆さんがこの学舎を巣立ち、更なる飛躍を遂げる事を願い、挨拶に替えさせて頂きます。
在校生代表、大塚丈一郎。」

ううっ、ビックジョーがあんなに立派になって・・・。
おっちゃん感動で涙出そうです。
生意気だった甥っ子の成長に喜びを感じ打ち振るえる男、どうも佐々木です。
えっ、ビックジョーと親戚だったのかって?そんな訳ないじゃないですか~、気分ですよ気分、嫌だな~もう~。
ビックジョーが親戚だったら強引に鬼ごっこ同好会に引き摺り込んで、アホみたいなプライドなんざバキバキにへし折ってますって~♪
しかし三年生も卒業か~、毎日が濃密すぎて日々の過ぎるのが早い事早い事。
井上元生徒会長にも散々パラご迷惑をお掛けしたからな~。前に洋一君が卒業して何が嬉しいかって聞かれて”佐々木の面倒をみないで済む事”って言ってたらしいけど、井上先輩も同じことを言うのだろうか?
俺ってそこまで酷いかな?絵実ちゃんどう思う?
「「「・・・・」」」
みっちゃんくみちゃん西山君?なんでみんなして顔を逸らす。

「学習しない奴だなお前は、自業自得だ、諦めろ。」
木村君が辛辣。木村君地味メイク辞めてからやけに男らしくなってない?
しっかりしたと言うか頼りがいがあると言うか、いい意味で変わったよね。
西山君も以前みたいな気の弱そうなところが無くなったし、最上級生になるにあたってそれぞれ立派になったよね。
もしかして変わってないのって俺だけ?

「まぁ、うん、それも個性だ。強く生きろよ佐々木。」
木村君その慰め止めて、マジ凹むから。あとみっちゃんにくみちゃん、絵実を慰めるのってどう言う事?俺そこまで酷くないからね、ないよね?そこ黙らないで!

「そこの生徒、静かにしなさい。特に佐々木君。」
「「は~い、すみませんでした~。」」

佐藤先生に怒られてしまった。なんでみんな俺を睨む、解せん。



”続きまして、映像研究会、鬼ごっこ同好会によるミニフィルムを上映いたします。”

体育館の遮光カーテンが引かれスクリーンが下りて来る。
照明が落とされ、プロジェクターの明かりが周囲を仄かに照らし出す。

映し出されるのは薄暗い室内。
自室で一人パソコン画面を見詰め、掲示板サイトにコメントを打ち込む一人の少年。

”僕たちは孤独だった。
この世の嫌な事から逃げ、ずっと殻に引き籠っていた。”

場面は変わり学校の教室
多くの女子生徒に取り囲まれ偉そうな態度で俺様風を吹かせている男子生徒

”俺様は独りだった。
誰もがちやほやし言う事にすべて従う、でも結局誰も俺様の事なんか見てはいなかった。”

校庭の隅、クスノキの下で佇む一人の少女
見詰める先には陸上部の男子生徒と談笑する女子生徒の姿

”私たちは寂しかった。
嫌われたらどうしよう、相手にされなかったら。
見えない鎖が身も心も雁字搦めにしていた。”

男子に群がる女子生徒
その中の一人が苦笑いをしながら言いつけられた用事を行うために走っていく

”私たちは辛かった。
募る想い、報われない心。
諦めてしまう事への恐怖、周りのみんなと違う事をする事への恐れ。
何時しかそれは周りへの攻撃となり、友達を深く傷つけた。”

”ダンダン、ダダッダッダダン、ダンダン、ダダッダッダダン”

パソコンのモニターから、女子生徒の集団に向け見下すような顔をしていた場面から、木下で俯いていた所から、廊下を頼まれた買い物を持ち走ってった自分から。
顔を上げ、席を立ち、動き出す、走り出す!

走る、走る、走る!男子生徒が、女子生徒が!
運動部員も文化系部員も帰宅部も全く関係ない!
走る、走る、膝を付いても、倒れても、それでもまた顔を上げて!

”ダダンダン、ダダンダン、ダダンダッダダン、ダダンダン”
”ダダンダン、ダダンダン、ダダンダッダダン、ダダンダンダダン!”

「「「俺たちは、私たちは、今ここに解き放たれる!
飛べ、佐久間中学の戦士たち、僕らは共に駆け抜けた仲間なのだ!」」」

”バ~~~~~~~~~~~~~ンッ♪”

割れるような拍手、上がる唸り声、興奮の体育館。
そうだ、忘れるな。
俺たちは佐久間中学の仲間、共に駆け抜けた戦士。
お前たちは変わった、お前たちはもう一人じゃない。
卒業生の先輩方、御卒業、おめでとうございます。

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