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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第210話 年上のお姉さんは好きですか? (4)

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「あっはっはっはっ、私は黒丸ライダー、この山の最速は我々。」(ドヤ顔)

う~ん、月子さん満喫してるな~。
あの後、一度みんなで山の祠にお参り。
山姫さんが管理してくれているお陰か、めちゃくちゃ綺麗になってました。
正に聖地って感じ、風が優しく吹き抜け、全体に空間が澄んでいる。空気の美味しい場所ってこう言う所を言うんだろうか、管理が行き届くとこうも違うんですね。
増山のおっちゃん、あまりの変わりぶりに感動の涙を流してるし。
感受性豊かな大人なんですね、いいと思います。
月子さんと黒丸ははしゃいでるし、ノエルは背後に控えている。君たちはぶれないのね。

山姫さんとはここでお別れ。
最後に山姫さんから、海姫さんに貰った釣り道具は大事にしなさいって言われました。
何でも昔海姫さんから借りた釣り道具を海で失くした事があったらしい。
一度海姫さんに怒られてから探しに行ったんだけど、その時海で出会った子と意気投合、遊び呆けていい加減経ってから帰ったら、マジギレさせてしまったらしい。
遊び呆けてたってどれ程遊んでたんですかって聞いたら「三年ほど」って、普通に駄目だろうがそれ。
山姫さん、意外と駄目な大人なのかもしれない。

増山のおっちゃん、そろそろ俺たちも帰りますよって何か疲れてない?

「あぁ、色々ありすぎて精神的にな。俺は申し訳ないがゆっくり行かせて貰うよ。」

う~ん、黒丸~。悪いんだけど先におっちゃんを送り届けてくれる?
俺たちはここで待ってるから。

「では私が増山様に付き添いましょう。Saki様と木村様は、後程黒丸と共に下山なさって下さい。」

「すまん坊主、悪いがそうさせて貰う。車の運転は大丈夫だから安心して欲しい。」

そう言うと、増山のおっちゃん達は風の様にその場を後にするのだった。

「のっぺり、今日は本当に楽しかった。ありがとう。」

急にそんな事を言う月子さん。どうした、何かあったのか?

「別に何かがあった訳ではない。ただ、のっぺりと出会って私の人生は変わった。英雄君もすっかり変わった。一度キチンとお礼が言いたかった。
私に、私たちに出会ってくれて、本当にありがとう。」
深々と頭を下げる月子さん。

「月子さん、こちらこそ出会ってくれてありがとう。貴女のお陰で毎日がとても楽しいです。これからもよろしくお願いしますね。」
俺は気まずげに頬を掻きながら答えた。

「うん♪」
返事を返す彼女の笑顔は、満開に開いた花の様でとても眩しく魅力的であった。

「あ、黒丸。のっぺり、一緒に乗ろう?」
可愛いらしく首をかしげる月子さん。

「あ、あぁ、よろしくお願いします。」
おたおたと返事をする俺。

「うん、じゃあ、のっぺりが前ね♪」
黒丸に跨がる俺の背中に、しっかりと抱きつく月子さん。

「じ、じゃあ、落ちない様に気を付けて。黒丸、頼む。」
"バウッ"

風の様に疾走する黒丸。
俺は煩く騒ぐ胸の鼓動を、抑える事が出来なかった。


「英雄君、ただいま。」
家に帰り、英雄君に挨拶。やっぱり英雄君は格好いい。

「お帰り、月子姉さん。朝早くから押し掛けたりして、佐々木の奴迷惑がったりしてなかったか?」
訝《いぶか》しげに訪ねる英雄君。私は安心させるように堂々と答える。

「大丈夫、のっぺりは私にメロメロ。
英雄君は何も心配いらない。」

「お、おう、あれでも大事な友人だ、ほどほどにしてやってくれ。」

「了解、私に任せるといい。」(ドヤ顔)
顔を引き攣らせる英雄君。何かあったかな?
そうそう、これをいい忘れた。

「英雄君、DVDありがとう。桜木春子先生の教えは本当に素晴らしい。感謝する。」

月子は弟から貰ったプレゼントの礼を述べ、自室へ戻って行った。
彼女は部屋に入るや否や、件《くだん》のDVDを再生し、一日の反省を行うのであった。

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