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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第208話 年上のお姉さんは好きですか? (2)

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「坊主、お待たせしたか?」
大きな四駆を駆り颯爽と現れるニヒルな男、増山五郎。
お休み中の所すみません、突然のお願いをお引き受け頂きまして、ありがとうございます。

増山さん、と言うか夏のキャンプに参加したメンバー、あの後大変でした。
康太君との話しにもあった国を揺るがしたテロ騒ぎ、増山さんたちの会社がガッツリ巻き込まれておりましてですね、彼ら突然失業者になっちゃいました。
本部とやらに問い合わせるも音信不通、退職金どころの騒ぎじゃない。
幸いお三方ともそれなりの高給取りだった様で、蓄えはあるので生活には困らなかったそうですが、先行きどうしたらいいのか散々悩んだんだそうです。
こっちに帰ってからマザーの所にそんな報告をしに来ていたんで、だったらスタジオS&Bうちで働かない?って誘って現在に至ります。
うちの会社警備が手薄だったから渡りに船、彼ら戦闘能力は高いからな~。(遠い目)
"咲夜"の送迎や警備、"hiroshi"関連イベントの警備などを担当してもらっています。

「こっちも今日は暇してたしな。順子の奴も学校の友達と中央都に遊びに行くとか言って朝早く出掛けていないし、丁度良かったんだよ。」

そうそう、キャンプで一緒だった橘順子さん、かなり複雑なご家庭だった様です。
こちらの家もテロ騒ぎでかなり大変だったらしいんですけど、なんやかんやで増山のおっちゃんの養女になっちゃいました。
おっちゃん"嫁もいないのに娘が出来ちまった"ってぼやいてたんで、"おっちゃん、男性保護法的にそれ大丈夫なの?"って聞いたら何でもかなり特殊で危険な職務についていたらしく、特例免除されていたらしい。
但し今後はそれも効かないので嫁探しから始めないといけないと、頭を抱えていましたが。
人生煮詰まってますな~、頑張れ増山のおっちゃん。

そんな大変な状況のおっちゃんを呼び出して何をするのかと言えば、月子さんと一緒に御劔山にハイキングに行きます。(拍手)
だって月子さん、完全に山ガールの格好で遊びに来てるんだもん。ハイキングに行く気満々じゃん。せめて事前に相談しようよ。
ノエルなんて既にお弁当用意して待機してるし、黒丸尻尾ブンブン振って期待の籠った目で見詰めて来るし、行かないなんて言えないじゃん。

「坊主、お前も相変わらずだな。俺も付き合ってやる、強く生きろ。」
おっちゃん、貴方だけが救いです。
運転席に向かう男の背中に、深い感謝をのべる俺なのでした。


着いた~、御劔山~。
車だと一時間位、意外と近いハイキングの聖地、御劔山。
近頃は山ガールだけでなく山ボーイも増えているとか。我が県の男性、他県よりかなりアグレッシブになって来ている様です。
女性による男性への性的犯罪行為も軒並み減ってるとか。
男性獲物襲う狩るモノじゃない、見守り育む愛でて収穫するモノだと言う意識が広がっているらしいですよ。
西城講師と駄菓子屋のおばちゃん、影響力半端ないっす。(冷や汗)

「なぁ坊主、今日のコースはどうするんだ?」

あぁ、おっちゃん。今日は月子さんやノエルもいるんで、初心者向けのハイキングコースにしようかと。
俺も何気にここのハイキングコース初めてなんですよね。
初めてこの地を訪れた時を思い出す。
初っぱな滝行ってやっぱり誰が考えてもおかしい。(遠い目)

「そろそろ出発する。遅いと置いて行く。」

あぁ、すみません。
声のした方を振り向くと、に跨またがりドヤ顔を決める月子さん。
黒丸に跨がり・・・・はぁ?

「先に行く、黒丸GO!」

颯爽と走り出す黒丸。
「ではSaki様、わたくしもテーブルセッティングがございますので、お先に失礼いたします。」
一礼をし、物凄い速さで消えて行く
・・・はぁ~?

ねぇ、おっちゃん。

「なんだ、坊主。」

こっちだとおそらく滝に向かってると思うんだけどさ、あそこってメイド服のままたどり着ける様な所だったっけ?

「さぁ?そんなメイドもいるんじゃないか…。」

後さ、おっちゃん。犬って巨大化して人を乗せて走ったりするもんなんだね、俺全然知らなかったよ。

「奇遇だな。俺も初めて知ったよ。」

「「・・・・・」」

「なぁ坊主、一ついい事を教えてやる。
"下手に考えるな、あるがままを受け入れろ、それが生き残る為のコツだ。"
早く行くぞ。待たせたら悪い。」

一人去って行く増山さん。
その背中には、大人の哀愁が漂っていた。
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