男女比世界は大変らしい。（ただしイケメンに限る）

第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第204話 思い出はコーヒーの香り

時は少々遡る。
｢はい、皆さん席に着いてください。
今日の五限目総合の時間は、文化祭で行うクラスの出し物についての話し会いになります。文化祭実行委員は前に出て来て下さい。｣

よっしゃ、苦節十四年、ついにこの時が。体育祭、夏祭りに続く青春三大イベントの一つ文化祭。昨年はモデル騒ぎで涙の欠席、お情けで月子さんの所の文化祭に行ったけど、そうじゃないのよ。こうみんなと一緒に作り上げる感じ？これぞ青春！
私わたくし佐々木、命懸けます。

｢それでは私たち二年C組の出し物を決めたいと思います。何か提案のある方はいらっしゃいますか？｣
視線を感じる。
その先に居たのは春に共に校外学習に参加したアニメ研究会の二人同志。
頷き合う我ら、思いは一つ。

｢｢｢執事喫茶を提案します。｣｣｣
立ち上がり溢れるは、魂の叫び。
我が人生に一片の悔い無し。

｢では二年C組の出し物は執事喫茶に決定します。続きまして、それぞれの役割り分担について話し合いを行います。
どんな役割りがあるのか、上げて下さい。｣

ざわつく教室。接客は誰がする？厨房係も必要だよね？
活発な意見をかわすクラスメートたち。
そんな喧騒の中、俺は一人思う。
"文化祭における執事喫茶、これは妄想の世界、みんなの夢を詰め込むのは必然。"

"バッ"
おもむろに席を立つ俺、急な俺の行動にいぶかしげな表情のクラスメートたち。

"カツンッ、カツンッ"
ゆっくりと歩みを進め、教壇の前に立つ

｢皆、聞いて欲しい。
我々は夢を忘れてはいないか？
思いを心に秘めて日々を生きてはいないか？
人生は一度きり、
たまには本音をさらけ出しても良いのではないか。
私はここに提案する。
女子全員執事、男子全員メイドの究極の執事喫茶を！！｣

完全なる沈黙。全員の思考が、追い付いて行けていない。
さらに俺は畳み掛ける。

｢想像して欲しい。これまで夢にみた執事がそこかしこて接客する夢空間、そこに現れる創作の世界ですら見たことの無い"男性によるメイド幻想の存在"。
メイクは任せろ。この俺が、持てるコネ力を駆使して全てを用意しよう。
みんな、俺に力を貸してくれ！
賛成の者、挙手！｣
"ババババババババババババババッ"

我々の心は一つ、いざ行かん夢の世界へドリームランド。