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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー
第197話 駄菓子屋で駄弁る (16)
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「こないだぶり親友、元気そうで何より。」
扇風機の前に陣取り、プラスチックのカップに入ったかき氷と格闘中の康太君。
後ろに控える如月さんもオデコに飲むアイスを当てて冷却中。
暑さ寒さも彼岸まで、まだしばらく猛暑だな、これは。
はいこれお土産、今回は大したもの無くってごめんね。場所が場所だったんで、お土産らしいものって余りなくって。
「あぁ、どうもありがとう。これ干物?お母さんが喜ぶよ、ウチの母親たち魚系大好きだから。あとこのヒョウタンは何?」
それ?お猿さんから貰ったジュース。マイマザー曰く、”最高級品だからご両親に渡す様に”だそうです。康太君は大人になるまで我慢することだってさ。
美味しいのにね、その辺は康太君ちで話し合って決めて。
”えっ、それって幻のあれじゃ、でもそれってただの俗説で実際は隠語だって聞くし…”って何か小難しい事を呟く康太君。流石は師匠、私にはちんぷんかんぷんでございます。
「それで親友、今回はどんな悪さしてきた、僕に聞かせてくれない?」
毎回思うけど、言い方。
まあ話すけど、そんなに大層な話じゃないんだけどな~。
合宿の話は聞いてる?木村君たちに聞いたんだ、なかなか充実した合宿だったよ。
三年生はこれで引退だし、気合入ってたな~。あの人たち全員元引き籠りだからね、それが跳ぶわ走るわ避けるわ。よくぞここまでって成長ぶり。
最終日、胸が熱くなって泣きそうになったもん。人間って変われるもんなんだよ、本当に。
これから受験だけじゃなく色んな困難があるだろうけどさ、彼らなら乗り越えられるって思いました、本当にお疲れさまでした。
合宿内容は聞いてるよね。地獄の様だったって、アイツらそんな事言ってたの?
まぁ、きつかったのは認めるけど、それ俺のせいばかりじゃないからね?
映像研究会の部長、三峯先輩って言うんだけどこの人がまぁ~。
次から次へとアイディア出すもんだからつい。しかもたちが悪いのが、ギリギリ行けそうなものばかり提案するんだもん。それはやっちゃうでしょう。
お陰で実力かなり上がったんじゃない?年末の第二回逃走王、期待していいと思うよ。
他は離島にキャンプしに行ってきました。
このお土産はそこのね。
猿山での一人サバイバルツアー、参加者合計五人、いつもの滝行メンバーでした。
上からの無茶振りって言ってたから、なんか新しいツアー企画の試作ツアーだったのかもね。
まともに付き合ってられないんでかなりずるしましたけど。
だって水も食料も無しに離島の山の中で五日間過ごせだよ?絶対腹壊すか怪我するっての。考え出した上司頭おかしいから。
条件が”すべて現地で調達せよ”って内容だったから、宿のおばちゃんに頼んで用意して貰ったんだよね♪
離島と言ってもフェリーが来てるし、スーパーマーケットでほぼ何でもそろうしね。
現地には違いないじゃん、現地には。
凄い快適に過ごせました、ゆるキャンでした。
その時山のお猿さんたちと仲良くなって、一緒に釣りしたり、焚火囲んで宴会したり、山で鬼ごっこしたりして遊んだの。
言ってる意味が分からない?
あぁ、その離島、子忘れ島って言うんだけど、なんでも猿に関する伝説がある島で現在の猿はその子孫なんだって。宿のおばちゃんが言ってたけど、めちゃくちゃ頭が良くて島民は山では絶対悪さはしないんだってさ。
こっちが礼をもって接する分にはとても友好的なんだけど、調子に乗って悪さすると地獄を見るらしい。毎年釣り客や観光客の何人かはこの話を馬鹿にしてひどい目にあうんだって。そのほとんどが暫く姿を消したのち、猿ヶ見神社の洞くつで発見されるんだって。
今回も発見者があったんだけど凄かったらしいよ、過去最多の五十八名。しかも誰もこの人たちのこと知らなかったんだって、島中大騒ぎになってた。すぐに本土の病院へ搬送されたから俺は見てないんだけどね。
何してたのかって?お猿軍団と遊んでた。
そうそう一緒に山に入った参加者、完全な中二病患者だった。いくらサバイバル生活するからって、塹壕掘ったりツリーハウス作ってやり構えてるとは思わんじゃん?滝行のおっちゃんに全力やり投球された時は死ぬかと思ったもん。
大人って森に入ると野生に戻るって言うけど、本当だったわ。
そう言えばこっち帰ってきて島の事が騒ぎになってると思ったらまったく取り上げられてなくって、逆にビックリした。ワイドショーじゃ大物政治家の引退やら財界の黒幕がどうとか美魔女女優の突然の失踪とか連日大騒ぎなんだけど、何があったん?
「あぁ、何でも各地でテロ事件が頻発してるとかで警察や軍隊が出動する騒ぎが起きてるらしいよ。僕も詳しく知らないけど、お父さんとお母さん方がその関係で暫く帰れないって騒いでいたし。」
なにそれ、大騒ぎなんてもんじゃないじゃん。この国っていつからそんなヤバい国になってたの?テロ騒ぎって超恐いんですけど。
如月さん何か知ってる?
「はい、私の耳にした情報ですと、被害関係者は黒い何かに襲われたとか恐怖が衣を纏っていたとか支離滅裂な事を叫んでいて、状況がはっきり分からないとの事です。
ただ・・・。」
ただ?どうしたの?
「ただ、一部ですが上空から黒い羽根が舞い散ったとの情報が…。」
「黒き羽根・・・・」
どうしたの二人とも、なんか急に黙っちゃって。えっ、何、俺なんか疑われてる?
あり得ないから、物理的に無理だから、俺離島にいたから。
「「・・・・・・」」
だから俺は関係ないって、やめてよそんな顔するの、本当に無関係だから。
無言で立ち上がる康太君、その手にそっと張り扇を渡す如月さん。
君たちチョッと待とう、冷静に考えれば分かる、その行動はおかしい。
ゆっくり振りかぶる康太君。
待て待て待て、本当に待てって、おかしいから、ちょっと~、
俺は無実だ~~~~~~~!!
扇風機の前に陣取り、プラスチックのカップに入ったかき氷と格闘中の康太君。
後ろに控える如月さんもオデコに飲むアイスを当てて冷却中。
暑さ寒さも彼岸まで、まだしばらく猛暑だな、これは。
はいこれお土産、今回は大したもの無くってごめんね。場所が場所だったんで、お土産らしいものって余りなくって。
「あぁ、どうもありがとう。これ干物?お母さんが喜ぶよ、ウチの母親たち魚系大好きだから。あとこのヒョウタンは何?」
それ?お猿さんから貰ったジュース。マイマザー曰く、”最高級品だからご両親に渡す様に”だそうです。康太君は大人になるまで我慢することだってさ。
美味しいのにね、その辺は康太君ちで話し合って決めて。
”えっ、それって幻のあれじゃ、でもそれってただの俗説で実際は隠語だって聞くし…”って何か小難しい事を呟く康太君。流石は師匠、私にはちんぷんかんぷんでございます。
「それで親友、今回はどんな悪さしてきた、僕に聞かせてくれない?」
毎回思うけど、言い方。
まあ話すけど、そんなに大層な話じゃないんだけどな~。
合宿の話は聞いてる?木村君たちに聞いたんだ、なかなか充実した合宿だったよ。
三年生はこれで引退だし、気合入ってたな~。あの人たち全員元引き籠りだからね、それが跳ぶわ走るわ避けるわ。よくぞここまでって成長ぶり。
最終日、胸が熱くなって泣きそうになったもん。人間って変われるもんなんだよ、本当に。
これから受験だけじゃなく色んな困難があるだろうけどさ、彼らなら乗り越えられるって思いました、本当にお疲れさまでした。
合宿内容は聞いてるよね。地獄の様だったって、アイツらそんな事言ってたの?
まぁ、きつかったのは認めるけど、それ俺のせいばかりじゃないからね?
映像研究会の部長、三峯先輩って言うんだけどこの人がまぁ~。
次から次へとアイディア出すもんだからつい。しかもたちが悪いのが、ギリギリ行けそうなものばかり提案するんだもん。それはやっちゃうでしょう。
お陰で実力かなり上がったんじゃない?年末の第二回逃走王、期待していいと思うよ。
他は離島にキャンプしに行ってきました。
このお土産はそこのね。
猿山での一人サバイバルツアー、参加者合計五人、いつもの滝行メンバーでした。
上からの無茶振りって言ってたから、なんか新しいツアー企画の試作ツアーだったのかもね。
まともに付き合ってられないんでかなりずるしましたけど。
だって水も食料も無しに離島の山の中で五日間過ごせだよ?絶対腹壊すか怪我するっての。考え出した上司頭おかしいから。
条件が”すべて現地で調達せよ”って内容だったから、宿のおばちゃんに頼んで用意して貰ったんだよね♪
離島と言ってもフェリーが来てるし、スーパーマーケットでほぼ何でもそろうしね。
現地には違いないじゃん、現地には。
凄い快適に過ごせました、ゆるキャンでした。
その時山のお猿さんたちと仲良くなって、一緒に釣りしたり、焚火囲んで宴会したり、山で鬼ごっこしたりして遊んだの。
言ってる意味が分からない?
あぁ、その離島、子忘れ島って言うんだけど、なんでも猿に関する伝説がある島で現在の猿はその子孫なんだって。宿のおばちゃんが言ってたけど、めちゃくちゃ頭が良くて島民は山では絶対悪さはしないんだってさ。
こっちが礼をもって接する分にはとても友好的なんだけど、調子に乗って悪さすると地獄を見るらしい。毎年釣り客や観光客の何人かはこの話を馬鹿にしてひどい目にあうんだって。そのほとんどが暫く姿を消したのち、猿ヶ見神社の洞くつで発見されるんだって。
今回も発見者があったんだけど凄かったらしいよ、過去最多の五十八名。しかも誰もこの人たちのこと知らなかったんだって、島中大騒ぎになってた。すぐに本土の病院へ搬送されたから俺は見てないんだけどね。
何してたのかって?お猿軍団と遊んでた。
そうそう一緒に山に入った参加者、完全な中二病患者だった。いくらサバイバル生活するからって、塹壕掘ったりツリーハウス作ってやり構えてるとは思わんじゃん?滝行のおっちゃんに全力やり投球された時は死ぬかと思ったもん。
大人って森に入ると野生に戻るって言うけど、本当だったわ。
そう言えばこっち帰ってきて島の事が騒ぎになってると思ったらまったく取り上げられてなくって、逆にビックリした。ワイドショーじゃ大物政治家の引退やら財界の黒幕がどうとか美魔女女優の突然の失踪とか連日大騒ぎなんだけど、何があったん?
「あぁ、何でも各地でテロ事件が頻発してるとかで警察や軍隊が出動する騒ぎが起きてるらしいよ。僕も詳しく知らないけど、お父さんとお母さん方がその関係で暫く帰れないって騒いでいたし。」
なにそれ、大騒ぎなんてもんじゃないじゃん。この国っていつからそんなヤバい国になってたの?テロ騒ぎって超恐いんですけど。
如月さん何か知ってる?
「はい、私の耳にした情報ですと、被害関係者は黒い何かに襲われたとか恐怖が衣を纏っていたとか支離滅裂な事を叫んでいて、状況がはっきり分からないとの事です。
ただ・・・。」
ただ?どうしたの?
「ただ、一部ですが上空から黒い羽根が舞い散ったとの情報が…。」
「黒き羽根・・・・」
どうしたの二人とも、なんか急に黙っちゃって。えっ、何、俺なんか疑われてる?
あり得ないから、物理的に無理だから、俺離島にいたから。
「「・・・・・・」」
だから俺は関係ないって、やめてよそんな顔するの、本当に無関係だから。
無言で立ち上がる康太君、その手にそっと張り扇を渡す如月さん。
君たちチョッと待とう、冷静に考えれば分かる、その行動はおかしい。
ゆっくり振りかぶる康太君。
待て待て待て、本当に待てって、おかしいから、ちょっと~、
俺は無実だ~~~~~~~!!
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