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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー
第194話 今度は海ですか・・・ (6)
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なんだよ、そんなに突つくなよ~。
絵実ちゃんそんなに髪の毛引っ張ったら俺禿げちゃうよ~。
”キキキーッ“
ほへっ、朝?
あれ、お猿さんおはよう~。
え~っと、そうだ俺キャンプしてるんだった。
何、毛繕いしてくれたの?ありがとうね~。
澄んだ空気、モフモフによる毛繕いでのお目覚め。
島でのゆるキャン、最高かよ。
なになに、見せたいものがある?どれどれってなんじゃこりゃ~!!
スイカにイチジク、ぶどうに瓜、トウモロコシって畑から取ってきちゃダメじゃん。
えっ、自分たちで育ててるの?これ全部?こいつら半端ね~。
山芋も掘って来てくれたの、大変だったでしょ。
でもこんなに山ほど持ってきてくれても一人じゃ食べきれないんだけど。
配るか。
水だって困ってるだろうし、向こうもあって困るものでもないでしょう。
そんな訳で配りに行きたいと思います。協力してくれる人、挙手!
”ババババババババババッ“
おぉ、皆さんありがとうございます。でも水の入ったポリタンクって重いのよ?これ十八キロあるんだよ、持てないでしょって軽々持ってるね~。それって君の身体の倍くらい大きさあるんだけど、余裕そうだね~。
”キキキ~ッ♪“
ちょっと待ってね、食料人数分で分けるから。
はいお待たせ~、じゃあみんな出発~。
「「「キキキキ~ッ♪」」」
(side:橘順子)
”ガサガサガサ“
”ビクッ”
”・・・・・・”
行ったか…。
ここは”子忘れ島”。漁業が盛んな、風光明媚な離島。そう思われている。
しかしここには世間一般では知られていない裏の顔がある。
”忘れ去られし封印の島”
遥か昔、付近一帯を恐怖のどん底に叩き落した特級怪異”海の大猿”が封印されし絶対禁忌。組織でも第一級秘匿事項として一部の者にしか明かされていない最重要地区。
そんな場所になぜ私の様な下っ端が…。
理由は分かっている、私は処分されたのだ。
私は親の顔を知らない。母親は私を産むとすぐに本家の養育施設に放り込んだと言う。これはこの業界に古くから根ざす家では割とよくある事だという。男の跡取りが欲しい、そうでないならより能力の高いものが欲しい。
人工授精が確立された現代において、その傾向はより顕著になったと言う。
物心付く頃には、”橘家の部品である自分”と言う存在理由は私にとって当たり前のものになっていた。
この業界では能力の限界値、成長限界等の研究が盛んに行われており、私はそこそこ優秀と言う評価を貰っていた。その為様々な研修会に参加する機会が与えられ、その実力を伸ばしていった。
ただ、その事を気に喰わないと思う人間も存在したと言うだけの話。
能力が低ければ雑用にしてもいい、家から出してしまっても構わない。並程度ならさらに使い勝手が良い、どんどん仕事を任せればいい。
だが優秀過ぎるのは良くない。自分たちの地位を脅かすもの、自分たちに意見が出来る立場に至るもの。
古い家系にとって、出る杭はいらないのだ。
昨晩はろくに眠る事が出来なかった。
全方向から感じる視線、強い拒絶と排斥の気配。
時より蠢く強大な妖気。
それは私をジッと観察するかの様であった。
”見逃された。”
朝になり最初に思ったのは生き残った事への安堵と、おそらく最後までは生き残れないと言う諦念であった。
今回参加した実行部隊は五名。そのうち三名がそれなりに名の知れた熟達の者であった。彼らは巧者であるがゆえに知ってしまった多くの秘密を抱えている。
”彼も処分されたのだろうか”
それは研修会で何度か顔を合わせた事のある青年であった。
初めて会った時は自分と年端の変わらぬ者にずいぶんと驚いたものだった。
能力などほぼ感じる事の出来ない少年、修行についてくるのがやっとの少年。
しかし彼は会うたびに成長していった。相も変わらず能力の欠片も感じる事は出来ないが、その身体能力は目を見張るものであった。
”多分教主様が処分したのだろう”
現在の教主は己の美と周囲の美を殊更気にする御方。
彼の”のっぺり顔”はさぞ気に入らなかったのだろう。
”!?”
多くの気配、私に向かい真っ直ぐ近づいて来る。
懐から護身用の護符を取り出す。気休めだが何もないよりかはマシだ。
”ガサガサガサ“
接敵迄数メートル、緊張が走る。
「おぉ~、いたいた。元気してた~?」
何とも場違いな気の抜ける声、そこにいたのは飄々としたのっぺり顔の青年であった。
絵実ちゃんそんなに髪の毛引っ張ったら俺禿げちゃうよ~。
”キキキーッ“
ほへっ、朝?
あれ、お猿さんおはよう~。
え~っと、そうだ俺キャンプしてるんだった。
何、毛繕いしてくれたの?ありがとうね~。
澄んだ空気、モフモフによる毛繕いでのお目覚め。
島でのゆるキャン、最高かよ。
なになに、見せたいものがある?どれどれってなんじゃこりゃ~!!
スイカにイチジク、ぶどうに瓜、トウモロコシって畑から取ってきちゃダメじゃん。
えっ、自分たちで育ててるの?これ全部?こいつら半端ね~。
山芋も掘って来てくれたの、大変だったでしょ。
でもこんなに山ほど持ってきてくれても一人じゃ食べきれないんだけど。
配るか。
水だって困ってるだろうし、向こうもあって困るものでもないでしょう。
そんな訳で配りに行きたいと思います。協力してくれる人、挙手!
”ババババババババババッ“
おぉ、皆さんありがとうございます。でも水の入ったポリタンクって重いのよ?これ十八キロあるんだよ、持てないでしょって軽々持ってるね~。それって君の身体の倍くらい大きさあるんだけど、余裕そうだね~。
”キキキ~ッ♪“
ちょっと待ってね、食料人数分で分けるから。
はいお待たせ~、じゃあみんな出発~。
「「「キキキキ~ッ♪」」」
(side:橘順子)
”ガサガサガサ“
”ビクッ”
”・・・・・・”
行ったか…。
ここは”子忘れ島”。漁業が盛んな、風光明媚な離島。そう思われている。
しかしここには世間一般では知られていない裏の顔がある。
”忘れ去られし封印の島”
遥か昔、付近一帯を恐怖のどん底に叩き落した特級怪異”海の大猿”が封印されし絶対禁忌。組織でも第一級秘匿事項として一部の者にしか明かされていない最重要地区。
そんな場所になぜ私の様な下っ端が…。
理由は分かっている、私は処分されたのだ。
私は親の顔を知らない。母親は私を産むとすぐに本家の養育施設に放り込んだと言う。これはこの業界に古くから根ざす家では割とよくある事だという。男の跡取りが欲しい、そうでないならより能力の高いものが欲しい。
人工授精が確立された現代において、その傾向はより顕著になったと言う。
物心付く頃には、”橘家の部品である自分”と言う存在理由は私にとって当たり前のものになっていた。
この業界では能力の限界値、成長限界等の研究が盛んに行われており、私はそこそこ優秀と言う評価を貰っていた。その為様々な研修会に参加する機会が与えられ、その実力を伸ばしていった。
ただ、その事を気に喰わないと思う人間も存在したと言うだけの話。
能力が低ければ雑用にしてもいい、家から出してしまっても構わない。並程度ならさらに使い勝手が良い、どんどん仕事を任せればいい。
だが優秀過ぎるのは良くない。自分たちの地位を脅かすもの、自分たちに意見が出来る立場に至るもの。
古い家系にとって、出る杭はいらないのだ。
昨晩はろくに眠る事が出来なかった。
全方向から感じる視線、強い拒絶と排斥の気配。
時より蠢く強大な妖気。
それは私をジッと観察するかの様であった。
”見逃された。”
朝になり最初に思ったのは生き残った事への安堵と、おそらく最後までは生き残れないと言う諦念であった。
今回参加した実行部隊は五名。そのうち三名がそれなりに名の知れた熟達の者であった。彼らは巧者であるがゆえに知ってしまった多くの秘密を抱えている。
”彼も処分されたのだろうか”
それは研修会で何度か顔を合わせた事のある青年であった。
初めて会った時は自分と年端の変わらぬ者にずいぶんと驚いたものだった。
能力などほぼ感じる事の出来ない少年、修行についてくるのがやっとの少年。
しかし彼は会うたびに成長していった。相も変わらず能力の欠片も感じる事は出来ないが、その身体能力は目を見張るものであった。
”多分教主様が処分したのだろう”
現在の教主は己の美と周囲の美を殊更気にする御方。
彼の”のっぺり顔”はさぞ気に入らなかったのだろう。
”!?”
多くの気配、私に向かい真っ直ぐ近づいて来る。
懐から護身用の護符を取り出す。気休めだが何もないよりかはマシだ。
”ガサガサガサ“
接敵迄数メートル、緊張が走る。
「おぉ~、いたいた。元気してた~?」
何とも場違いな気の抜ける声、そこにいたのは飄々としたのっぺり顔の青年であった。
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