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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第168話 暗躍する者たち (side:高木康太)

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「オッス、高木。こないだ渡された資料だけど、ちゃんと柳沢のお袋さんの目に留まったらしいぞ。」

僕がいつもの様に部室で午後のコーヒーを飲んでいると、横田先輩が入ってきた。
ココもすっかり”桜泉学園のはみ出しっ子”の溜まり場になって来たな~。

「あ、横田先輩。なんか変な事頼んじゃって、申し訳ありません。」

「いや、良いって良いって。お前たちには散々世話になってるからな、少しは借りを返せると思えばこれくらいどうって事ないっての。
それよりお前の言ってた話、ヤバすぎないか?
柳沢のお袋さん、市議会でも騒ぎになってた問題の根っこがこんな所にあったって知って、青ざめてたらしいぞ。」

僕が先輩経由で市議会議員の柳沢議員に渡したモノ、それはこの十年の離婚件数の推移とその分布図。そして離婚時に提出された離婚事由の調査書である。
親友の家に引っ越し祝いに行った時に聞かされた不動産屋からの情報は、本当に衝撃的だった。家に帰ってから急いで調べてみたら出るわ出るわ。男性婚姻者向け中古住宅の物件数が他の地域に比べウチの市とその周りだけ極端に多かった。
お父さんにお願いして不動産関係の人に聞いて貰った所、この傾向は五年ほど前から始まったらしい。
物件の分布図を各年毎で比較すると、その動きは明らかに桜町小学校を中心に広がっていた。
親友の言っていたひろし君効果の連鎖は実際に起こっていたと言う訳だ。

市議会では離婚の増加と男性の流出は相当な問題になっていた様で、僕の渡した資料は多方面で分析されたと言う。
冗談みたいな話だがこれが真実、しかもこれって今後全国に波及しそうなんだよね~。

「ちっす、高木先輩いますか~。
あ、先輩どうもっす。先輩からお預かりした資料、ちゃんとママンズに見せておきました。親父を含めみんな青ざめてましたよ~。
いや~、ウチの親のあんな顔見れただけでも先輩に協力した甲斐がありましたって。
いつもすましてるのにすぐに各方面に電話入れて、なんか検討会を開くって言ってましたよ。」

「松前、ありがとうな。コーヒーでよかったよな、ゆっくりしていってくれ。」

「うっす、頂きます。」

一年の松前雄一、親が政治家ぞろいのサラブレット。本人は至ってチャラ男と言う問題児だ。
一学年の中でも浮いた存在だった為、ウチの避難所に誘ったら実はすごい奴だったんでびっくりした。
でも青ざめたか~、「幸福の王子」配役決定戦のDVDはやり過ぎだった感?
あれぐらいの影響力があるってのは歌謡歌合戦の惨劇で分かりそうなもんだけどな~。
桜町小学校の軌跡も見方を変えれば”男子総すかん”ってだけだしね。
これが全国で起きたらどうなるか、僕や親友の手はそこまで広くないからね~。
警告はしたよ、後は頑張ってね、政治家諸君大人たち
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