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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第165話 性教育の授業、再び

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「皆さん、おはようございます。
朝のHRを始めます。
まずお知らせです。本日の五時限目、男子生徒は特別授業が予定されています。授業が始まるまでに二階視聴覚室へと移動してください。
では出席を取ります。」

何々、特別授業ですと、一体なんじゃらほい?みっちゃんくみちゃんなんぞ知ってる?絵実は?他の方々は…。
何故に皆して目を反らす。
木村君どう言う事?

「うむ、女性からは言いづらいやも知れん。恐らく結婚や男性の義務、法律の規定についてを話すのだろう。
どうせ五時限目になればハッキリするのだ、それまでどっしり構えて待つといい。」

流石木村君、肝が据わっていらっしゃる。
ま、お言葉に従う事に致しますか。


ほい、と言う訳で男子揃って視聴覚室へ集合です。
お、ビックジョーお久。最近演劇部に入り浸ってるらしいけど、サッカー部(笑)はいいの?

「む、佐々木か。相変わらず騒がしい奴だな、お前は。少しは滝沢先輩の事を見習ったらどうなんた。
それにこの俺様がサッカー部を辞める訳がないだろうが、俺様はエースだぞ!お前と違って必要とされる人間なんだ、それくらい常識だろうが!」

お、おう。ビックジョーがビックジョーのままで安心したよ。両立は大変だろうけど、頑張ってくれ。

あの感じだと本当に便利に使われてるっぽいな~。演劇部、恐るべし。
ビックジョー、強く生きろよ。(涙)

「はい、皆さん席について下さい。
これより男子生徒を対象とした特別授業を始めます。講師は男性保護観察局の菊池秋子さんです。
菊池さん、よろしくお願いします。」

「只今ご紹介いただきました、男性保護観察局の菊池です。男性保護観察局はご存知の通り男性の保護と社会復帰を目的とした組織ですが、男性保護法の啓蒙にも力を入れております。
男性保護法の骨子は
・女性被害からの男性の保護と支援
・男性の社会進出推進
・人口の維持と女性に対するケア
の三点からなり、国家社会維持の重要な方策とされています。
今日お話しするのは主に三点目の”人口の維持と女性に対するケア”に係わるお話になります。」

正直ぶったまげた。
以前からある程度は予想は付いていたよ?ウチの家庭を含めほとんどの家庭が母子家庭。当然父親なんかはいないし、その出生過程が人工授精によるものは周知の事実。
まぁ、精子バンク的なものはあるんだろうな~とは前世の記憶があれば誰でも解る当然の帰結。
でもさ、十六歳からの精子提供義務って…、ラノベじゃん。
始めの頃は任意で行っていたけど精子業者の乱立と精子の高騰、特定の人物からの精子が値上がりするなどの、選民思想の台頭。女性蔑視の加速と男性引き籠りの増加。
社会情勢が一気に悪化したんだそうです。
まぁ、そうなってもおかしくはないよな~。でも抗議の為の男性集団自殺って…。
精子業者及び周囲の女性の猛アピール⇒引き籠り⇒うつ病⇒自殺
誰も救われない。
連鎖的に多発したこれらの事態に各国政府も介入せざるを得なくなったそうで、わが国では男性保護法の前身となる男性の身分保障と生活を守る法案と言うものが可決され、情勢に合わせた形で男性保護観察局の設置やら男性保護法が制定された経緯があるんだそうです。
そんで、事態の鎮静化を図るためにとられた措置の一つが、”十六歳以上の男性国民は自らの精子を国家に提出する義務を要する。”と言う俗に言う”精子奉公”って奴なんですと。

ふ~ん、まぁラノベを読んでりゃそんなの当然じゃんって思うよね。でも実際直面してみ、精神的ダメージデカいよ?あっちゃこっちゃに知らないうちに我が子がいるのよ?お父ちゃんどうしたらいいの。三十過ぎて声掛けて来た子がもしかしたら我が子かもって、想像もしたくないわ!
まぁ、いくつか抜け道もあるし、近親婚を防ぐためのルールもあるそうなんだけど詳しくはちんぷんかんぷんです。
今頃女子連中はその辺の話を聞いてるんだろうね。

ホンでもう一つ、”女性に対するケア”ってのが有ったじゃない?
これがね~。
”我が国の男性国民は十八歳になるまでに一人以上の女性と婚約を行い、二十八歳になるまでに三人以上の女性と婚姻しなければならない。”
俗に言う”婚姻法”って奴だね…。

勘弁してください。
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