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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー
第111話 康太君の無茶振り (5)
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(side:女性記者)
「おはようございます。"ティーンBoys'"さんも文化祭の取材ですか?」
掛けられた声に振り向くと、見知った顔がそこにはあった。
「あら、"街角男子"さんじゃないですか、おはようございます。いい感じの男の子見つかりました?」
"街角男子"、最近伸び始めた女性向け情報誌。"街で見かけたいい男"をコンセプトに身近にいる男性を取り上げる、働く女性に人気の"男性"情報誌だ。
ウチのコンセプトと被る点もあり、取材先で出会す事も多く、もはや顔見知りだ。
「はい、それはもう。男の子たちが前と全然違うんですよ。以前取材に来たときは、それはもう嫌な顔されたもんなんですけど、今回はちゃんと受け答えしてくれる所か気さくに撮影もさせてくれるんですよ。最初は"ここって本当にあの私立桜泉学園?"って疑っちゃいましたよ。」
笑いながら話す彼女。確かにこの学園の男子生徒は変わった。以前よりもこちらの取材に対し協力的になった。
「ウチはファッションショーの方をメインに特集を組むつもりなんだけど、そちらは行くかしら?そうならご一緒しない?」
「はい、私も今から会場へ行く所だったんです。ぜひ、ご一緒させて頂きます。」
今日はいつも取材させて貰っている皇君たちがモデルとして登場するとの事。あの子たちも始めの頃より随分成長した。近頃は企業ポスターや商品のイメージキャラクターも務める様になったらしい。どんなランウェイを見せるのか楽しみだ。
「いや~、良かったですね、桜泉学園の男の子たち。"Sin"の新作発表モデルをやるって聞いて、どうなる事かと思ってたんですが、全然イケてましたよ。」
会場は多くの人で賑わっていた。
今回のショーを取材に来た報道陣。経済界の大物らしいVIPや生徒保護者。理事会を始めとした学園関係者。
多くの女子生徒たち。
「そうね、あの子たちも以前より外の案件を受ける様になって、磨かれてきた成果じゃないかしら。」
「特に最後の皇君、凄く存在感有りましたよね。これからの桜泉学園は彼が中心で牽引して行くんじゃないですか。」
皇一君、かの皇グループの御曹司。
確かに彼がこれからの学園の中心になるだろう。
私立桜泉学園は変革の時を迎えるのかもしれない。
「でもその割に、学園の女子生徒、保護者共に大人しかったですね。普通、あれほどのショーなら、大騒ぎになってもおかしくないのに。」
「う~ん、何でもこのショーの後学生によるコンサートがあるらしいから、そのファンの子たちなのかも。私もよくは知らないんだけど、かなりの人気らしいわよ。」
「それは我が"街角男子"としては、是非取材させて頂かないとですね。
あ、後半が始まりますよ。コンセプトは"モデルと作品の融合"だそうですよ。」
前半の皇君たちでショーとしては十分な成功だろう。後半はデザイナーの挑戦と言ったところか。
「「えっ?」」
軽快な音楽に合わせてランウェイを進むモデルたち。
スラリとした出で立ち、それでいながら力強い歩み。
学生の文化祭なんかでやる様な甘いモノじゃない、世界の第一線で鎬を削るプロの歩み。
それはまさに"魅せる"。
モデルが服を、服がモデルを。互いが相手の良さをより高め更なる魅力を引き出す、"魅せる"ランウェイ。
「凄い凄い、何ですかこれ、みんながみんな凄く格好いいし、作品がより輝くって、私こんなファッションショー始めて見たんですけど!
海外のショーならって言っても、それって超一流処の奴じゃないですか!何で国内のしかも文化祭で行われるショーで、これ程のランウェイが観れるんですか!!」
まさに圧巻、先ほど迄最高の出来と思えていた皇君たちのショーが、学生の遊戯に見えてしまう圧倒的な迄の表現力の差。
これが"Sin"、私たちは只只その世界観に引き摺り込まれていった。
"カツンッ、カツンッ"
それは突然だった
静寂が訪れた
"カツンッ、カツンッ"
ざわめく群衆、軽快な音楽
そこに存在する筈の一切の音が聞き取れない
"カツンッ、カツンッ"
何かが、圧倒的な何かが、
"ブワサッ"
えっ、天使!?
巨大な黒き翼の堕天使が目の前に…
"カツンッ、カツンッ"
いや、翼なんかない、さっきのは幻覚?
意味が解らない、理解が出来ない、
"カツンッ、カツンッ"
その御方はゆっくりとランウェイを進む
切れ長の瞳 力強い眼差し
纏う"Sin"の新作
その組み合わせはもはや"罪"
一つの完成された芸術
指先の動き、歩みの一つに至るまで
全てを見届けなければ
瞬き一つ出来ない
"カツンッ、タンッ"
「「「"バサッ"」」」
彼の御方がポーズを取られた瞬間
私たちは跪かざるを得なかった
心が
身体が
そうあるべきと訴える
"カツンッ、カツンッ"
彼の御方は満足されたのだろうか
再びランウェイを戻られていった
"漆黒の王"
彼の御方は至宝
彼の御方は深淵
私たちはしばらくその場を動く事が出来なかった。
「おはようございます。"ティーンBoys'"さんも文化祭の取材ですか?」
掛けられた声に振り向くと、見知った顔がそこにはあった。
「あら、"街角男子"さんじゃないですか、おはようございます。いい感じの男の子見つかりました?」
"街角男子"、最近伸び始めた女性向け情報誌。"街で見かけたいい男"をコンセプトに身近にいる男性を取り上げる、働く女性に人気の"男性"情報誌だ。
ウチのコンセプトと被る点もあり、取材先で出会す事も多く、もはや顔見知りだ。
「はい、それはもう。男の子たちが前と全然違うんですよ。以前取材に来たときは、それはもう嫌な顔されたもんなんですけど、今回はちゃんと受け答えしてくれる所か気さくに撮影もさせてくれるんですよ。最初は"ここって本当にあの私立桜泉学園?"って疑っちゃいましたよ。」
笑いながら話す彼女。確かにこの学園の男子生徒は変わった。以前よりもこちらの取材に対し協力的になった。
「ウチはファッションショーの方をメインに特集を組むつもりなんだけど、そちらは行くかしら?そうならご一緒しない?」
「はい、私も今から会場へ行く所だったんです。ぜひ、ご一緒させて頂きます。」
今日はいつも取材させて貰っている皇君たちがモデルとして登場するとの事。あの子たちも始めの頃より随分成長した。近頃は企業ポスターや商品のイメージキャラクターも務める様になったらしい。どんなランウェイを見せるのか楽しみだ。
「いや~、良かったですね、桜泉学園の男の子たち。"Sin"の新作発表モデルをやるって聞いて、どうなる事かと思ってたんですが、全然イケてましたよ。」
会場は多くの人で賑わっていた。
今回のショーを取材に来た報道陣。経済界の大物らしいVIPや生徒保護者。理事会を始めとした学園関係者。
多くの女子生徒たち。
「そうね、あの子たちも以前より外の案件を受ける様になって、磨かれてきた成果じゃないかしら。」
「特に最後の皇君、凄く存在感有りましたよね。これからの桜泉学園は彼が中心で牽引して行くんじゃないですか。」
皇一君、かの皇グループの御曹司。
確かに彼がこれからの学園の中心になるだろう。
私立桜泉学園は変革の時を迎えるのかもしれない。
「でもその割に、学園の女子生徒、保護者共に大人しかったですね。普通、あれほどのショーなら、大騒ぎになってもおかしくないのに。」
「う~ん、何でもこのショーの後学生によるコンサートがあるらしいから、そのファンの子たちなのかも。私もよくは知らないんだけど、かなりの人気らしいわよ。」
「それは我が"街角男子"としては、是非取材させて頂かないとですね。
あ、後半が始まりますよ。コンセプトは"モデルと作品の融合"だそうですよ。」
前半の皇君たちでショーとしては十分な成功だろう。後半はデザイナーの挑戦と言ったところか。
「「えっ?」」
軽快な音楽に合わせてランウェイを進むモデルたち。
スラリとした出で立ち、それでいながら力強い歩み。
学生の文化祭なんかでやる様な甘いモノじゃない、世界の第一線で鎬を削るプロの歩み。
それはまさに"魅せる"。
モデルが服を、服がモデルを。互いが相手の良さをより高め更なる魅力を引き出す、"魅せる"ランウェイ。
「凄い凄い、何ですかこれ、みんながみんな凄く格好いいし、作品がより輝くって、私こんなファッションショー始めて見たんですけど!
海外のショーならって言っても、それって超一流処の奴じゃないですか!何で国内のしかも文化祭で行われるショーで、これ程のランウェイが観れるんですか!!」
まさに圧巻、先ほど迄最高の出来と思えていた皇君たちのショーが、学生の遊戯に見えてしまう圧倒的な迄の表現力の差。
これが"Sin"、私たちは只只その世界観に引き摺り込まれていった。
"カツンッ、カツンッ"
それは突然だった
静寂が訪れた
"カツンッ、カツンッ"
ざわめく群衆、軽快な音楽
そこに存在する筈の一切の音が聞き取れない
"カツンッ、カツンッ"
何かが、圧倒的な何かが、
"ブワサッ"
えっ、天使!?
巨大な黒き翼の堕天使が目の前に…
"カツンッ、カツンッ"
いや、翼なんかない、さっきのは幻覚?
意味が解らない、理解が出来ない、
"カツンッ、カツンッ"
その御方はゆっくりとランウェイを進む
切れ長の瞳 力強い眼差し
纏う"Sin"の新作
その組み合わせはもはや"罪"
一つの完成された芸術
指先の動き、歩みの一つに至るまで
全てを見届けなければ
瞬き一つ出来ない
"カツンッ、タンッ"
「「「"バサッ"」」」
彼の御方がポーズを取られた瞬間
私たちは跪かざるを得なかった
心が
身体が
そうあるべきと訴える
"カツンッ、カツンッ"
彼の御方は満足されたのだろうか
再びランウェイを戻られていった
"漆黒の王"
彼の御方は至宝
彼の御方は深淵
私たちはしばらくその場を動く事が出来なかった。
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