上 下
97 / 525
第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第97話 夏だ、海だ、合宿だ! (4)(side:野口絵実)

しおりを挟む
「今日の夕食も美味しかったな~。」
合宿なんて初めてだからどうなる事かと思ったけど、ご飯は美味しいし、みんなは優しいし、もう最高。
さっきのアジの開きなんか大きくて身がぷりっぷりなんだもん、食べ過ぎちゃったよ~。

でも石川先輩と映像研究会の部長さんがね~。分からないもんだわ、まさかと思ったもん。
斉藤部長って言ったかな、凄い自慢気だったし本当の事なんだろうな~。

「絵実ちゃん、ヤッホー♪」
「あ、みっちゃんとくみちゃん、今からお風呂?」
「そうなのよ~。絵実ちゃんも一緒に行かない?」
「行く行く、タオル取って来るから待ってて。」
あの二人も本当に良くしてくれるんだよね。小学校の時の事があって警戒してたんだけど、全く嫌な所がなくって。
それに映像研究会の人たちもみんな優しいし、思いきってみんなに私の顔の事話したんだけど、全然態度変わらなかったんだよね。
この学校に来て本当に良かった。
これもみんな佐々木アイツのお陰なんだよね。
ママに鼻の下伸ばす変態だけど、少しは見直してあげてもいいかな。

「お待たせ~。早く行こう♪」
「全然だよ♪これからゴールデンタイムだから急がないとね。
あ、詳しくは脱衣所でね。」
「う、うん。分かった。」

"シュルシュルッパサッ"
「それでね、佐々木君たち桜町小学校出身の男子っているじゃない?」
「う、うん。」

"カラカラカラッ"
「彼らって"桜町っ子"って呼ばれてるのよ。」
"ザバーッ"
「くみちゃん、シャンプー取って~。」
「はい、これ。」
「ありがとう。」
"カシャカシャワシャワシャ"
桜町っ子彼らって上級生の人たちもそうなんだけど、自由奔放って言うか警戒心が薄いって言うか、とにかく隙が多いのよ。」
"ザバーッ"
「そんな桜町っ子彼らが温泉旅館に泊ったらどうすると思う?」
"カラカラカラッ"

えっ、何でみんな露天風呂に集まってるのよ。
「ゴールデンタイムの始まりです♪」

えっ、どう言う事?
男子って露天風呂なんか嫌がるんじゃないの?
今じゃ誰も入らないから閉鎖してる所もあるって聞いてるんだけど?
映像研究会の人たち壁に風呂桶当てて其処に耳くっ付けてって何やってんのよ!
あ、でも西城さんがお風呂から目を光らせてる。覗き防止はしてるし、あれくらいは見逃してるのかな?

"なんだお前ら、部屋にいないと思ったら、先に来てたんかよ~。"
"おう、佐々木。遅かったじゃん。俺らもう出る所だぞ~。"
"んだよ。そんじゃ、露天風呂一人占めさせていただきますか♪"
"お先~。"
"おう、後で部屋に行くわ。"

えっ、何で?
本当に男子が露天風呂にいるの?
って言うか、佐々木入ってるの?
何かドキドキして来たんだけど。
一人で鼻歌謳ってるし~!?

”なんだ佐々木、こっち入ってたのか。”
”あ、洋一君に英雄っち、お疲れっす。”
わぁ、石川先輩に木村君も入って来た。
桜町っ子って本当に露天風呂とか気にしないんだ。

”洋一君、やけに詳しいじゃない。趣味が温泉巡りとかだったりするのかな?”
”いや、斉藤がそう言う事が好きでな、色々教えてもらったんだ。”
”斉藤って映像研究会の部長さんじゃないですか~、嫌だな~、そこんところ詳しく教えてくださいよ。”
えっ、生男子のコイバナ?嘘、そんなの本当に聞いちゃっていいの?周りが静まり返ってるんですけど!壁女子が増えてるんですけど!?

”なんだお前、急に真面目な顔をして。お前が考えてるような関係じゃないっての。ちょっと話をしたりたまに買い物に行ったりって、まあ、それくらいの関係だっての。”
斉藤部長、無茶苦茶どや顔!思いっきり胸張ってるし!
と言うかこの人胸デカくない?
スタイル凄い良いんだけど、髪の毛上げるとかなり美人なんだけど!?

”おやおや、少々逆上のぼせてしまいましたかな、暑い暑い。”
”お前ふざけるなよ、って木村もさっきから関係ないって顔しやがって、お前は西城さんとどうなってるんだよ。”
今度は木村君!?
西城さん、思いっきりビクッってしたんですけど。

”ふん、何を言っている。俺と西城の関係は俺と西城の関係だ。それ以上でもそれ以下でもない。”
”だからそうじゃなくて、そうだな、恋人とか将来のパートナーだとかそう言った話でな。”
”あぁ、そういった話か。西城なら妻として申し分ないと思っている。まだ俺の方が彼女にふさわしいとは思えんがな。”
西城さん硬直しちゃってるんですけど!なんか全身真っ赤なんですけど!
これってお風呂から上げてあげないと倒れちゃわない?

「だそうですよ、西城さ~ん!!」
!!
”ガシャン!ガタガタガタッ”
佐々木、気付いてた!
壁女子一斉に逃げていくし、西城さん仰向けに倒れこんじゃうし!
あ、みっちゃんとくみちゃんが脱衣所に連れてった、良く冷やしてあげて~。

”おいなんだ、女子風呂から凄い音がしなかったか?”
”誰か転んだんじゃないですか?風呂桶の音みたいでしたし、西城さんがいるだろうし大丈夫だと思いますよ。”
佐々木~、ナイスフォロー!
でも肝心の西城さん、ノックダウンしちゃってますよ~!

”で、そういうお前はどうなんだ佐々木、月子姉さんも気にしてる様子何だが?”
”なんだ貴様、こっちの事色々言っといて自分は友人の姉に手を出してるだと!
吐け、全部吐け!!”
えっ、どう言う事?佐々木ってば実はモテたりするって事?
ウチのママに鼻の下伸ばしてる佐々木だよ、のっぺりだよ?
え、なんか嫌なんだけど。

”いや、月子さんはそんなんじゃないですよ。埴輪とかそういうのが好きで、ほら、俺ってのっぺり顔でしょ?それで気に入られてるって言うか?そんな感じですって。それに月子さん英雄ちゃん大好きっ子ですし~。”
”いや、俺はそれだけじゃないと思うがな。ま、後は本人たち次第だが。”
なに、佐々木ってば”月子さん”って下の名前で呼んでんのよ、私なんて未だに”野口さん”呼びじゃない!

「絵実ちゃん、私たち西城さん部屋に運ぶから先に上がるね。」
「う、うん。私も今行く。」

その晩はなんかモヤモヤした気分でよく眠れなかった。


「おはよう、絵実ちゃん。なんかすごい顔してるけど大丈夫?」
「う、うん。ちょっと夕べよく眠れなくって。全然平気だよ。」
「そう?あまり無理しないでね。ご飯行こ♪」

二人とも元気だな~。私なんて寝不足で…

「おはよう、野口さん。なんか顔色悪いけど大丈夫?ちゃんと寝れた?」
!!
佐々木、何でこのタイミングで現れるのよ!
心の準備が…

「顔赤くなってるよ、熱でもある?」
”ピトッ”
!!
「うん、オデコもそんなに熱くなってないし大丈夫かな?今日はみんな海で遊ぶから、無理だけはしないでね。先に朝飯行くね♪」

佐々木アイツ私のオデコに”ピトッ”って…。
え、これってドラマかなんか?
映像研究会撮影してるとか?

あ~~~~、佐々木~~~~~~!!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

腐女子転生 ~異世界で美少年になりました~

木兎ゆう
ファンタジー
 こんにちは、腐女子です。異世界転生して美少年になりました。  そう、自分で言うのもナンだが、かなりの美少年だ。銀の髪に青い瞳で、お肌も白くてつるつるだ。  ……と言いながら、実はもうすぐ十一歳になる今もまだちょっと半信半疑ではある。何故なら神様らしきものにも会ってないし、チート能力も授かっていない。ちなみに死因は病死だ……。 ★転生前の腐女子の様子は、公開中のBL小説『猫の王様の、なんでもない話』にある「腐女子とリアルでファンタジーな話」でチェック! こちらは腐女子視点によるライトなBLです。完全独立の短編なので、これだけ読んでも楽しめます! *今後も公開日程が決まり次第お知らせするので、どうぞよろしくお願いします。

ふざけんな!と最後まで読まずに投げ捨てた小説の世界に転生してしまった〜旦那様、あなたは私の夫ではありません

詩海猫
ファンタジー
こちらはリハビリ兼ねた思いつき短編の予定&完結まで書いてから投稿予定でしたがコ⚪︎ナで書ききれませんでした。 苦手なのですが出来るだけ端折って(?)早々に決着というか完結の予定です。 ヒロ回だけだと煮詰まってしまう事もあるので、気軽に突っ込みつつ楽しんでいただけたら嬉しいですm(_ _)m *・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・* 顔をあげると、目の前にラピスラズリの髪の色と瞳をした白人男性がいた。 周囲を見まわせばここは教会のようで、大勢の人間がこちらに注目している。 見たくなかったけど自分の手にはブーケがあるし、着ているものはウエディングドレスっぽい。 脳内??が多過ぎて固まって動かない私に美形が語りかける。 「マリーローズ?」 そう呼ばれた途端、一気に脳内に情報が拡散した。 目の前の男は王女の護衛騎士、基本既婚者でまとめられている護衛騎士に、なぜ彼が入っていたかと言うと以前王女が誘拐された時、救出したのが彼だったから。 だが、外国の王族との縁談の話が上がった時に独身のしかも若い騎士がついているのはまずいと言う話になり、王命で婚約者となったのが伯爵家のマリーローズである___思い出した。 日本で私は社畜だった。 暗黒な日々の中、私の唯一の楽しみだったのは、ロマンス小説。 あらかた読み尽くしたところで、友達から勧められたのがこの『ロゼの幸福』。 「ふざけんな___!!!」 と最後まで読むことなく投げ出した、私が前世の人生最後に読んだ小説の中に、私は転生してしまった。

ようこそ、ここは君が主人公の世界です

かかし
BL
―――俺はよくある異世界転移者だ。 とはいえ別にトラックに轢かれたとかじゃないし、すっごいチートを持ってる訳じゃない。 誰かの転移に巻き込まれた訳じゃないし、異世界転移した先にあったのは煌びやかな王宮でもなかった。 じゃあ真っ暗な森の中で、魔獣に襲われそうになったのかと言われるとそうでもない。 (本編抜粋) ※差別的な表現があります。ご注意ください。 どこにでもあるような、異世界転移の物語に巻き込まれた主人公(モブ)の話。 主人公は自分じゃないということだけを明確に感じながら、 それによって拗れたり卑屈になったりしながらも本人なりに懸命に生きていく話。 はたして【主人公】は誰なのか。 ………に、なれば良いなぁと思いながら書きました。 ん?これどっかで見たことあるかもしれないをテーマに書きました。 既視感が多数あるやもしれませんが、これだけは言えます。 パクリとかは、絶対にしてないです。 エールやブクマ、本当にありがとうございます! 毎日のモチベーションにしております!! 完結保証、毎日8:00に更新されます!

私とお母さんとお好み焼き

white love it
経済・企業
義理の母と二人暮らしの垣谷操。貧しいと思っていたが、義母、京子の経営手腕はなかなかのものだった。 シングルマザーの織りなす経営方法とは?

婚約も結婚も計画的に。

cyaru
恋愛
長年の婚約者だったルカシュとの関係が学園に入学してからおかしくなった。 忙しい、時間がないと学園に入って5年間はゆっくりと時間を取ることも出来なくなっていた。 原因はスピカという一人の女学生。 少し早めに貰った誕生日のプレゼントの髪留めのお礼を言おうと思ったのだが…。 「あ、もういい。無理だわ」 ベルルカ伯爵家のエステル17歳は空から落ちてきた鳩の糞に気持ちが切り替わった。 ついでに運命も切り替わった‥‥はずなのだが…。 ルカシュは婚約破棄になると知るや「アレは言葉のあやだ」「心を入れ替える」「愛しているのはエステルだけだ」と言い出し、「会ってくれるまで通い続ける」と屋敷にやって来る。 「こんなに足繁く来られるのにこの5年はなんだったの?!」エステルはルカシュの行動に更にキレる。 もうルカシュには気持ちもなく、どちらかと居言えば気持ち悪いとすら思うようになったエステルは父親に新しい婚約者を選んでくれと急かすがなかなか話が進まない。 そんな中「うちの息子、どうでしょう?」と声がかかった。 ルカシュと早く離れたいエステルはその話に飛びついた。 しかし…学園を退学してまで婚約した男性は隣国でも問題視されている自己肯定感が地を這う引き籠り侯爵子息だった。 ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★8月22日投稿開始、完結は8月25日です。初日2話、2日目以降2時間おき公開(10:10~) ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

悪役令息の従者に転職しました

  *  
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました! スパダリ(本人の希望)な従者と、ちっちゃくて可愛い悪役令息の、溺愛無双なお話です。 ハードな境遇も利用して元気にほのぼのコメディです! たぶん!(笑)

「自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-」

mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
 ネットでみつけた『異世界に行ったかもしれないスレ』に書いてあった『異世界に転生する方法』をやってみたら本当に異世界に転生された。  チート能力で豊富な魔力を持っていた俺だったが、目立つのが嫌だったので周囲となんら変わらないよう生活していたが「目立ち過ぎだ!」とか「加減という言葉の意味をもっと勉強して!」と周囲からはなぜか自重を求められた。  なんだよ? それじゃあまるで、俺が自重をどっかに捨ててきたみたいじゃないか!  こうして俺の理不尽で前途多難?な異世界生活が始まりました。  ※注:すべてわかった上で自重してません。

愛されていないはずの婚約者に「貴方に愛されることなど望んでいませんわ」と申し上げたら溺愛されました

海咲雪
恋愛
「セレア、もう一度言う。私はセレアを愛している」 「どうやら、私の愛は伝わっていなかったらしい。これからは思う存分セレアを愛でることにしよう」 「他の男を愛することは婚約者の私が一切認めない。君が愛を注いでいいのも愛を注がれていいのも私だけだ」 貴方が愛しているのはあの男爵令嬢でしょう・・・? 何故、私を愛するふりをするのですか? [登場人物] セレア・シャルロット・・・伯爵令嬢。ノア・ヴィアーズの婚約者。ノアのことを建前ではなく本当に愛している。  × ノア・ヴィアーズ・・・王族。セレア・シャルロットの婚約者。 リア・セルナード・・・男爵令嬢。ノア・ヴィアーズと恋仲であると噂が立っている。 アレン・シールベルト・・・伯爵家の一人息子。セレアとは幼い頃から仲が良い友達。実はセレアのことを・・・?

処理中です...