男女比世界は大変らしい。（ただしイケメンに限る）

第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第91話 hiroshi様、始動 （２）

事の起こりは職員のちょっとしたミスかららしい。
以前こちらで作成した不登校生徒対策の『歌：ひろし君「君と二人で」ミュージックビデオ＆ミニドラマＤＶＤ』。
一応桜泉学園側にも、”こんな感じで作りました”って報告がてら提出しておりました。
今現在の彼の所属は私立桜泉学園であり、マネジメントを行ってるのも同校なので、これは必要な処置ですね。
んでこのＤＶＤ、職員がこっそりコピ－して楽しんでいたらしい。
これだけでもかなりの問題なんだが、これが周りにバレるというね、もうどうしたらいいんだか。
ウチの中学はどうかって？
意外や意外、しっかり内内で留まってます。
石川生徒会長が全校集会の時に頭を下げてお願いしたら、女子たちみんな言う事聞いてくれました。
最近の洋一君、凄い人気なの。”推しはひろし様だけど愛でるなら石川生徒会長”って生徒が激増。本人超焦ってます（笑）

「それで校内からひろし様の歌が聞きたい、ＣＤ化して欲しいという声が広がって、もう止められそうにないの。」

ほうほう、コンサートでもするの？文化祭なんかでやればいいんじゃない？
それで何でうちに来てんの？

「あぁ、ここからは僕が話すよ。ウチの学校、以前から各業界に男子生徒の派遣的なことをしてるんだ。講演会やらモデルやらね。その絡みで芸能関係にも伝手があるらしい。今回そちら方面に話が流れてね、ひろし君にＣＤデビューしないかと言う話が来ているんだ、無論”君と二人で”で。」

はぁ？何言ってんの？あれって小学生が作った曲よ、素人作品よ？
そんなんでＣＤデビュー？頭おかしいんじゃないの。

「そうだよな、そう思うよな。それにこの前話したけど、僕は”この一年ひろし君を全国に晒すな”って約束させたんだ。それをわずか二か月やそこらで！」

ギリッっと擬音が付きそうな勢いで吉川さんを睨む康太君。めっちゃ怒ってますやん、超怖い。

「どうどう、まあ、落ち着けって。んで康太君的にはどう考えてるの？」

「学園中がこの話題で持ちきりになってる現状、ＣＤデビューの流れは止められそうもない。最低限本人の露出だけでも抑えられれば、最小限の被害で抑えられると思う。これで完全デビューなんてなった日にはもう学園じゃ抑えきれなくなる。芸能事務所にでもぶち込んで、名前だけの生徒になってもらうしかないな。それでも相当学園は荒れるが、もう知った事か！」

まあ、そうだよね～。
本当に何やってるんだか。
それはいいとして、この曲、竹田先生もアレンジで参加してるんだけど、その辺どうするのよ？

「そこは私が。竹田様には事前にお伺いして許可は貰っております。面白そうだからあとは佐々木君の判断に任せるとの事です。」

おう、流石竹田救護司令官、判断が早い。
ま、俺としても過去の曲だし、そんなに拘りはないかな。
別にいいんじゃない？お好きにどうぞって所なんだけど。

「それでですね、誠に恐縮なんですが例のＤＶＤ映像を相手様が大変気に入りまして、ぜひこれを使わせて欲しいとの要望が。それともう一曲この歌の作曲家に作って欲しいとの事なんですが…。」

はぁ？
もう一曲作れと？

加藤校長を見る。頭を抱えている。
佐藤先生を見る。目を回している。
康太君を見る。マジ切れしている。

何なのこのカオス。