71 / 525
第二章 中二病には罹りません ー中学校ー
第71話 進撃のひろし様 (side:高木康太)
しおりを挟む
人類には決して届かぬ遥か遠くの頂と言うものがある
嵐の中の小舟の様に
火山噴火を見つめる動物の様に
自然災害に巻き込まれどう仕様もない小さな自分を感じた時
人間は初めて自然の大きさを知るのだ
自らの身の丈を知ったときどう振る舞うのか
人の真価とは裸の自分になって初めて発揮されるのではないだろうか
人類よ常に考えろ
弱い私たちに出来るのは
ただそれだけだから
〔「マケドニア建国記 -宰相グロリアの日記-」翻訳 平田恵子〕
(side:高木康太)
私立桜泉学園入学三日目。目の前には小学校の頃見慣れたいつもの光景が広がっています。
「あなた達いいですか、ひろし様にお近づきになりたい想いはすべての女性にとっての共通概念。それをとやかく言うつもりはありません。だからと言って私たちの一方的な想いで、ひろし様を不快にさせては本末転倒。私たちはひろし様に快適に過ごして欲しいのであって、決して彼にご負担を掛けたい訳ではないのです。
ひろし様は寛大です。彼を一目見ようと近づいてしまう愚かな私たちにも、優しく微笑んでくださいます。ですが勘違いしてはいけません。彼に甘え過ぎてはいけないのです。私たち「ひろし様を見守る会」は、世の女性にひろし様を愛でる喜びとマナーを広めなければなりません。”暴走しない・させない”をスローガンに今日も一日頑張りましょう!」
「「「「はい!」」」」
いや訂正、バージョンアップしていた。
以前に増して統制の取れた集団になってるし。
親友がよくひろし君大好き女子を”信者”って揶揄していたけど、彼の見識は間違っていなかった様です。
それにしてもひろし君の影響力って凄い、わずか数日で学園の在り方を変えつつあるんだから。
”ひろし様の衝撃は入学式から酷かったな~。”
僕はため息交じりに窓の外の空を眺めました。
私立桜泉学園の入学式では、新入学男子生徒の一人一人が壇上に上がり紹介される。その光景はネットでライブ配信され、外部協力生、通称”ファンクラブ会員”に届けられる。新入学女子生徒及びファンクラブ会員には一人一票の投票権が与えられ、紹介された男子生徒に投票する事が出来る。
この時点で僕ら男子生徒のクラス分けはまだ決まってはいない。
この投票結果により上位からA~Dクラスに振り分けられる。
人数割合は5:4:4:3。
女子生徒は年四回のテストの際、テストの結果及び各評価によりクラスの再編が行われる。成績上位者はAクラス、下位者はDクラス。
男子もまた油断はできない。彼らは学年が上がった際、体育祭、文化祭の年三回投票が行われ、上位から振り分けなおされるのだ。
”文句があるなら行動で示せ“
以前、尾崎秀悟生徒会長が言っていた言葉は、この学校の本質を表していたのだろう。
新入学男子生徒に対する投票は、スマホアプリで行われリアルタイムで集計される。また、投票のやり直しも出来る為、体育館のモニターにはまだ結果は映し出されてはいない。各スマホには投票結果の推移が表示されているので、桜泉学園専用サイトの実況掲示板は相当盛り上がりを見せるのだと、マネジメント部の吉川さんが教えてくれた。
「次の方、準備お願いします。」
「はい。」
準備と言われても壇上に上がり自己紹介と簡単な自己PRをするだけ。
桜泉学園にスカウトされるほどの男子は注目される事に慣れているのだろう、皆当然の様に済ませ僕を注視している。
何かこちらを値踏みするようなあの目、すごいムカつく。
「初めまして。僕は桜町小学校から来ました、高木康太と言います。この私立桜泉学園に入学できたこと、心から嬉しく思います。至らぬ所も有りますが、なにとぞよろしくお願いします。」(軽く微笑みからの会釈)
まあ無難にこんなものだろう。
手前の女子生徒もひそひそ話ながらスマホをいじっているし、悪い印象ではなかったと思うが。
ん?何か男子生徒からの圧が上がった様な。
当たり前の挨拶をしただけだぞ?意味が解らない。
ラストはひろし様か。まあ吉川さんにはしつこい程言いくるめておいたし、この順番が正解だろう。
「あの! 僕こんなに注目されるの慣れて無くって、その、上手く挨拶出来なくってごめんなさい!!
その、僕、ひろしって言います!
みんなと仲良くなれたら嬉しいです!」(お日様の様な満面の笑み)
”バタッ、バダバタバタドサバサドサッ“
うゎ~~~、そうなるよね~。(遠い目)
新入生は全滅か~。
在校生も生き残りは残り四割くらい、それも全員胸抑えて悶えちゃってるし。
ひろし様、年下キャラ全開でぶつけて来たか~。
あれ本気でトップ狙って来てるよな。
親友の解説付きで眺めていたから、僕も結構解るようになって来たもんな~。
これからずっとこれか~。
何か対策打っておくか。(諦め)
嵐の中の小舟の様に
火山噴火を見つめる動物の様に
自然災害に巻き込まれどう仕様もない小さな自分を感じた時
人間は初めて自然の大きさを知るのだ
自らの身の丈を知ったときどう振る舞うのか
人の真価とは裸の自分になって初めて発揮されるのではないだろうか
人類よ常に考えろ
弱い私たちに出来るのは
ただそれだけだから
〔「マケドニア建国記 -宰相グロリアの日記-」翻訳 平田恵子〕
(side:高木康太)
私立桜泉学園入学三日目。目の前には小学校の頃見慣れたいつもの光景が広がっています。
「あなた達いいですか、ひろし様にお近づきになりたい想いはすべての女性にとっての共通概念。それをとやかく言うつもりはありません。だからと言って私たちの一方的な想いで、ひろし様を不快にさせては本末転倒。私たちはひろし様に快適に過ごして欲しいのであって、決して彼にご負担を掛けたい訳ではないのです。
ひろし様は寛大です。彼を一目見ようと近づいてしまう愚かな私たちにも、優しく微笑んでくださいます。ですが勘違いしてはいけません。彼に甘え過ぎてはいけないのです。私たち「ひろし様を見守る会」は、世の女性にひろし様を愛でる喜びとマナーを広めなければなりません。”暴走しない・させない”をスローガンに今日も一日頑張りましょう!」
「「「「はい!」」」」
いや訂正、バージョンアップしていた。
以前に増して統制の取れた集団になってるし。
親友がよくひろし君大好き女子を”信者”って揶揄していたけど、彼の見識は間違っていなかった様です。
それにしてもひろし君の影響力って凄い、わずか数日で学園の在り方を変えつつあるんだから。
”ひろし様の衝撃は入学式から酷かったな~。”
僕はため息交じりに窓の外の空を眺めました。
私立桜泉学園の入学式では、新入学男子生徒の一人一人が壇上に上がり紹介される。その光景はネットでライブ配信され、外部協力生、通称”ファンクラブ会員”に届けられる。新入学女子生徒及びファンクラブ会員には一人一票の投票権が与えられ、紹介された男子生徒に投票する事が出来る。
この時点で僕ら男子生徒のクラス分けはまだ決まってはいない。
この投票結果により上位からA~Dクラスに振り分けられる。
人数割合は5:4:4:3。
女子生徒は年四回のテストの際、テストの結果及び各評価によりクラスの再編が行われる。成績上位者はAクラス、下位者はDクラス。
男子もまた油断はできない。彼らは学年が上がった際、体育祭、文化祭の年三回投票が行われ、上位から振り分けなおされるのだ。
”文句があるなら行動で示せ“
以前、尾崎秀悟生徒会長が言っていた言葉は、この学校の本質を表していたのだろう。
新入学男子生徒に対する投票は、スマホアプリで行われリアルタイムで集計される。また、投票のやり直しも出来る為、体育館のモニターにはまだ結果は映し出されてはいない。各スマホには投票結果の推移が表示されているので、桜泉学園専用サイトの実況掲示板は相当盛り上がりを見せるのだと、マネジメント部の吉川さんが教えてくれた。
「次の方、準備お願いします。」
「はい。」
準備と言われても壇上に上がり自己紹介と簡単な自己PRをするだけ。
桜泉学園にスカウトされるほどの男子は注目される事に慣れているのだろう、皆当然の様に済ませ僕を注視している。
何かこちらを値踏みするようなあの目、すごいムカつく。
「初めまして。僕は桜町小学校から来ました、高木康太と言います。この私立桜泉学園に入学できたこと、心から嬉しく思います。至らぬ所も有りますが、なにとぞよろしくお願いします。」(軽く微笑みからの会釈)
まあ無難にこんなものだろう。
手前の女子生徒もひそひそ話ながらスマホをいじっているし、悪い印象ではなかったと思うが。
ん?何か男子生徒からの圧が上がった様な。
当たり前の挨拶をしただけだぞ?意味が解らない。
ラストはひろし様か。まあ吉川さんにはしつこい程言いくるめておいたし、この順番が正解だろう。
「あの! 僕こんなに注目されるの慣れて無くって、その、上手く挨拶出来なくってごめんなさい!!
その、僕、ひろしって言います!
みんなと仲良くなれたら嬉しいです!」(お日様の様な満面の笑み)
”バタッ、バダバタバタドサバサドサッ“
うゎ~~~、そうなるよね~。(遠い目)
新入生は全滅か~。
在校生も生き残りは残り四割くらい、それも全員胸抑えて悶えちゃってるし。
ひろし様、年下キャラ全開でぶつけて来たか~。
あれ本気でトップ狙って来てるよな。
親友の解説付きで眺めていたから、僕も結構解るようになって来たもんな~。
これからずっとこれか~。
何か対策打っておくか。(諦め)
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる