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本編
ルナリアの過去 4
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11歳になったころ、ルナリアは未だにロイのところに通っていた。ある程度、商会の運営方法は理解したが、腑に落ちない事があった。ロイの仕事環境だ。ロイに聞けば仕方ないとどこか諦めたようで自分と重ねてしまって何も言う事が出来なかった。
その日の帰り道、空には綺麗な星が散っていた。トボトボとした足取りで一人、外套を被り町娘の格好で歩いていれば近くでガシャンととても大きな音がした。
何かと近づいて見たら、男の子を抱えた少女が酷い傷で横たわっていた。驚いたことに彼らは人族ではなく獣人だった。
(このままでは、まずいわ。どこか、安全なところに連れていかないと。)
しかし、安全なところと言っても思いつかない。気を失っている彼らに外套を被らせ隠す。しばらく、その場で考えていると思いついた事があった。
「屋敷の離れは大丈夫かしら?」
公爵家の離れは元々、母が暮らしていた場所だった。あそこは、母が患ってから誰も近寄らずに今もある。庭の奥にあるあの場所はルナリアの唯一の隠れ場所にもなっていた。
あそこならと思い二人を連れて行く。軽量の魔法と浮遊の魔法を重ねがけしたら二人でもなんとかルナリアの手で運べた。元々、彼らはやせ細っていて軽かったが。
ーーーー
ーー
ー
拾った子はすぐに回復して一ヶ月ほどで変幻できるようになった。彼らに名前を聞けば番号が返ってきた為名前は分からなかった。これでは、不便だとルナリアが名前をつけた。
男の子はその夜のような髪の色からノクス、女の子は星のような色の瞳からステラと名付けた。二人はとても感激したように膝を降り顔を伏せ「ありがとうございます!!」と言ってくれた。何気なく付けた名前だったが、そんなに感激されるとは思わず狼狽えてしまった。
その後、女の子方はルナリアの侍女になった。男の子は屋敷に置くと言った際に公爵が憤慨した。理由は「シーラの側に何処の馬の骨ともわからない者を置けない!!」という事らしい。仕方ないので、ロイの所で知り合った奥さんのヘレナに預けた。時たま会いに言っている。ヘレナの娘は男の子と同い年で仲良くやっていて安心した。
この頃から、ルナリアは殴られるのを拒絶するようになった。なぜなら、ステラがいたからだ。主人であるルナリアが殴られるのを良しとすればステラも殴られて当たり状況になる。ルナリアが殴られるのならまだいいが自分のせいでステラが殴られるのは嫌だったのだ。
ステラは、侍女になって数ヶ月で仕事をマスターした。私の状況知ったステラは、夜に出て狩をして朝食事を作ってくれるようになった。
もっぱら生物や冷たい物を食べていたために温かく、美味しい食事という物を久しぶりに食べた。
この時ばかりは、不覚にもホロリと涙がこぼれてしまった。
(こんなに、美味しい料理はいつぶりかしら・・・)
その日の帰り道、空には綺麗な星が散っていた。トボトボとした足取りで一人、外套を被り町娘の格好で歩いていれば近くでガシャンととても大きな音がした。
何かと近づいて見たら、男の子を抱えた少女が酷い傷で横たわっていた。驚いたことに彼らは人族ではなく獣人だった。
(このままでは、まずいわ。どこか、安全なところに連れていかないと。)
しかし、安全なところと言っても思いつかない。気を失っている彼らに外套を被らせ隠す。しばらく、その場で考えていると思いついた事があった。
「屋敷の離れは大丈夫かしら?」
公爵家の離れは元々、母が暮らしていた場所だった。あそこは、母が患ってから誰も近寄らずに今もある。庭の奥にあるあの場所はルナリアの唯一の隠れ場所にもなっていた。
あそこならと思い二人を連れて行く。軽量の魔法と浮遊の魔法を重ねがけしたら二人でもなんとかルナリアの手で運べた。元々、彼らはやせ細っていて軽かったが。
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拾った子はすぐに回復して一ヶ月ほどで変幻できるようになった。彼らに名前を聞けば番号が返ってきた為名前は分からなかった。これでは、不便だとルナリアが名前をつけた。
男の子はその夜のような髪の色からノクス、女の子は星のような色の瞳からステラと名付けた。二人はとても感激したように膝を降り顔を伏せ「ありがとうございます!!」と言ってくれた。何気なく付けた名前だったが、そんなに感激されるとは思わず狼狽えてしまった。
その後、女の子方はルナリアの侍女になった。男の子は屋敷に置くと言った際に公爵が憤慨した。理由は「シーラの側に何処の馬の骨ともわからない者を置けない!!」という事らしい。仕方ないので、ロイの所で知り合った奥さんのヘレナに預けた。時たま会いに言っている。ヘレナの娘は男の子と同い年で仲良くやっていて安心した。
この頃から、ルナリアは殴られるのを拒絶するようになった。なぜなら、ステラがいたからだ。主人であるルナリアが殴られるのを良しとすればステラも殴られて当たり状況になる。ルナリアが殴られるのならまだいいが自分のせいでステラが殴られるのは嫌だったのだ。
ステラは、侍女になって数ヶ月で仕事をマスターした。私の状況知ったステラは、夜に出て狩をして朝食事を作ってくれるようになった。
もっぱら生物や冷たい物を食べていたために温かく、美味しい食事という物を久しぶりに食べた。
この時ばかりは、不覚にもホロリと涙がこぼれてしまった。
(こんなに、美味しい料理はいつぶりかしら・・・)
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