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本編
内見です。3
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「ルナ、こんな私をどう思う?」
真剣に聞かれた。だから、なんと答えようかと悩む。コップの中に映り込む自分を見降ろした。
(レオン様のおっしゃっている事は分かる。でも、地位や権力を持った者はそれを軽々しくできないことも知っているわ。)
皇帝という地位にいるレオンならなおさらその事は分かっているのだろう。
「・・・私は、グレン様やゲイブ様の立場ならその様な行動に眉をひそめてしまうでしょう。」
そこで区切り、顔を上げレオンの赤い瞳をまっすぐと見る。
(・・相変わらず、綺麗な、美しい色ですね。)
感慨深く思いつつ続きを言った。
「ですが、民主の中の一人として言えば国民の目線でものを見てくれるならとても嬉しく思います。国とは、民です。それを大切にしてくれる皇帝様ならとても誇らしいです。」
そう言い切った後、レオンは目を見開いて優しく眉尻を下げた。初めて見るその表情につい見入ってしまう。
「そうか。ありがとう。」
何故か、お礼を言われた。わけがわからなくて首をかしげる。
「今まで、聞けば皆 その行動を控えろと言っていた。私の立場を考えれば当たり前だと思うが肯定してくるれものはいなかったのだ。だから、貴方が誇らしいと言ってくれてとても嬉しい。ありがとう。」
安心した様に、嬉しそうに優しくレオンは笑った。その表情を食い入る様に見ていれば、女将が両手に料理を持って来た。
「お待たせさん。こっちがステーキで、こっちがパスタだよ!」
二人の前に料理が置かれる。良い匂いが辺りに広がった。
その香りのおかげか、先ほどの少し緊張する様な雰囲気が消え和やかに食事する事が出来た。
置かれたパスタはとてもクリーミーだけれどトマトのお陰でサッパリとして食べやすかった。けれど、量がとても多く全てだべきれなかった。まぁ、いつのまにか食べ終わっていたレオンが手伝ってくれて完食できたけれど。
レストランを出た後は、まだ一時間ほど時間が余ったので大通りの屋台や店を見て回った。人が多く、はぐれたらダメだとレオンは手を繋いできたのでドギマギしながらも手を繋いで店を見ていれば装飾を取り扱っている露店でとても綺麗に編み込まれたブレスレットを見つけてそれを見ていると店主に声をかけられた。
「それはミサンガと言ってね。意図編み込んで作ったんだよ。他にも種類があるけど今、お客さんが手にとっているのは恋人達向けに作った物だ二人で一つづつどうかい?」
店主と同じ織り方で色違いの装飾品を渡された。
「ち、違います!恋人じゃ・・」
「おや?恋人ではないのですか?」
店主が不思議そうに言った。目線は、レオンと繋がれた手を向いている。
「店主、それを買おう。」
どう断ろうと思案していればレオンは、サラとお金を渡し、恋人達にと作られたそれをルナリアの手の上に乗せる。
糸が編み込まれたそれは、とても綺麗に模様を浮き出させていて少し輝いている様に見える。
「毎度ありがとう。あぁ、言い忘れてた。それは、魔力のこもる糸で作られたミサンガだから魔石ほどでは無いけど簡単な魔術付与ができるよ。つけて見てね。」
そう言った店主は、ニコニコしながらレオンとルナリアを見送った。
「ルナ、馬車に戻ろうか。」
レオンに引かれミサンガを着けれないまま馬車に戻った。
真剣に聞かれた。だから、なんと答えようかと悩む。コップの中に映り込む自分を見降ろした。
(レオン様のおっしゃっている事は分かる。でも、地位や権力を持った者はそれを軽々しくできないことも知っているわ。)
皇帝という地位にいるレオンならなおさらその事は分かっているのだろう。
「・・・私は、グレン様やゲイブ様の立場ならその様な行動に眉をひそめてしまうでしょう。」
そこで区切り、顔を上げレオンの赤い瞳をまっすぐと見る。
(・・相変わらず、綺麗な、美しい色ですね。)
感慨深く思いつつ続きを言った。
「ですが、民主の中の一人として言えば国民の目線でものを見てくれるならとても嬉しく思います。国とは、民です。それを大切にしてくれる皇帝様ならとても誇らしいです。」
そう言い切った後、レオンは目を見開いて優しく眉尻を下げた。初めて見るその表情につい見入ってしまう。
「そうか。ありがとう。」
何故か、お礼を言われた。わけがわからなくて首をかしげる。
「今まで、聞けば皆 その行動を控えろと言っていた。私の立場を考えれば当たり前だと思うが肯定してくるれものはいなかったのだ。だから、貴方が誇らしいと言ってくれてとても嬉しい。ありがとう。」
安心した様に、嬉しそうに優しくレオンは笑った。その表情を食い入る様に見ていれば、女将が両手に料理を持って来た。
「お待たせさん。こっちがステーキで、こっちがパスタだよ!」
二人の前に料理が置かれる。良い匂いが辺りに広がった。
その香りのおかげか、先ほどの少し緊張する様な雰囲気が消え和やかに食事する事が出来た。
置かれたパスタはとてもクリーミーだけれどトマトのお陰でサッパリとして食べやすかった。けれど、量がとても多く全てだべきれなかった。まぁ、いつのまにか食べ終わっていたレオンが手伝ってくれて完食できたけれど。
レストランを出た後は、まだ一時間ほど時間が余ったので大通りの屋台や店を見て回った。人が多く、はぐれたらダメだとレオンは手を繋いできたのでドギマギしながらも手を繋いで店を見ていれば装飾を取り扱っている露店でとても綺麗に編み込まれたブレスレットを見つけてそれを見ていると店主に声をかけられた。
「それはミサンガと言ってね。意図編み込んで作ったんだよ。他にも種類があるけど今、お客さんが手にとっているのは恋人達向けに作った物だ二人で一つづつどうかい?」
店主と同じ織り方で色違いの装飾品を渡された。
「ち、違います!恋人じゃ・・」
「おや?恋人ではないのですか?」
店主が不思議そうに言った。目線は、レオンと繋がれた手を向いている。
「店主、それを買おう。」
どう断ろうと思案していればレオンは、サラとお金を渡し、恋人達にと作られたそれをルナリアの手の上に乗せる。
糸が編み込まれたそれは、とても綺麗に模様を浮き出させていて少し輝いている様に見える。
「毎度ありがとう。あぁ、言い忘れてた。それは、魔力のこもる糸で作られたミサンガだから魔石ほどでは無いけど簡単な魔術付与ができるよ。つけて見てね。」
そう言った店主は、ニコニコしながらレオンとルナリアを見送った。
「ルナ、馬車に戻ろうか。」
レオンに引かれミサンガを着けれないまま馬車に戻った。
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