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本編
ルナリアさんは風邪っぴき
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夜会終わった後日、ルナリアは見事に風邪をひいた。ガンガンと頭痛がする酷く重たい頭は、先程から回らず医者の話を聞きたいのに集中できない。
「疲労の影響で風邪の症状が、強まっていますね。熱が下がるまでは安静にして下さい。」
ようやくするとそう言われた気がする。
サベージを出てドラニアに来てからは、休む暇もなく商会を設立し商品を売り込み。帝都で皇女様とお茶を飲み、知り合った男性が皇帝だったりと何かと忙しい日々だった。
「体調管理はしっかりしていたはずなのに・・」
一人ごちる。これから、商会の拠点となる場所を探さなくてはいけないのに足止めを食らってしまった。
独り言のつもりだったが、目ざとく聞き取ったステラが呆れた様に言う。
「ちょうど良いではありませんか。幾ら何でも、仕事のし過ぎです。ここら辺で、一度休んだ方が良いですよ。」
「けれど、ステラ。拠点を探さないと・・」
ステラに反論したけれどその視線だけでいなされ、部屋の寝室に追いやられた。
「横になって、寝てください。」
バタンと部屋の扉が閉められる。渋々、寝台の上に倒れる様に横たわった。
(気持ちいい・・さすが、城のお布団ね。)
そんな事を思いながら、怠い身体はすぐさま眠りへと移行していった。
ーーーーー
サラリサラリと頭を撫でられる感触がする。その気配は、安心するような心地いい雰囲気を纏っていた。
ルナリアの体温が熱で、高くなっているからかとても冷たく感じる。その冷たさが、気持ちいい。この感じは、手だろうか?ステラにしては、大きすぎる。
(誰?)
そう思い、重たい瞼を上げた。
目を開いたは良いが、寝ぼけているのか、はたまた熱かあるせいか少し頭がぼんやりして相手を認識するのに時間がかかった。
「(・・・・・・レオン様?)」
やっと、人影を認識する。認識した、人物の前を心の中で呼んだ。
「すまない、起こしてしまったな。大丈夫か?」
「あぁ、レオン様だ。」
ふわりと笑う。レオンは、なぜか何かを耐えるように「ぐっ・・」と声をこぼす。
そんなレオンの心配とは裏腹にルナリアは、未だふわふわした思考の中を彷徨っていた。
そのふわふわとした感覚は、現実味がなくまるで夢の中のようだ。
きっと、夢の中のなのだろう。現実であれば、皇帝で忙しいレオンがこんな所にいるはずがない。そう、一人で納得した。
「(耳、気持ち良さそう。触りたいな。夢なら、良いかしら?)」
そう思って、手を伸ばした。
レオンは、全然動かず頭を撫でている。いや、ルナリアに頭に手を置いたまま動かない。
だから、これは夢だと確信した。現実なら、避けられるか手を叩かれるから。
フカっ
ゆっくり伸ばした手は、レオンの頭上に着地して獣耳に触れた。
思っていたよりも、弾力のある毛並みでフカフカしている。失礼とは思いつつも、気持ちいい手触りで触れしまう。
「・・ふかふかですね。」
夢の中で、レオンにそう言った。
再び、レオンの方から息を飲んだ様な、「うっ・・」と言う声が聞こえた。
「疲労の影響で風邪の症状が、強まっていますね。熱が下がるまでは安静にして下さい。」
ようやくするとそう言われた気がする。
サベージを出てドラニアに来てからは、休む暇もなく商会を設立し商品を売り込み。帝都で皇女様とお茶を飲み、知り合った男性が皇帝だったりと何かと忙しい日々だった。
「体調管理はしっかりしていたはずなのに・・」
一人ごちる。これから、商会の拠点となる場所を探さなくてはいけないのに足止めを食らってしまった。
独り言のつもりだったが、目ざとく聞き取ったステラが呆れた様に言う。
「ちょうど良いではありませんか。幾ら何でも、仕事のし過ぎです。ここら辺で、一度休んだ方が良いですよ。」
「けれど、ステラ。拠点を探さないと・・」
ステラに反論したけれどその視線だけでいなされ、部屋の寝室に追いやられた。
「横になって、寝てください。」
バタンと部屋の扉が閉められる。渋々、寝台の上に倒れる様に横たわった。
(気持ちいい・・さすが、城のお布団ね。)
そんな事を思いながら、怠い身体はすぐさま眠りへと移行していった。
ーーーーー
サラリサラリと頭を撫でられる感触がする。その気配は、安心するような心地いい雰囲気を纏っていた。
ルナリアの体温が熱で、高くなっているからかとても冷たく感じる。その冷たさが、気持ちいい。この感じは、手だろうか?ステラにしては、大きすぎる。
(誰?)
そう思い、重たい瞼を上げた。
目を開いたは良いが、寝ぼけているのか、はたまた熱かあるせいか少し頭がぼんやりして相手を認識するのに時間がかかった。
「(・・・・・・レオン様?)」
やっと、人影を認識する。認識した、人物の前を心の中で呼んだ。
「すまない、起こしてしまったな。大丈夫か?」
「あぁ、レオン様だ。」
ふわりと笑う。レオンは、なぜか何かを耐えるように「ぐっ・・」と声をこぼす。
そんなレオンの心配とは裏腹にルナリアは、未だふわふわした思考の中を彷徨っていた。
そのふわふわとした感覚は、現実味がなくまるで夢の中のようだ。
きっと、夢の中のなのだろう。現実であれば、皇帝で忙しいレオンがこんな所にいるはずがない。そう、一人で納得した。
「(耳、気持ち良さそう。触りたいな。夢なら、良いかしら?)」
そう思って、手を伸ばした。
レオンは、全然動かず頭を撫でている。いや、ルナリアに頭に手を置いたまま動かない。
だから、これは夢だと確信した。現実なら、避けられるか手を叩かれるから。
フカっ
ゆっくり伸ばした手は、レオンの頭上に着地して獣耳に触れた。
思っていたよりも、弾力のある毛並みでフカフカしている。失礼とは思いつつも、気持ちいい手触りで触れしまう。
「・・ふかふかですね。」
夢の中で、レオンにそう言った。
再び、レオンの方から息を飲んだ様な、「うっ・・」と言う声が聞こえた。
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