赤獅子皇帝の花嫁

桃源郷

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気まぐれな番外篇

とある帝国文官Aの日記

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○月×日 (曇り)

今日付けで、私は宰相であるグレン様の下につくことになった。平民出身で女である私の実力を認められた様で嬉しかった。給料も上がるから。そういえば、今日陛下がタラサへの視察に行かれた。忙しくなりそうだ。



○月△日(曇りのち雨) 

陛下がいないので、執務室に皇女様が来られた。皇女様は勇ましく覇気のある方だった。とても、兄妹で似ていらっしゃる。
最近、宰相様がイライラしていて笑顔がなんだか怖い。


○月○日(雨)

今日も変わらず忙しい。先輩が言うには夜会の手続きが思っていたより多いからだそうだ。
書類を届けに行ったら、何やら皇女様と宰相様が執務室で話をしていてつい聞き耳を立ててしまった。

「あいつを、カレンに会わせたくないです。」
「おちつけ、彼らは婚約者同士だぞ。」
「だからですよ。」
「仕方ないだろう。兄上の足に付いていけるのはゲイブしかいないのだから。だから、お前もゲイブを連れていけと言ったのだろう?」

宰相様は何やら唸りながらブツクサ言っていたがドア越しでは流石に聞き取れなかった。カレン様は確か宰相様の妹君だったはず、彼女がどうかしたのだろうか?


○月◻︎日(晴れ)

今日は良い天気だが、書類整理で忙しい。皇女様は無言で手を動かしているが雰囲気がなんだか怖い。宰相様が言うにはフラストレーションがかなり溜まってきているそうだ。その宰相様も少し怖い、美形の笑みがここまで怖いとは思わなかった。
皇女様は、書類整理はできるけれど嫌いな様だ。


○月◇日(晴れ)

最近、知ったのだけど宰相様は妹君のカレン様が大好きな様だ。いわば、シスコンである。それを先輩に聞いた時、以前聞き耳を立ててしまった宰相様と皇女様の会話が納得できた。
今日、ゲイブ様と言う方から報告書が届いたけど最初の方は何か優しくふふっと笑って、そしてそのあとなぜか固まり書類を破った。最初の部分は読めなかったけど最後の切れ端には『カレンは元気そうだぞ。お義兄様』と書かれていた。少し、引いた。


○月☆日(晴れのち曇り)

ついに皇女様のストレスが爆発した。いきなり席を立ち、軍の訓練場に行ってしまわれた。あとで、友人に聞いたら訓練と称し軍人達相手に手合わせしたそうだ。それはそれは恐ろしい地獄絵図だったらしい。
皇女様を怒らせてはいけないと誓った。


○月◎日(晴れ)

皇女様は昨日はそのままいなくなられたけれど、今日はどこか晴れ晴れとした雰囲気で書類に向かわれていた。先代から支えている文官の人(みんな長老と言っている。)が皇女様は先代皇帝に性格が似ていると言っていた。現陛下はその奥方である上皇后様に真面目なところが似ているらしい。お二人は、退位後離宮で暮らしているらしく、城にはいなくて私はどんな方か知らないけれど。

○月▲日(曇り)

一昨日、皇女様が壊された訓練場の請求書類が今日届いた。仕方ない、と言うふうにポケットマネーから出していたのはびっくりしたが、魔術の研究で結構儲けているらしい。
そのあと、熟年の侍女の格好をした女性にこっぴどく説教されていた。
長老曰く、「懐かしい。」とのことらしい。ということは昔もこんな光景があったのだろうか?
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