赤獅子皇帝の花嫁

桃源郷

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本編

思っても見なかった事

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「おはようございます!注文された品を取り付けに参りました。」

やってきたのは、ルナリアが注文していた店の看板が届いたのだ。
白を主体とした筆記体のクルンとした文字で書かれたそれは

『カモミール商会』

そう書かれていた。

「カモミールか。」

「ええ、ノア爺さま。いいでしょう?」

「そうじゃな。とてもいいよ。」

ノア爺はふっと笑って看板を見つめている。他の皆んなもそれぞれ作業を中断し、看板を見にきた。

「これが、商会名ですか。良いですね!あ、母さん看板が来たよ!」

「少し、光ってる?魔石なんだろうか?ノア爺、どう思う?」

「そう、じゃなルドルフ。あれは・・・」

皆、感想を呟き看板を起点に会話の花を咲かせている。
ルナリアは看板を見つめ思いを馳せていた。

(カモミール、別名カミツレ。お母様が好きだった花の名前。逆境を耐えるという言葉を持つ花。)

しばし、看板の下で皆んなが笑って会話をする光景を焼き付ける。

「さぁ、皆んな。商売を始めましょう!」

ーーーーー

店を開けば、早速忙しくなった。カレンが色々貴族に宣伝していたようで貴族からの注文が絶え間なく続いた。だけど、それもはじめのうち噂が広まったのか嬉しいことに貴族以外も店に足を運んでくれるようになった。

一番売れ行きが良かったのはシャポワン のセットだった。毎日、売り切れ在庫が空になった。

「やっぱり、大きな研究場を作って大量の生産するしかないかしら。ロイ、それができるまでシャポワンのセットを予約制に。お客様に知らせるチラシの手配もお願い。」

「わかりました。そのように手配を。」

小さい執務室で売り上げ費用を見ながらロイと対策をねる。

「新しい従業員の募集もかけないと。」

思っていたよりの売り上げで、皆も一息つく暇がない。その反面とても有り難たかった。
ルナリアとて、不安がないわけでもない。初めての土地なら尚更、ちゃんと売れるかなど色々考える余裕が出てしまったら不安をにじませてしまいそうで。
忙しい今は有り難いく、とても嬉しかった。

「この売り上げならすぐに拠点を移しても大丈夫そうね。」

「拠点を移すんですか?」

「ええ。どこか屋敷を丸々買って商会の本拠地を帝都に移すわ。元々、その資金集めと売れ行きの実験のために此方へ来たのだもの。帝都に移すつもりだから少し値が高く付くかもしれないけどそれでもあちらの利益を考えれば良い感じだと思うわ。」

「そうだったのですか。」

「だから、ロイ。私はステラと先に帝都へ行くわ。少しの間ここを任せてもいいかしら?」

「はい、わかりました。お任せください!」

すごくいい返事が返ってきた。少し、胸を張り自信ありげに頷く様にクスリと笑う。

(ロイや皆んな、なら大丈夫ね。)


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