13 / 66
追憶 五
しおりを挟む
―そして、夕方、私たちは観覧車に乗りました。―
「ねえ史香、一緒に観覧車、乗らない?」
優は史香に、そう提案した。
「えっ、まあ、いいけど…。」
「せっかく遊園地まで来たんだから、乗ろうよ。」
そして、2人は観覧車に乗ることになった。しかし、史香の方は、あまり乗り気ではないらしい。
「あっ、ここが乗り場みたい。行こうか、史香。」
「…分かった、優。」
優の方は、そんな史香の様子に気づかないまま、史香を観覧車に誘った。また、その時は観覧車は混んでおらず、優は、とりあえずラッキーだ、そんな風に思っていた。
そして、2人が観覧車に乗った瞬間―。
史香が、優の手を強く握った。これが、2人が初めて、手を繋いだ瞬間だった。
「どうしたの、史香?」
「ううん、何でもないよ。ただ、優と手を繋ぎたくなっちゃった。」
その言葉を聞いた瞬間、優はドキドキした。はっきりと、体温が上がっていくのを、優は自覚した。そして、優の方も、史香の手を、優しく、そして強く握り返した。
「優の手って、こうやってると、あったかいね。」
「そうかな。強く握り過ぎちゃってる?手、痛くない?」
「うん、全然痛くないよ。」
そうしている間にも、観覧車は、どんどん上へ上がって行く。その間、史香は優にもっと近づき、腕を組んだ。
そして、観覧車が頂上に達した瞬間―、
2人は、キスをした。
そこは、ドキドキの最高点であった。観覧車が頂上にいるのは、一瞬であったが、2人には、その時間が、何時間もずっと、続いているように感じられた。時が止まるというのは、このようなことを言うのだろうか。できれば、このままずっと、2人でこうしていたい、優と史香は、お互いにそう思った。そして、観覧車の窓からは、夕日が差し込んでおり、その光が2人の顔を、照らしていた。それはロマンチックな光景であったが、その瞬間の2人には、そんなことも、気にならなかった。
「楽しかったね、優。」
「うん。」
観覧車から降りた優と史香は、自然と、手を繋いで歩いていた。その時は2人とも、まだ夢の中にいるような、そんな気分であった。
「ねえ史香、一緒に観覧車、乗らない?」
優は史香に、そう提案した。
「えっ、まあ、いいけど…。」
「せっかく遊園地まで来たんだから、乗ろうよ。」
そして、2人は観覧車に乗ることになった。しかし、史香の方は、あまり乗り気ではないらしい。
「あっ、ここが乗り場みたい。行こうか、史香。」
「…分かった、優。」
優の方は、そんな史香の様子に気づかないまま、史香を観覧車に誘った。また、その時は観覧車は混んでおらず、優は、とりあえずラッキーだ、そんな風に思っていた。
そして、2人が観覧車に乗った瞬間―。
史香が、優の手を強く握った。これが、2人が初めて、手を繋いだ瞬間だった。
「どうしたの、史香?」
「ううん、何でもないよ。ただ、優と手を繋ぎたくなっちゃった。」
その言葉を聞いた瞬間、優はドキドキした。はっきりと、体温が上がっていくのを、優は自覚した。そして、優の方も、史香の手を、優しく、そして強く握り返した。
「優の手って、こうやってると、あったかいね。」
「そうかな。強く握り過ぎちゃってる?手、痛くない?」
「うん、全然痛くないよ。」
そうしている間にも、観覧車は、どんどん上へ上がって行く。その間、史香は優にもっと近づき、腕を組んだ。
そして、観覧車が頂上に達した瞬間―、
2人は、キスをした。
そこは、ドキドキの最高点であった。観覧車が頂上にいるのは、一瞬であったが、2人には、その時間が、何時間もずっと、続いているように感じられた。時が止まるというのは、このようなことを言うのだろうか。できれば、このままずっと、2人でこうしていたい、優と史香は、お互いにそう思った。そして、観覧車の窓からは、夕日が差し込んでおり、その光が2人の顔を、照らしていた。それはロマンチックな光景であったが、その瞬間の2人には、そんなことも、気にならなかった。
「楽しかったね、優。」
「うん。」
観覧車から降りた優と史香は、自然と、手を繋いで歩いていた。その時は2人とも、まだ夢の中にいるような、そんな気分であった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
【R18】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※完結済み、手直ししながら随時upしていきます
※サムネにAI生成画像を使用しています
夫の幼馴染が毎晩のように遊びにくる
ヘロディア
恋愛
数年前、主人公は結婚した。夫とは大学時代から知り合いで、五年ほど付き合った後に結婚を決めた。
正直結構ラブラブな方だと思っている。喧嘩の一つや二つはあるけれど、仲直りも早いし、お互いの嫌なところも受け入れられるくらいには愛しているつもりだ。
そう、あの女が私の前に立ちはだかるまでは…
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
私の心の薬箱~痛む胸を治してくれたのは、鬼畜上司のわかりづらい溺愛でした~
景華
恋愛
顔いっぱいの眼鏡をかけ、地味で自身のない水無瀬海月(みなせみつき)は、部署内でも浮いた存在だった。
そんな中初めてできた彼氏──村上優悟(むらかみゆうご)に、海月は束の間の幸せを感じるも、それは罰ゲームで告白したという残酷なもの。
真実を知り絶望する海月を叱咤激励し支えたのは、部署の鬼主任、和泉雪兎(いずみゆきと)だった。
彼に支えられながら、海月は自分の人生を大切に、自分を変えていこうと決意する。
自己肯定感が低いけれど芯の強い海月と、わかりづらい溺愛で彼女をずっと支えてきた雪兎。
じれながらも二人の恋が動き出す──。
【R18】鬼上司は今日も私に甘くない
白波瀬 綾音
恋愛
見た目も中身も怖くて、仕事にストイックなハイスペ上司、高濱暁人(35)の右腕として働く私、鈴木梨沙(28)。接待で終電を逃した日から秘密の関係が始まる───。
逆ハーレムのチームで刺激的な日々を過ごすオフィスラブストーリー
法人営業部メンバー
鈴木梨沙:28歳
高濱暁人:35歳、法人営業部部長
相良くん:25歳、唯一の年下くん
久野さん:29歳、一個上の優しい先輩
藍沢さん:31歳、チーフ
武田さん:36歳、課長
加藤さん:30歳、法人営業部事務
【R18】豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網〜策士な後輩から逃げられません!〜
湊未来
恋愛
「ねぇ、本当に陰キャの童貞だって信じてたの?経験豊富なお姉さん………」
30歳の誕生日当日、彼氏に呼び出された先は高級ホテルのレストラン。胸を高鳴らせ向かった先で見たものは、可愛らしいワンピースを着た女と腕を組み、こちらを見据える彼の姿だった。
一方的に別れを告げられ、ヤケ酒目的で向かったBAR。
「ねぇ。酔っちゃったの………
………ふふふ…貴方に酔っちゃったみたい」
一夜のアバンチュールの筈だった。
運命とは時に残酷で甘い………
羊の皮を被った年下オオカミ君×三十路崖っぷち女の恋愛攻防戦。
覗いて行きませんか?
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
・R18の話には※をつけます。
・女性が男性を襲うシーンが初回にあります。苦手な方はご注意を。
・裏テーマは『クズ男愛に目覚める』です。年上の女性に振り回されながら、愛を自覚し、更生するクズ男をゆるっく書けたらいいなぁ〜と。
夫が正室の子である妹と浮気していただけで、なんで私が悪者みたいに言われないといけないんですか?
ヘロディア
恋愛
側室の子である主人公は、正室の子である妹に比べ、あまり愛情を受けられなかったまま、高い身分の貴族の男性に嫁がされた。
妹はプライドが高く、自分を見下してばかりだった。
そこで夫を愛することに決めた矢先、夫の浮気現場に立ち会ってしまう。そしてその相手は他ならぬ妹であった…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる