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母の話 九
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―ここまで、お父さんと、私のことを、話してきました。それで、ここからが大事な話だから、よく聴いてね。
そんなお父さんとの別れは、突然やって来ました。その原因は、…
交通事故です。
その日は、亜美子が産まれてから、3年後のことでした。お父さんは、とある貿易会社で働いていたんだけど、その勤め先の貿易会社で、残業をしていました。そして、夜遅くになって、少し気分転換をしようとして、散歩に出かけたそうです。それで、信号が青になったのを確認して、横断歩道を渡り終えようとした瞬間…、
交差点の右側から、全速力で走り、曲がってきた車が、お父さんにぶつかりました。そして、お父さんは意識を失いました。ちなみに、その車は私たちと同世代の人が乗ったスポーツカーで、その日は飲み会の帰りだったそうです。
いわゆる、飲酒運転ってやつだね。そこに乗っていたメンバーは、全員が飲酒していて、夜遅くということもあり、周りを、よく見ていなかったみたいです。もちろん、運転手や、他の車内のメンバーは、逮捕されたんだけど、お父さんは、そのまま、帰らぬ人になってしまいました。
それを知ったお母さんは、本当にショックでした。その時は、その運転手を殺してやろう、とか、亜美子と一緒に、お父さんの所へ行こう、つまり心中しようとか、良からぬこともいろいろ考えました。でも、
「やっぱり、私たちは、強く生きていかないといけない。それが、あの人の望んでいることでもあるんだ。心中しようとか、ましてやあの時の犯人を殺してやろうなんて、考えるべきではない。」
って思い直して、何とか、踏みとどまりました。
でも、なかなか気持ちの整理がつかなくて、今に至っています。今でも私は、お父さんの夢を見るときもあるし、急にインターホンがなった時は、
「もしかして、お父さんが帰って来たんじゃないかな?」
とか、考えてしまう時もあります。
でも、これっきり、お父さんの幻影を追うのは、止めにしよう、そう思っています。もちろん、できるかどうかは分からないけど、頑張ってみようと思います。
お父さんのことは、私は一生、忘れません。でも、お父さんのことを引きずるのは、お父さんが望む私の姿ではないと思います。だから…、
私は、強く生きていきたい。
これが、私とお父さんとの、今まで亜美子に言っていなかった話です。
今まで黙っていて、本当にごめんね。―
そんなお父さんとの別れは、突然やって来ました。その原因は、…
交通事故です。
その日は、亜美子が産まれてから、3年後のことでした。お父さんは、とある貿易会社で働いていたんだけど、その勤め先の貿易会社で、残業をしていました。そして、夜遅くになって、少し気分転換をしようとして、散歩に出かけたそうです。それで、信号が青になったのを確認して、横断歩道を渡り終えようとした瞬間…、
交差点の右側から、全速力で走り、曲がってきた車が、お父さんにぶつかりました。そして、お父さんは意識を失いました。ちなみに、その車は私たちと同世代の人が乗ったスポーツカーで、その日は飲み会の帰りだったそうです。
いわゆる、飲酒運転ってやつだね。そこに乗っていたメンバーは、全員が飲酒していて、夜遅くということもあり、周りを、よく見ていなかったみたいです。もちろん、運転手や、他の車内のメンバーは、逮捕されたんだけど、お父さんは、そのまま、帰らぬ人になってしまいました。
それを知ったお母さんは、本当にショックでした。その時は、その運転手を殺してやろう、とか、亜美子と一緒に、お父さんの所へ行こう、つまり心中しようとか、良からぬこともいろいろ考えました。でも、
「やっぱり、私たちは、強く生きていかないといけない。それが、あの人の望んでいることでもあるんだ。心中しようとか、ましてやあの時の犯人を殺してやろうなんて、考えるべきではない。」
って思い直して、何とか、踏みとどまりました。
でも、なかなか気持ちの整理がつかなくて、今に至っています。今でも私は、お父さんの夢を見るときもあるし、急にインターホンがなった時は、
「もしかして、お父さんが帰って来たんじゃないかな?」
とか、考えてしまう時もあります。
でも、これっきり、お父さんの幻影を追うのは、止めにしよう、そう思っています。もちろん、できるかどうかは分からないけど、頑張ってみようと思います。
お父さんのことは、私は一生、忘れません。でも、お父さんのことを引きずるのは、お父さんが望む私の姿ではないと思います。だから…、
私は、強く生きていきたい。
これが、私とお父さんとの、今まで亜美子に言っていなかった話です。
今まで黙っていて、本当にごめんね。―
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