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20kHz 二
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翌日、亜美子は、文学部の図書館に向かっていた。確かにあの人の言う通り、わざわざそんな偽造写真を用意してまで、亜美子にいたずらをする理由は、ないに等しい。だとすれば、「トシ」と名乗る人物は、本当に過去の人なのだろうか…?とりあえず、写真さえ見つからなければ、もう通話はしなくていいんだ、亜美子はそう思いながら、フランス文学・哲学の、サルトル全集の所へ向かった。
亜美子の通う大学の、文学部の図書館は、本館の図書館とは違い、利用する学生が少ない。それもあってか、館内には、例えば古書の匂いなど、独特の雰囲気が漂っている。亜美子は、最初この図書館に入った時は、この雰囲気が苦手であったが、学生生活を文学部で過ごすうちに、この雰囲気にも慣れ、今では、
「これが、文学の香りなんだ。」
と、誇りを持つようにもなっていた。(ちなみに、亜美子は、レポートをまとめる時など、この文学部の図書館を、頻繁に利用していた。)
そして、サルトル全集の、第1巻のページをめくり、少しした瞬間…、亜美子は驚き、危うく声をあげそうになった。そこには、昨日の無線の主が言う通り、「トシ」と書かれたサインと、「1985年11月16日」と書かれた朝刊が一緒になって映っている、古びた写真が、あったのである。
「やっぱりこれは、いたずらではない。ということは、トシさんは、本当に30年前の、この大学の学生…。」
そのような声にならない思いが、亜美子の頭の中を反芻していた。
亜美子の通う大学の、文学部の図書館は、本館の図書館とは違い、利用する学生が少ない。それもあってか、館内には、例えば古書の匂いなど、独特の雰囲気が漂っている。亜美子は、最初この図書館に入った時は、この雰囲気が苦手であったが、学生生活を文学部で過ごすうちに、この雰囲気にも慣れ、今では、
「これが、文学の香りなんだ。」
と、誇りを持つようにもなっていた。(ちなみに、亜美子は、レポートをまとめる時など、この文学部の図書館を、頻繁に利用していた。)
そして、サルトル全集の、第1巻のページをめくり、少しした瞬間…、亜美子は驚き、危うく声をあげそうになった。そこには、昨日の無線の主が言う通り、「トシ」と書かれたサインと、「1985年11月16日」と書かれた朝刊が一緒になって映っている、古びた写真が、あったのである。
「やっぱりこれは、いたずらではない。ということは、トシさんは、本当に30年前の、この大学の学生…。」
そのような声にならない思いが、亜美子の頭の中を反芻していた。
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