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ヘッドホン 四
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「浩一ってさ、そういえば、今まで彼女とか、できたことないんじゃない?」
これは、とある日の、学食での亜美子と浩一との会話である。
「いや、まあ、その、亜美子が言う通りだよ。」
「へえ~。何でだろうね。浩一、モテそうな気もするけどな。」
「そ、そんなの知るかよ。」
「でもそういえば昔っから、浩一に告白してくる女の子、いたよね。例えば…、高校時代の後輩マネージャーとか!」
「おい、昔の話は止せよ。」
「いいじゃん。懐かしいな~。確か、浩一にラブレターを渡す所、他の部員がたまたま見てたんだよね!それで、軽く噂になって…。でも、あの後輩マネージャー、かわいくなかった?」
「まあな。」
「まあなって何よ~。でも、結局付き合わなかったんだよね?どうして?浩一のタイプとは違ったから?」
「そんなんじゃねえよ。
…まあ、あの頃は部活も勉強も忙しかったし…。いろいろあったってことだよ。やっぱりいいじゃん、昔の話は。」
その時相手の女の子に、自分には好きな人がいること、そして、大学生になった自分は今でもその人のことが好きなこと、そして、その好きな人は、今自分の目の前にいることなど、到底亜美子に言えない、浩一なのであった。
「そういえばさ、亜美子だって、彼氏できたことないんじゃない?亜美子はさ、好きな人とかいないの?」
「そうだね。特に好きな人は、いないかな。私ってさ、裕福な家庭ではないじゃん?だから、恋愛とか、そういうこと考える余裕がないっていうか、何というか…。もちろん、いい出会いがあればいいんだけどね。」
「…そっか。」
基本的に何でもそつなくこなせる、器用なタイプの亜美子であったが、こういった色恋沙汰には、鈍いんだな、浩一は亜美子を見て、改めてそう思った。また、それが亜美子のかわいい所でもある、浩一はそんな感情も持っていた。
これは、とある日の、学食での亜美子と浩一との会話である。
「いや、まあ、その、亜美子が言う通りだよ。」
「へえ~。何でだろうね。浩一、モテそうな気もするけどな。」
「そ、そんなの知るかよ。」
「でもそういえば昔っから、浩一に告白してくる女の子、いたよね。例えば…、高校時代の後輩マネージャーとか!」
「おい、昔の話は止せよ。」
「いいじゃん。懐かしいな~。確か、浩一にラブレターを渡す所、他の部員がたまたま見てたんだよね!それで、軽く噂になって…。でも、あの後輩マネージャー、かわいくなかった?」
「まあな。」
「まあなって何よ~。でも、結局付き合わなかったんだよね?どうして?浩一のタイプとは違ったから?」
「そんなんじゃねえよ。
…まあ、あの頃は部活も勉強も忙しかったし…。いろいろあったってことだよ。やっぱりいいじゃん、昔の話は。」
その時相手の女の子に、自分には好きな人がいること、そして、大学生になった自分は今でもその人のことが好きなこと、そして、その好きな人は、今自分の目の前にいることなど、到底亜美子に言えない、浩一なのであった。
「そういえばさ、亜美子だって、彼氏できたことないんじゃない?亜美子はさ、好きな人とかいないの?」
「そうだね。特に好きな人は、いないかな。私ってさ、裕福な家庭ではないじゃん?だから、恋愛とか、そういうこと考える余裕がないっていうか、何というか…。もちろん、いい出会いがあればいいんだけどね。」
「…そっか。」
基本的に何でもそつなくこなせる、器用なタイプの亜美子であったが、こういった色恋沙汰には、鈍いんだな、浩一は亜美子を見て、改めてそう思った。また、それが亜美子のかわいい所でもある、浩一はそんな感情も持っていた。
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