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七章 シュエット・ミリーレデルの試練
94 お礼にかこつけて①
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フクロウカフェをオープンさせてから数日目の夜。
店内の掃除を終えたシュエットとエリオットは、くったりと店のソファにそれぞれ座り込んだ。
「たくさん、お客様が来たわね」
「ああ、そうだな……」
慣れない仕事をしているせいか、エリオットはシュエット以上に疲れているようだ。心なしか、口調がいつもより素っ気ない。
それもそのはず。
オープンしてからというもの、エリオットが大人気だからである。
そう。主役のフクロウたちよりもエリオットが、だ。
広場でデモンストレーションをしたあと、シュエットがイケメンと二人でカフェを開いたらしいといううわさが瞬く間に広がった。
おそらく発信源はカナールだ。
あの口の軽い弟分が、いつもの調子で触れ回ったに違いないと、シュエットは踏んでいる。
来店したのは、お堅いシュエットを射止めたイケメンを見に来た人、イケメンを拝みたくて来た人、純粋にフクロウ目当てで来た人。割合としては、二・五・三といったところだろうか。
つまり、エリオット目当ての客で溢れかえっていたのである。
おかげで予定していた人数を遥かに超える数の客が来てしまい、急遽入れ替え制にした。
だが、それでもうまく案内しきれなくて、最終的には予約制になってしまったのである。
もういっそ、エリオット目当ての客とフクロウ目当ての客を選別してしまおうか、とまで考えた。
だけど、エリオット目当てでやってきて、フクロウと戯れるうちに「飼ってみようかな」なんて気持ちになっていた人も見かけたので、むげにはできない。
(いや、エリオットがフクロウを熱心に勧めるから、気を引きたくて言っただけかもしれない……って、だめだめ! どうして勘繰るのかな、私は。素直に良かったって思えば良いだけじゃない)
そう思ってしまう理由は、なんとなく分かっている。
認めたくないから、わからないってことにしているけれど。
(三人きょうだいの一番上は、うまくいかない。それを忘れたら、手酷く失敗するって決まっているもの。でも、もしも……もしもフクロウカフェがうまくいって、エリオットの食い扶持くらいは稼げるようになったら……考えてみるのも、良いかもしれないわ)
どうしてか、シュエットは少しだけ頭がスッキリしたような気がした。
頭の奥にある霧深い森に、一筋の光が差し込んだような、そんな気分になる。
すごく晴れやかとまではいかないが、気分が良い。
目標ができたからかもしれない、と彼女は思った。
店内の掃除を終えたシュエットとエリオットは、くったりと店のソファにそれぞれ座り込んだ。
「たくさん、お客様が来たわね」
「ああ、そうだな……」
慣れない仕事をしているせいか、エリオットはシュエット以上に疲れているようだ。心なしか、口調がいつもより素っ気ない。
それもそのはず。
オープンしてからというもの、エリオットが大人気だからである。
そう。主役のフクロウたちよりもエリオットが、だ。
広場でデモンストレーションをしたあと、シュエットがイケメンと二人でカフェを開いたらしいといううわさが瞬く間に広がった。
おそらく発信源はカナールだ。
あの口の軽い弟分が、いつもの調子で触れ回ったに違いないと、シュエットは踏んでいる。
来店したのは、お堅いシュエットを射止めたイケメンを見に来た人、イケメンを拝みたくて来た人、純粋にフクロウ目当てで来た人。割合としては、二・五・三といったところだろうか。
つまり、エリオット目当ての客で溢れかえっていたのである。
おかげで予定していた人数を遥かに超える数の客が来てしまい、急遽入れ替え制にした。
だが、それでもうまく案内しきれなくて、最終的には予約制になってしまったのである。
もういっそ、エリオット目当ての客とフクロウ目当ての客を選別してしまおうか、とまで考えた。
だけど、エリオット目当てでやってきて、フクロウと戯れるうちに「飼ってみようかな」なんて気持ちになっていた人も見かけたので、むげにはできない。
(いや、エリオットがフクロウを熱心に勧めるから、気を引きたくて言っただけかもしれない……って、だめだめ! どうして勘繰るのかな、私は。素直に良かったって思えば良いだけじゃない)
そう思ってしまう理由は、なんとなく分かっている。
認めたくないから、わからないってことにしているけれど。
(三人きょうだいの一番上は、うまくいかない。それを忘れたら、手酷く失敗するって決まっているもの。でも、もしも……もしもフクロウカフェがうまくいって、エリオットの食い扶持くらいは稼げるようになったら……考えてみるのも、良いかもしれないわ)
どうしてか、シュエットは少しだけ頭がスッキリしたような気がした。
頭の奥にある霧深い森に、一筋の光が差し込んだような、そんな気分になる。
すごく晴れやかとまではいかないが、気分が良い。
目標ができたからかもしれない、と彼女は思った。
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