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三章
78 目覚めのハーブ①
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「大人だと言うわりに……」
ペリーウィンクルは、ヴィアベルが思っている以上に難敵である。
わりとわかりやすくアピールしたつもりだったが、この程度ではまだまだということか。
とりあえず今夜はこれまでにしようと区切りをつけて、ヴィアベルは切り替えるために話題を媚薬の件へと戻した。
「媚薬の効果を打ち消すには、少なからず意識をこちらへ向ける必要がある」
「意識を向ける……? それって、今のトゥルシー様は意識がぼんやりしているってこと?」
「そうだな。例えるなら寝起きのぼんやりした頭のような状態、といったところだろうか」
「へぇ、なるほど。じゃあ、起き抜けに飲むハーブティーなんてどう? ミント、レモングラス、ローズマリー。そのあたりが効果的だけど」
スッキリと清涼感のある味と香りが特徴のミントは、頭をシャキッとさせて集中力・やる気を高めてくれる。
ミントに含まれるメントールという成分はストレスや憂鬱な気分を緩和させたり、胃腸の不調にも効果的だ。
レモンのようなさわやかな香りが特徴のレモングラスは、お茶にすると頭がスッキリとして明るく爽やかな気持ちになる。
レモングラスに含まれるリナロールという成分は、眠気を改善してくれる効果も持っているのだ。
スパイシーな香りが特徴のローズマリーは、ロズマリン酸を含んでいる。
ロズマリン酸は、脳内物質ノルアドレナリンとドーパミンを増加させ、やる気・集中力を高めてくれる作用がある。
ヴィアベルのかわいい生徒は、彼の教えをよく覚えていたらしい。
ちょうど良い位置にあった頭を撫でくりまわしながら、ヴィアベルは「よく覚えているじゃないか」と褒めた。
ミント、レモングラス、ローズマリー。本来、それらは朝起きて目覚めを良くするために飲用するものだが、今回はそれにヴィアベルが付加魔法をかけることで、媚薬の効果を無効化、または薄めようということらしい。
「それならおまえには、妖精王の茶会で出す茶を用意してもらいたい」
「ブレンドは私任せで良いの?」
「構わん。おまえなら、大丈夫だろう」
「ヴィアベルに言われちゃあ、頑張らないわけにはいかないね」
一人前なのだとアピールするチャンスである。
ペリーウィンクルはむん! と拳を握りながら、やる気いっぱいだ。
「期待している」
ククッと笑いながら、ヴィアベルの手がペリーウィンクルの頰を撫でる。
こんなことはもう何度もされていることなのに、今夜はやけに意識してしまう。
どうしてだろうとペリーウィンクルが首をかしげていたら、ヴィアベルがひょいと身を屈めて顔色を窺ってきた。
ペリーウィンクルは、ヴィアベルが思っている以上に難敵である。
わりとわかりやすくアピールしたつもりだったが、この程度ではまだまだということか。
とりあえず今夜はこれまでにしようと区切りをつけて、ヴィアベルは切り替えるために話題を媚薬の件へと戻した。
「媚薬の効果を打ち消すには、少なからず意識をこちらへ向ける必要がある」
「意識を向ける……? それって、今のトゥルシー様は意識がぼんやりしているってこと?」
「そうだな。例えるなら寝起きのぼんやりした頭のような状態、といったところだろうか」
「へぇ、なるほど。じゃあ、起き抜けに飲むハーブティーなんてどう? ミント、レモングラス、ローズマリー。そのあたりが効果的だけど」
スッキリと清涼感のある味と香りが特徴のミントは、頭をシャキッとさせて集中力・やる気を高めてくれる。
ミントに含まれるメントールという成分はストレスや憂鬱な気分を緩和させたり、胃腸の不調にも効果的だ。
レモンのようなさわやかな香りが特徴のレモングラスは、お茶にすると頭がスッキリとして明るく爽やかな気持ちになる。
レモングラスに含まれるリナロールという成分は、眠気を改善してくれる効果も持っているのだ。
スパイシーな香りが特徴のローズマリーは、ロズマリン酸を含んでいる。
ロズマリン酸は、脳内物質ノルアドレナリンとドーパミンを増加させ、やる気・集中力を高めてくれる作用がある。
ヴィアベルのかわいい生徒は、彼の教えをよく覚えていたらしい。
ちょうど良い位置にあった頭を撫でくりまわしながら、ヴィアベルは「よく覚えているじゃないか」と褒めた。
ミント、レモングラス、ローズマリー。本来、それらは朝起きて目覚めを良くするために飲用するものだが、今回はそれにヴィアベルが付加魔法をかけることで、媚薬の効果を無効化、または薄めようということらしい。
「それならおまえには、妖精王の茶会で出す茶を用意してもらいたい」
「ブレンドは私任せで良いの?」
「構わん。おまえなら、大丈夫だろう」
「ヴィアベルに言われちゃあ、頑張らないわけにはいかないね」
一人前なのだとアピールするチャンスである。
ペリーウィンクルはむん! と拳を握りながら、やる気いっぱいだ。
「期待している」
ククッと笑いながら、ヴィアベルの手がペリーウィンクルの頰を撫でる。
こんなことはもう何度もされていることなのに、今夜はやけに意識してしまう。
どうしてだろうとペリーウィンクルが首をかしげていたら、ヴィアベルがひょいと身を屈めて顔色を窺ってきた。
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